2020/04/30 15:49

こんにちは、インターステラテクノロジズ(以下、IST)広報チームです。


既にニュースやISTのSNS等でご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、4月28日(火)の20時に緊急の記者会見を開いて、MOMO5号機の打上げ延期を発表しました。突然のニュースや発表に、驚かれた方も多かったと思います…。


MOMO5号機は自分のロケットだ、打上げを今か今か…と楽しみに待ってくれていた皆様へのご報告が遅くなり、本当に申し訳ございませんでした。

今日は、その決断に至るまでの経緯と今後の対応をご報告いたします。



最大限の感染症対策、無観客打上げの発表

4月20日(月)、ISTではMOMO5号機打上げ実施に向けて、打上げ日程をオンライン記者会見にて発表しました。

当初の予定では5月2日(土)5:15に打上げを実施。予備日は5月3日(日)~5月6日(水)まで。3か月以上前から約30以上もの関係各所と調整を重ねて、時間も、手間もかけて、確保した日程でした。


参考)クラウドファンディング:4月21日 MOMO5号機、次回の打上げ日を発表しました

参考)YouTube:観測ロケット「MOMO5号機」打上げに関する記者会見


新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、全国的に緊急事態宣言が出ているなかでの打上げ実施ですが、ISTとして出した結論は、感染症対策を最大限行った上で、ロケットの打上げ自体は延期しない、できるだけ開発活動は止めない、ということでした。

感染拡大防止の観点から「無観客での打上げ」を掲げ、大樹町主催のパブリックビューイング会場と、IST主催のロケット打上げ見学場スカイヒルズは一切設けず、イベントは完全に中止すると会見でも発表いたしました。

その他にも、大樹町への来町の自粛の呼びかけ、ロケットが見える場所の打上げ時立ち入り制限や大樹町内の巡回警備の拡充、強化。立ち入り制限区域については、今回拡張をして35㎢程度にしていました。例えるなら、山手線内側の半分以上。山で入れない・数カ所ある広場みたいな場所をパトロールして塞げば70〜80㎢ぐらいが制限される区域になります。山手線の面積以上です。それくらいの広域を、大樹町や警察とともに、警備をして周る予定でした。私有地に入った場合の取り締まりや、来てもらってもお帰りいただく、という対策をこれまでも取ってきましたが、今回はさらに強化していました。20件ほどの不安の声をいただいたと大樹町役場からは伺いましたが、「3密」の状況にはなり得ないということは、現場を見ていただいたら必ずご理解はいただけるという確信は持っていました。また、5月2日〜6日までは町内の飲食店も営業自粛や時短営業などで、普段よりも人が集まる場所や人の接触がある場所は大幅に少ない状況です。


他にも、スポンサー等や関係者にも来町を控えていただくなどのお願いや、取材をする報道陣においても、できる限り大樹町への来町を制限するために、カメラマンの入場のみとしていました。


外出自粛が叫ばれる昨今なので、ISTやMOMO5号機を応援いただいている皆様には、YouTubeやニコニコ動画での生配信で、ぜひおうちでロケット打上げを楽しんでいただくようお願いをしていました。



また、ISTの日頃の業務も

・テレワークの実施、推奨

・社外との打合せはテレビ会議を積極的に活用

・来訪や外出を極力減らす

・東京から来るメンバーにも、最低限の人数で、往復が少なくなるよう対策

・厚生労働省や自治体が推奨する対応(3密の回避や咳エチケット、換気、マスク着用、ソーシャルディスタンス等)

など、日常的にも感染拡大防止に向けた対策をしており、大樹町からも「対策は十分であると」評価をいただいていました。


これらの対策と並行しながら、フルドレスリハーサル(打上げ当日さながらの通しリハーサル)も2回とも問題なく終えて、「準備は整ったぞ!」とメンバーには気合と情熱がみなぎっていました。


大樹町からの打上げ延期の要請

しかしながら、4月20日(月)の打上げ日発表後に、来町自粛の呼びかけに応じない見学者の立ち入りとその後の町内での買い物での町民との接触などを懸念する声が約20件ほど役場に届きました。そのうち半分ほどが町民からの声でした。

大樹町は、宇宙のまちづくりに向けた取り組みの一方で、町民の安心、安全を確保する役割があるという背景から、大樹町より、5月2日~6日の期間での打上げ延期の要請を4月27日(火)にいただきました。打上げ予定日から4日前の突然のことでした。

〈大樹町ウェブサイト インターステラテクノロジズ株式会社「MOMO5号機」打ち上げの延期要請について〉



打上げの自粛=企業活動の自粛

延期の要請を受け、社内でも様々な議論や検討を行い、結果的に延期を受け入れることにしましたが、それにあたって、皆さまにいくつか知ってほしいということがあります。


・感染症の対策は、できる限り最大限の対策を行います

打上げ時の対策については、さきほどお話した通りです。


・ロケット打上げ事業は、イベントではないのです

ロケットの打上げは、打上げ事業として成り立っており、イベントは主目的ではありません。ロケットは宇宙にモノや想いを運ぶ輸送業です。MOMOでは、技術の実証や、お客様のペイロードを載せて観測実験をしたり、企業や商品のPRとして活用されたり、だれかの夢や想いを宇宙まで運ぶという仕事をしています。大学や企業や個人の方などのお客様がいる仕事です。


