南江祐生。彼は現在、東京バレエ団アーティストとして在籍し、活動をしています。1998年亀岡市に生まれ、そして地元の城西小学校、亀岡中学校、南丹高校を卒業しています。バレエを始めたのは5歳。ガレリア亀岡で行われていた教室に通いました。中学生になってからは毎日、長岡京市の本部とここガレリア亀岡にある支部教室にロシアに留学を果たす17歳まで通い続けていました。東京バレエ団に入るきっかけとなったのは14歳の時。当時、東京バレエ団付属バレエ学校で冬季講習に参加したことが始まりでした。そこから東京バレエ学校のSクラスのオーディションを勧められ、首藤康之氏が教師を務められていたボーイズSクラスに参加することになりました。週に一度の東京行きは、当時亀岡駅から出ていた高速バス。土曜日の23時45分に亀岡を出発し、早朝に品川に着く。それから目黒のバレエ学校でレッスンを受け、終えるとそのまま22時過ぎのバスに乗り月曜の早朝に亀岡に着く。そして少し仮眠をしたら学校に行くという日が続きました。学校は休むことなく、バレエと学業を両立させながら通いました。南丹高校では、世界に出ていくのなら日本人として必要なことだとして茶道を始め、部長も務めるまでになりました。15歳の時、東京バレエ団[ザ・カブキ]に四十七士のひとりとして参加16歳の時、東アジアユースバレエウィークに出演し、イリ・キリアン振付[black bird]を中村恩恵氏指導のもと、振付家の許可を得て踊っています。17歳の時、9月にロシアサンクトペテルブルクにあるワガノワバレエアカデミーに留学し、2年間学び修学しました。ワガノワバレエアカデミーは世界最高峰といわれるバレエ学校で、修学するにもかなりの厳しいことでも有名です。そのアカデミーで修学中、彼は一時帰国をして、南丹高校を卒業しています。そして2018年4月に東京バレエ団に入団。そこでブラウリオ・アルバレスと出会います。京都が好きだったブラウリオは、2018年7月に初めて亀岡に足を踏み入れました。そこで案内された出雲大神宮の拝殿と御神体山の織りなす美しさに魅入られ、しばらくそこに佇みました。そしてこの美しいところで舞台を創りたい。この美しいところに生まれ育った南江祐生に振付をしてみたい。そう思ったことがきっかけでした。亀岡にお住まいの皆様、ぜひ、ご覧になってください。スポーツだけでなく文化や芸術で世界に羽ばたいている若者がここにいるのです。
活動報告をさせていただくに従って、じわじわと支援してくださる方が増えてきました。本当にありがたいことです。私たちは単に芸術やパフォーマンスを伝えたいというだけでなく、民族や文化芸術、宗教、世代の枠を超えたひとつのものを表したいと思っています。それが本来のいのり、願いではないかと思うのです。このたびは、いろいろな分野で国内外で活躍されてきた、そして現在も活躍されている方々が、心を寄せてくださいました。そして、それぞれが分離した別ものではなく、それぞれを昇華させ、ひとつのものを表現しようとしています。最初の提案に、心が揺さぶられ、集いきてそうして、それぞれの思いを交換し、ひとつになっていく。それこそが調和、融和という人と人のうつくしい姿だと思うのです。忙しく過ぎ去る日々、喧騒や雑踏の中で忘れてしまった心はなかっただろうか。便利になりすぎて置き去りにしてしまったことはなかっただろうか。丁寧につむぎ、美しく連なってきた何かを忘れてしまっていたことはなかっただろうか。私自身、このプロジェクトの取り組みが始まって、いろいろなことを体験しながら、これまで以上に多くのことを観じ(感じ)ています。本当にありがたいことです。このたびの経験や体験がなければ味わうことがなかったこともあります。じっくりと味わいながら、支えてくださる方々の、おひとりおひとりを思い浮かべ、心からありがたいという想いで今、この時を綴っています。新緑の美しい季節に美しい舞台で美しいいのりがとどけられます。皆様、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。プロデュース&オーガナイズ南江千代A report on our activitiesOne by one the people who have decided to support this project has increased. We are truly thankful.What we are planning to convey here is not merely art for the sake of it, we are aiming for something that transcends ethnicity, religion, age. This is what our title INORI represents. In this occasion it is artists who have performed nationally and internationally and who are currently active in Japan that have decided to put their hearts together. My heart was moved with this project’s proposal. As we continue to exchange ideas, we continue to unify. Through this project we are finding the beauty in the words harmony and reconciliation. Have you ever become so busy that you forgot how to listen to your heart. Have things in the everyday life become so convenient that you took them for granted? Have you ever forgotten how to see the beautiful things that have come to your life? While working on this project