昨日、クレジット付き、月の歌ネックレス(ガリレオネックレス)、 ポーポーとテイテイのリターンにご支援を頂いた皆さまにメールを差し上げました。 ご確認頂き、お返事を12日までにお願いいたします。 また、それに伴い、お問い合わせを頂いている皆さまには、追ってお返事差し上げます。 今しばらくお待ちくださいませ。 今月は、作家とも打ち合わせをし、デザイナーの事務所にも伺い、 諸々、詰めていく予定でいます。 進捗はまたご報告いたします! (作品撮影の活動報告が飛んでしまっていますが、 こちらもまた上げていきたいと思っています。) リターンについて、既にお返事を頂いている方々から、 温かいお言葉を頂き、うるうるとしています。 完成までお待たせしており恐縮ですが、 皆さまの期待にそえる作品集にできるよう、尽力します。 引き続き、どうぞ宜しくお願いいたします。
4月より開催してきました「植田明志作品集刊行プロジェクト」も 先日、6月19日を以って終了致しました。 予想を遥かに超える反響とご支援、ご協力を頂き 最終的に380%を超える、3,808,000円の総支援額 252人もの方にパトロンとなって頂きました。 ご支援、ご協力頂いた皆様、本当に有り難うございました。 現在、プロジェクトは作品集の制作準備に入っております。 より良い作品集を作れるよう努めてまいりますので 宜しくお願い致します。 作品集やリターンの制作進行状況などは こちらの近況報告ページで 引き続きお知らせしていきますので是非ご覧下さい。
「植田明志作品集刊行プロジェクト」も 先日、 300%を突破致しました。 ご支援、ご協力頂いた皆様有り難うございます。 会期は残すところあと1週間(6月19日まで)となっております。 ラストスパート、引き続き、ご支援、ご協力をお願い致します。 今回はリターンのひとつにもなっているキャラクター 「ポーポー」について改めて紹介致します。 2016年に開催された個展「虹の跡」で登場した「ポーポー」たち。 個展終了後も、高い人気を誇るマスコットキャラクター的な存在です。 スタンダードなポーポーをはじめ 羽根の生えたポーポーや、 口髭をたくわえたポーポー、 のんびり寝そべっているポーポーなど 様々な個性的なポーポーたちが登場しました。 個展「虹の跡」の物語の舞台である、 記憶が降り積もって出来た山。 その山に棲む、妖精のような不思議な存在であり、 記憶の案内人であるキャラクター「ポーポー」たち。 何かでひっかいた跡や、思い出を刻んだ落書き、死んだ虫など 何かの "跡" がある場所に現れるポーポーたち。 ポーポーたちは、誰にも気づかれずに存在する "跡” を 静かに見守っているのかもしれません。 今回のクラウドファンディングのリターンでは、 ポーポーの立体作品をセミオーダー形式でお作り致します。 「耳の大きさや形」と「服の色」をご指定頂き (※色はベースカラーを選んでいただけます) そのご要望を基に、作家が模様や装飾などの細部を調整して 新たなポーポーを制作致します。 是非、世界にひとつだけのポーポーをお迎えして下さいね。 「ポーポー」 昔、妖精を— きっとあれは妖精だったのではないか−、 見たことがある。 それは色んなところに居て、 例外なく尻尾に体を沈ませていた。 中には飛んでいるもの、 どう見ても怠けているようにしか見えない者など、 多種多様だった。 僕だけじゃなく、周りの仲間たちも見えているようだったが、 それを口に出す者はひとりもいなかった。 まるで、気づいていないようなそぶりをするのだ。 彼らは、じっと僕の目をみて、その手を小さくぱたぱたさせたり、 口をプルプルと震わせていたりするだけだったが、 僕に何かを伝えようとしているように思えた。 彼らは何かの使いなのだと思った。 つまんで手の上に乗せてみると、 僕と、彼が立っていた場所を交互に見始めた。 彼らの立っていた場所には、何かの跡のようなものがあった。 何かでひっかいた跡や、刻まれたふたりの名前、死んだ虫。 気づくと、手の上から彼らは消えていた。 僕は、すこし考えて、 誰にも気づかれずに死んだ虫の死骸を、 近くにあった白い花の下に、そっと埋めた。
現在開催中の 「植田明志作品集刊行プロジェクト」。 プロジェクトスタートからわずか24時間で目標金額を達成した記念に 2つのリターンを新たにご用意致しております。 今回は新たなリターンのうち、「虹の人 手拭い」と その元となった作品「虹の人」の物語を紹介致します。 今回追加リターンの手拭いのデザインに採用されたのは 2016年開催の第3回個展「虹の跡」のメイン作品であり フライヤーにも用いられた大型作品「虹の人」のドローイング。 立体作品制作以前に描かれたドローイングを大胆にあしらった迫力のデザインです。 今回のクラウドファンディングでしか手に入れる事が出来ない 貴重なアイテムとなりますのでお求め逃しなく! 様々な記憶の色の集合である"虹” 。 そして、その時、その場所に自分が確かに存在していたという証である"跡" をコンセプトにした大型作品「虹の人」。 個展「虹の跡」を象徴する作品であり、 今なお、高い人気を誇る作品です。 植田明志「虹の人」 幾重にも積み重なった街で形作られた身体。 風化し、朽ちかけた遺跡を想わせる身体の各部には 植物が根をはり、 胸部と腹部には"爪痕”を想わせる大きな穴があいています。 「虹の人」 その瞬間、僕は、虹をみた。 その虹はただ、そこに居た。 光と色が交差する。 