何度も言いますが、ロケット打上げ=イベント事業ではないんです。見学者の方が大樹町に来るというのは副次的な効果です。大樹町の経済が活性化したり、新たな観光資源になったらいいな。普段支援していただいている地元の方への恩返しになればいいなという気持ちもあって、これまでは地域の活動をサポートする形で、見学場を設けてきました。なので、イベントとして捉えて批判するのは違うのではないか。イベント自体も無観客にして実施しておらず、そもそも入ることもできず、イベント主体の事業でもない。

イベントが主体ではないということは、北海道から出されている自粛要請及び休業補償の対象にはならないのです。


・打上げ日時は、簡単に確保できるものではありません

「GWはやめて、翌週や連休明けの平日にすればいいのでは」というお声もいただきましたが、30以上もある関係各所とは3ヶ月以上前から綿密に計画を立てて調整を行ってはじめて確保できるものです。大樹町を含む、多くの関係各所のご理解とご協力を経てはじめて実施ができるのです。「今週は延期して、来週行います」と簡単に決められるものではありません。


・ベンチャー企業なので、余裕はないです・・・

資金調達等を行ってきてはいますが、ベンチャー企業なので体力のない会社です。(お恥ずかしい話なのですが、でも知っていただきたいので話しますね)ホリエモンの会社だからと資金があるのではないかと思われることが多いのですが、ベンチャーであり、開発には数年単位で多くの資金がかかるので、余裕はありません…。

また、ロケット打上げという会社の主力事業の自粛、そのインパクトは決して軽いものではありません。また、新型コロナウイルスの動向は不透明で、楽観視できないと思っています。今後も数か月にわたって感染が拡大する可能性もあり、数か月ではなく、半年、1年といった単位になる可能性もあります。この期間での延期要請は、数か月の経済活動を止めてくれ、という要請に聞こえますし、会社としても非常に厳しい判断でした。


延期は、苦渋の決断

今回の要請では、要請に従わない場合は大樹町から打上げ時の支援が受けられないため、実質打上げは困難になります。

また、役場をはじめとして、地域の方々の支援は大樹町での開発においては不可欠。私たちは、地域の支えがあるからこそ、打上げができている立場です。大樹町、十勝、北海道として、これまで一緒に歩んできたということも決断の判断材料として大きなものでした。

 苦しい決断ですが、5月2日~6日の期間に限り、打上げ延期という大樹町の要請を受け入れることとしました。


参考)YouTube:インターステラテクノロジズ 観測ロケット「MOMO5号機」打上げに関する記者会見(4月28日(火))


「安全」への対策は万全でも「安心」の獲得は、打上げまであと数日という状況では難しいという判断をしました。

感染症について、できる限りしっかりと、現場を見ながら実効的な対策を合理的に実施してきたつもりなのですが、それが理解されなかったというのは残念に思います・・・、一方で私たちからも、ISTが置かれている状況などの説明が足りなかったと思っています。上記のようにこれまではお話していなかった内情も含めてこれからはお伝えしていこうとしています。



今後の対応について

次の打上げ時期については現時点では未定ですが、関係各所と調整の上、できる限り早いタイミングでの打上げを目指します。

ただ、感染症の収束、先行きが見えないなかで、今後も数ヶ月〜1年などの緊急事態宣言の継続もありえるのではないかと感じています。緊急事態宣言中には打上げができない、とされてしまっては、企業活動ができなくなってしまい、最悪の場合は事業撤退もあり得ます。

そうならないためにも、感染症対策を行いながら打上げ実施ができる体制を、大樹町と共に検討していきます。


大樹町の宇宙のまちづくりと、ISTの宇宙開発。大樹町とISTは一心同体だと思っています。

町民の方から、「ISTは大樹町を出ていってしまうの?」といった心配の声もいただいていますが、そんなことはありませんので安心して下さい。大樹町で開発を続けていこうという気持ちです。

ただ、この世界的な感染症の流行で、意見が分かれ、いつ次の打上げができるのか、企業の活動ができるのかと不安に感じている部分があるのも正直なところです。大樹町と対話を重ねながら、具体的な策を考えていきます。

社員たちも、「よし!次は絶対成功させるぞ!」とバリバリに気合が入っていたので、突然の延期に気持ちの整理がついていないところはありますが、この連休にしっかりと英気を養い、また次のタイミングへと歩みを進めます。軌道投入ロケット「ZERO」の開発も並行していかなければなりませんし、下を向いている暇はありません。。


また、現段階で休業補償が出るといった話はなく、ならば自分たちでどうにかしようとクラウドファンディングの実施を急ぎ、準備しています。

弊社SNSやウェブサイトにて近日中に発表いたしますので、よろしければぜひご支援、お気持ちをいただけると嬉しいです。

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多くの方々からISTを応援しているというコメントやメッセージもしっかり届いています。ありがとうございます。

引き続き、応援をいただけると嬉しいです。

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