and going through various circumstances I have come to realize many of those things. Something I am truly thankful for. I am writing this while thinking of all of you who have supported us, thanking you from the bottom of my heart. On the beautiful season of the month of May. On a beautiful stage.We will bring you a beautiful prayer in the form of a performance uniting beautiful artists.Humbly asking for your support. Chiyo Nanye Producer and organizer
⑴習合について 巷で氾濫に近く使われる言葉で「コラボ」と言う言葉がありますが、これはあまりに範囲が広過ぎて…なんでもかんでもくっ付けたものまでも含んでいます。 我々のやろうとする事は、単に違うジャンルのものをくっ付けて珍しい事をして人目を引こうというものではありません。もう少し深まったものに「融合」という言葉がありますが、更にその先に「習合」があると考えています。テーマはもちろん統一性が必須ですが、高い精神性・芸術的クオリティを基にして、初めから終わりまでが1つになっていなければなりません。今回の真の発起人ブラウリオが、我々日本人アーティストではなく、日本に住む外国人アーティストである事は大きな意味があると思います。この事は日本人としてとても嬉しいことであると同時に、日本人がもっと同じような気持ちになって欲しい、見倣って欲しいとさえ思いました。そして彼のアーティストのチョイスも素晴らしいものでした。流石、東京バレエ団の演出家だけのことはあります。洋の東西を問わず、芸術の根源は祈りです。それは宗教創生以前からのことです。芸術は宗教の母という言葉もあります。能は祈りの芸能として、1300年、続いてきました。思想や文学を深く取り入れてからは、哲学性が増しましたが、未だに祈りの心は豊かであり、私どもが能を勤める際にはこの精神を忘れることはありません。今回、素晴らしいアーティストと共に一つのテーマで一つの神域空間で、祈りの習合が出来ることはとても幸せな事と楽しみにしています。能楽師 辰巳満次郎KunitokotachiManjiro’s magazineNoh artistAbout this performance:To describe this project one could at first think of the word “collaboration” which is commonly used to describe different things coming together, but it is too broad. What we are trying to do is not simply to attach different genres and do unusual things to get a lot of looks.The word "fusion" is a bit deeper, but I think that this project goes beyond that.The theme of this project requires unity, and it must be united from beginning to end based on high spirituality and artistic quality.I think it is significant that the founder of this project, Braulio, is not a Japanese artist but a foreign artist living in Japan. As a Japanese, this brings me great pleasure, and at the same time, I wish more Japanese would see this and think of connecting with their beautiful culture. And as it was to be expected from one of the choreographers of the Tokyo Ballet, his choice of artists for this project was great.The roots of art come from prayer. This dates to before religion was born. There is also the saying “art is the mother of religion”. For 1300 years, Noh has been a performing art for prayer.Philosophy has strengthened thanks to the development of human thinking and of literature. Yet, the spirituality related to praying is also very present. We never forget this spirit when performing Noh.I am very happy and looking forward to being able to practice prayer in a sanctuary under one theme with wonderful artists.Noh artist Manjiro Tatsumi