この降り積もった記憶の山のてっぺんで、僕を待っていた。 地面はふわふわとした — 子供の頃に摘んで誰かにあげた花に、よく似ている。 — 真っ白い花に覆われて、足をくすぐった。 花の下の地面には、たくさんの足跡があった。 僕は、この物語を知っていたよ。 沢山の跡をつけて。 僕は、確かにそこに居たんだよ。 涙は、音のない夕立のように、止めどなく流れ続けた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−− いつからかこの山を歩いていた。 多分、そうだ。山に詳しい友人に、聞いたのだと思う。 その山では、雨が降らなくても虹が見えると、教えてくれたのだ。 「虹って、ふと現れて、消えていくだろう? でも、心に残るんだ。 俺は、それを不思議だと感じるんだ。」 確か、そんなことを言っていた気がする。 何故か、どうしても顔は思い出せなかったが、ロマンチックなやつだ。 思えば、もうしばらく、虹を見ていなかった。 雨が降れば、外には出なくなったし、 コンクリートに染み込んだ、夕立の匂いも嗅がなくなった。 そもそも、子供の頃も、あまり虹を見た覚えはなかった。 ずっと部屋の隅で、様々な色のクレヨンで、何か描いていた気がする。 何を描いていたっけ? 気づくと、何時しかあたりは真っ黒になり、空に浮かぶ月も頼りなかった。 山肌は、不規則にぼこぼことしていたが、それなりに舗装されており、 歩いてきた道を見ると、たくさんの足跡があった。 とても大きな動物のもの。 子供のもの。 そして、僕の足跡は、そのどれかに混ざってわからなくなっていた。 僕は、何時からここにいるのか、わからなくなっていた。 どうやったら、そこに居たことにになるのか、術を知らなかった。 僕は、自分の足跡の形すら、覚えていなかった。 この山では、たびたび、不思議なことが起こった。 歩いているうち、たまに、ふっと気配を感じて、 暗い崖のほうへ目をやると、子供がいるのだ。 その子供たちは例外なく、奈落の闇にぽっかりと頭だけをだした、 どうやってもそこには辿りつけないような岩の上にいた。 彼らは、本当に小さく、ささやくような声で、歌っていた。 僕が声をかけても、何の反応もしなかった。 きっと、彼らの世界には、僕はいないのだと、思った。 山の中腹あたりに差し掛かると、街が見えた。 その街は、ずっと燃えていた。 きっと夕焼けがあそこで眠っているのだ。 僕の家も、燃えているのが見えた。 多分、あれだと思う。 山の飛行機が、その街に落ちていくのが見えた。 飛行機は、燃え尽きる瞬間に、流星になれた。 夕焼けは、大きな生き物となって、世界を燃やし尽くしてしまってしまうのだと思った。 そしていつしか、さらに大きな夜が、そんな世界を飲み込んでしまうのだ。 世界は、真っ暗になって、夜の優しさに気付くのだろう。 ふと夜空を見上げると、月が山肌に、さなぎみたいにくっついて眠っていた。 そういえば、僕は約束をしていたことを思い出した。 誰かと会う約束だった。 この山の頂上で。 僕は走った。 夏が終わったばかりの山は、肌寒かった。 途中で、公園が見えた。 遊具はみな闇の中で、 怪獣の骨みたいな体を、白く光らせて眠っていた。 怪獣の骨にはたくさんの子供たちが遊んでいた。 まるで、獲物に群がるたくさんの蟻のようだった。 息が切れる。 山はますます黒々としていった。 山肌には様々な種類の鉱石がむき出しになっているらしく、 星みたいにきらきら光った。 まるで、宇宙の彼方を走っているようだった。 心臓が張り裂けそうなくらいの全力疾走。 星が、次々と流れていく。 この暗闇は、僕をどこへ連れて行ってくれるのだろう。 たまに突き出た星たちで、体を少しずつ切った。 生暖かい感触が伝わる。少し深い傷もあるようだった。 頂上に着いたときには、すっかり月のさなぎはからっぽになっていた。 きっとさなぎの中の海は、宇宙に還っていったのだと思った。 今頃、さなぎの下ではその外皮で作る舟のために、たくさんの舟人で溢れているだろう。 山のここは、真っ白だった。 きっと、地面から無数に生えている白いぽわぽわした植物のせいだ。 それに、風に吹かれなかった植物の綿毛が、埃のように真っ白に地面を覆っていた。 下のほうが、少し茶色く、複雑に濁っているのも見えた。 声が聞こえて、振り向くと、君がいた。 何か小さく呟いた。 それきり、何も話さなくなった。 二人で、地面に寝転んで、星空をみた。 星座を教えようとしたが、僕の知ってる星の位置とは、少しずつ違っていた。 僕が声をかけようと横を見ると、彼女は真っ白になっていた。 彼女の身体からは無数の白い植物が、 空にむかって生えていて、人の輪郭を失っていた。 鉱石に引っ掛かってできた傷も、白くぽわぽわしていた。 僕はどうしようなく泣きたくなった。 泣いてしまえば、きっと楽なのに、 鼻が冬の朝のように、少しツンとするだけだった。 涙を堪えようと、地面に顔を伏せた。 綿毛がふわふわと迎えてくれた。 ふと、綿毛の隙間に何かが見えた。 はっとした。 無我夢中で、降り積もった埃振りを払う。 見えたのは、無数の足跡。 はっとしたその瞬間には、もう涙は溢れていた。 闇の中でひとりぼっちの怪獣のように、わんわん泣いた。 夕立ちみたいな涙のせいで、 景色は夏のプールの様に光り輝いて、揺らめいていた。 地面は様々な色が重なりあっていた。 それは、全部僕が知っている色だった。 僕だけが、知っている色だった。 揺らめく景色のせいで、様々な色が複雑に絡まり合った。 その瞬間、僕は、虹をみた。