植田明志の作品は、緻密で繊細な造形もさることながら
それぞれの作品に添えられた、作家自身による詩情溢れる物語も魅力です。
植田明志作品集刊行プロジェクトでも、新たな世界を舞台に
新しい物語が展開していきます。
今回は、リターン用アイテムであるエコバッグや、中型作品でも登場する新キャラクター。
宇宙の原住民「スペースネイティヴ」の物語を紹介致します。
「スペースネイティヴ」
流星の骨を被る宇宙の原住民、スペースネイティヴ。
僕らの目に見える流れ星は、全身を燃やされて消えた後、
骨にだけになってどこかに落ちる。
スペースネイティヴ達はみんなが寝静まった後に、いそいそと宇宙から降りてくる。
彼らはそっと流星の骨を拾うと、30秒だけよいよい歌い踊ってまた帰っていく。
その骨は彼らの、星拾いのお祭りに捧げられたあと(ここでも歌い踊る)、
500歳の誕生日を迎えた子供に被せられていく
(それまでの子供には、流星の骨を被れるように加工するときにでる小さな欠片を、
お面のようにして頭に括りつけていた)。
その骨は、思考、感情、人間性を読み取り、歳を重ねるにつれて
大きさや形も変わっていくのだという。
彼らスペースネイティヴは、この限りなく広大な宇宙の中に、
少人数ではあるが確かに生き、生活している。