織って染めた布を衣装に仕上げていく和裁士さんの助けを借りなければ、今回の衣装を仕上げることは不可能でした。衣装のイメージは、神社の神官の浄衣。龍を表現したいので、浄衣の後ろ裾は10メートルに。和裁などしたことがない私は、和裁士やまぐちようこ氏に教えを受けながら仕立てを始めることにしました。浄衣をお借りしてすべての寸法を測り、一枚の長い長い布をどのように加工していくのか計画を立てました。やまぐちようこ氏は和裁の達人。いや和裁だけでなく布を変化させていく達人…いわゆる布の魔術師という感じです。仕立てを全く知らない私でしたので、まずは着物の仕立て方について、彼女からレクチャーを受けました。仕立て始めるまでの準備が本当に大変でした。地直しをしていくだけで一日が過ぎていく日もありました。そして型紙というか…どこを切るか見取り図のようなものを作って裁断。裁断を間違えれば全て台無しです。かなり慎重に…この裁断が一番、気をつかうところでした。実際、やまぐちようこ氏もこの裁断がとても大変なんだということをおっしゃっていました。布を断ったら後は縫うだけなのですが、とにかく私は本当の運針は知りません。だって学校では教えないんですから…。ひたすら練習して、それからやっと少し縫えるようになりました。そしてやまぐちようこ氏恐るべし!浄衣として仕上げるには首回りを立ち上げなければならなかったり、袖に紐をつけたりしなければならなかったのですが見本の浄衣をじっくりと見ながら、彼女は言いました。『ホームセンターへ行きましょう!』襟の中に入れた芯は、梱包用の段ボールテープ!袖に通した紐は細い綿ロープ!首元に使った紐も綿ロープをボンドで固め…やまぐち氏のアイディアには脱帽でした。まるでホンモノの浄衣のような仕上がりに。さらにやまぐち氏は、衣装のシチュエーションや表現者の動きにまで想像が及び、衣装が美しく見えるにはどうしたらいいのかまで考えてくださいました。ただ、縫い上げるところまでを教えるだけでないところが彼女の素晴らしいところ。それは彼女がいくつもバレエの衣装を作ってきた人でもあったからなのです!このたびの衣装の大きな助力となりました。Making a costume after traditionally dyeing the hand woven fabric.It would have been impossible to finish this costume without the help of professional japanese tailor Mrs. Yoko Yamaguchi. The costume design was based on the clothes that Japanese shrine priest’s wear for purification.The dancers wearing the costumes represent a dragon, so the costumes must have a 10 meter long trail.I had never done this kind of costume, so I asked Japanese tailoring specialist Yoko Yamaguchi for help. The preparation before we started tailoring was really hard.I received a lecture on Japanese Kimono making.There were full days spent only on checking and getting every inch of the 30 meter long fabric ready. Making the pattern was also difficult.Making a mistake with the scissors would mean to have to start all over. Be very careful ...There is a special technique with the needle for sawing kimonos. After practicing for a while I was finally able to start with the costume.We used material that you can find in the home center for creating the collar of the costume.Mrs. Yamaguchi who also has experience creating ballet costumes, put into consideration that this costume was going to be worn by dancers. The result is this pure costume that through simplicity and tradition evokes the image of a god awakening. 南江千代
おかげさまでクラウドファンディングで支援をしてくださる方が出てくださっています。本当にありがとうございます。このたびの奉納公演はおそらく国内外でもめったにみることができないような素晴らしい内容だと自負しております。メキシコ人でありながら、日本で東京バレエ団に在籍し、日本の文化や芸術を心から愛し、京都亀岡の出雲大神宮の拝殿の美しさに心を奪われたBraulio Alvarez。彼の発案によるこのたびの特別奉納公演。亀岡出身である南江祐生とこの美しい出雲大神宮の拝殿で舞いたいという思いから始まったプロジェクト。この話を耳にした芸術家や文化人たちが賛同し、ここまでこぎつけることができました。ここに関わるのは無形文化財の宝生流能楽師 辰巳満次郎。令和天皇陛下即位のお祝い国民祭典でオープニングの触れ太鼓を行った笛の松田惺山と鬼太鼓座。点火絵画の一人者 山口 和也。茶道家 守屋 實智子。衣装製作にも写真や映像製作にも、素晴らしい文化人たちが関わっています。この稀にみる特別奉納公演に、ぜひお力を貸してください。単なるパフォーマンスではなく、これからの芸術文化の発展と芸術本来の目的である調和と平和をもたらすためのいのりあわせをいたします。