2017/06/12 19:50

 

「植田明志作品集刊行プロジェクト」も 先日、 300%を突破致しました。

ご支援、ご協力頂いた皆様有り難うございます。

 

会期は残すところあと1週間(6月19日まで)となっております。

ラストスパート、引き続き、ご支援、ご協力をお願い致します。

 

 

今回はリターンのひとつにもなっているキャラクター

「ポーポー」について改めて紹介致します。

 

 

 

2016年に開催された個展「虹の跡」で登場した「ポーポー」たち。

個展終了後も、高い人気を誇るマスコットキャラクター的な存在です。

 

 

スタンダードなポーポーをはじめ 羽根の生えたポーポーや、

口髭をたくわえたポーポー、 のんびり寝そべっているポーポーなど

様々な個性的なポーポーたちが登場しました。

 

 

 

 個展「虹の跡」の物語の舞台である、

記憶が降り積もって出来た山。

その山に棲む、妖精のような不思議な存在であり、

記憶の案内人であるキャラクター「ポーポー」たち。

 

 

 

 

 何かでひっかいた跡や、思い出を刻んだ落書き、死んだ虫など 

何かの "跡" がある場所に現れるポーポーたち。

ポーポーたちは、誰にも気づかれずに存在する "跡” を

静かに見守っているのかもしれません。

 

 

 

今回のクラウドファンディングのリターンでは、

ポーポーの立体作品をセミオーダー形式でお作り致します。

「耳の大きさや形」と「服の色」をご指定頂き

(※色はベースカラーを選んでいただけます)

そのご要望を基に、作家が模様や装飾などの細部を調整して

新たなポーポーを制作致します。

是非、世界にひとつだけのポーポーをお迎えして下さいね。

 

 

 

 

 

「ポーポー」

昔、妖精を—

きっとあれは妖精だったのではないか−、

見たことがある。

 

それは色んなところに居て、 例外なく尻尾に体を沈ませていた。

中には飛んでいるもの、 どう見ても怠けているようにしか見えない者など、

多種多様だった。

 

 

僕だけじゃなく、周りの仲間たちも見えているようだったが、

それを口に出す者はひとりもいなかった。

まるで、気づいていないようなそぶりをするのだ。

 

 

彼らは、じっと僕の目をみて、その手を小さくぱたぱたさせたり、

口をプルプルと震わせていたりするだけだったが、

僕に何かを伝えようとしているように思えた。

彼らは何かの使いなのだと思った。

 

つまんで手の上に乗せてみると、

僕と、彼が立っていた場所を交互に見始めた。

彼らの立っていた場所には、何かの跡のようなものがあった。

 

何かでひっかいた跡や、刻まれたふたりの名前、死んだ虫。

気づくと、手の上から彼らは消えていた。

僕は、すこし考えて、

誰にも気づかれずに死んだ虫の死骸を、

近くにあった白い花の下に、そっと埋めた。