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子どもが創る、子どもと創る新しい学びを実践する小学校をつくりたい!

キャンプファイヤー 寄付型のバッヂ

不登校支援をしている東京シューレが、2020年4月、東京都江戸川区内(旧 上一色小学校)に小学校を開校します。すでに開校中の「東京シューレ葛飾中学校」の姉妹校として、一般の学校と比べて時間数も減らし、負担感も少なくして、子どもが創る・子どもと創る学校を目指します。

現在の支援総額

2,376,500

118%

目標金額は2,000,000円

支援者数

122

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2019/12/15に募集を開始し、 122人の支援により 2,376,500円の資金を集め、 2020/03/03に募集を終了しました

キャンプファイヤー 寄付型のバッヂ

子どもが創る、子どもと創る新しい学びを実践する小学校をつくりたい!

現在の支援総額

2,376,500

118%達成

終了

目標金額2,000,000

支援者数122

このプロジェクトは、2019/12/15に募集を開始し、 122人の支援により 2,376,500円の資金を集め、 2020/03/03に募集を終了しました

不登校支援をしている東京シューレが、2020年4月、東京都江戸川区内(旧 上一色小学校)に小学校を開校します。すでに開校中の「東京シューレ葛飾中学校」の姉妹校として、一般の学校と比べて時間数も減らし、負担感も少なくして、子どもが創る・子どもと創る学校を目指します。

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はじめまして。NPO法人東京シューレ理事長の奥地圭子です。
私が「不登校」の問題に出会ったのは、今から40年あまり前、当時小学生だった息子が「登校拒否」になったことがきっかけです。
当時、私は別の小学校で教員を務めていたのですが、息子の状況を受け入れることができませんでした。ですが、この事をきっかけにさまざまな方と出会い、意見を交わすうちに、「学校に行って当たり前」ではく、本当に子どもの立場にたった「学校のあり方」や「学びの形」について考え、当初とは180度違う価値観を持ったのです。

奥地圭子(東京シューレ学園長)「学校以外の子ども達が自由に行けるところがあって、そこに来たい子が来て、スポーツでも音楽でも勉強でも、いろいろなやりたいことをやって過ごせたらいい」

「不登校」の子ども達と出会う中で、そのように思いを抱いた私は、子どもが明るく過ごし将来の可能性を豊かに花開く場として、都内でフリースクール「東京シューレ」を設立しました。

以来、35年。子ども達が通ってくるスペースは、北区の「東京シューレ王子」、新宿区の「東京シューレ新宿」、大田区の「東京シューレ大田」、千葉県流山市の「東京シューレ流山」と4カ所に増え、現在までのべ5.000人以上の子ども達と関わってきました

各スペースは入会・退会はいつでも自由。保護者参加の説明会を経て、子どもに数回見学してもらい、入会したいと思ったら会員になれます。
入会条件はたったひとつ「子ども本人が希望すること」です。
希望するならどんな子でも断ったことはありませんし、逆に本人が希望しなければ何があってもお断りします。そこが大事なのです。

「不登校」であった子ども達が「東京シューレ」に通い、親や社会から「学校に行きなさい」という圧力からいったん解き放たれると、さまざまな探求を始めます
Aさんは小3の頃から不登校。東京シューレに小6の頃からやってきて、鉄道好きを活かし、シューレの合宿計画を立てたり、一人で国内旅行の旅をしていました。中学卒業後はアルバイトをしながら世界中にでかけ、また「皆が英語をやっているので自分はフランス語を学びたい」と塾にも行き、それが高じてフランスへ一年間語学入学します。
23歳の時に帰国後、「就職するなら旅に関係する仕事がしたい」と大手両行会社へ履歴書を提出。学歴的には中卒だったのですが、彼は旅行歴を30カ国近く書いて提出し、面接へ進み採用。仕事も現地にとにかく詳しいAさんはリピーターのお客さんが多くつき、大活躍。現在は本部で重要な海外部門を担当しています

また、Bさんは現在36歳。小学校の頃から学校へ行くのが嫌だったこともあり、五月雨登校(週のうち少し休んで、ほかは登校すること)を経て、中2になってからは「もう行かなくてもいい」と思って行かなくなったと言います。母親が図書館で見つけてきた本でシューレを知り、14歳からシューレに通い始めました。大きかったのは、IDEC(International Democratic Education Conference:「1993年以降開催されているフリースクールなどの国際的な集まり。世界フリースクール大会」)で、海外へ出かけたことが進路へ影響を与えたそうです。帰国してすぐに英語の勉強を始め、自分のペースで継続。18歳までシューレに在籍し、大検(現在は高認)を受け、予備校をへて大学へ進学。在学中はイギリスへの交換留学も経験し、大学院卒後、現在は証券会社で働いています

このように東京シューレと出会った子ども達の豊かな可能性が花開く一方、近年「学校」と距離をとり、不登校」を選ぶ子ども達は増加しています。
文部科学省の2018年度「問題行動・不登校調査」によると、病気や経済的な理由を除いて30日以上欠席した小中学生は、16万4528人となりました。これは昨年度比で約2万人の増加となり、増加は6年連続となります。その中で、特に増加が著しいは小学生でした。全小学生における不登校率は2年間で約1.5倍と急増しています。

また、学校内で認知された「いじめ」も、前年度から約13万件増加し、54万3933件と過去最多を更新しました。こちらも小学校で前年より3割以上も増えています。暴力行為についても小中高で7万2940件と前年比で増え、同様に小学校で大幅に増加。
不登校の原因のうち「いじめ」や「暴力」は、あくまでひとつの要因でしかありませんが、こちらの一部データからも学校が安心して学んだり育ったりできる環境ではなくなっている現実が垣間見えます。

東京シューレはフリースクールです。
ここにたどり着くまでに、たくさんの子が学校で傷ついてきます。
またこんなに幼い年齢で、つらい経験をし、人を信じられなくなり、自信を失い「こんなダメな自分は生きていてはいけないんじゃないか」と自己否定した子どもを受けとめ、シューレでサポートしてきました。

しかし「傷ついてから元気にする」ということを繰り返すことへの疑問がありました。
当時から学校の変革はずっと叫ばれてきましたが、肝心の子どもの思いや意見は聞かれず、うまくいっていませんでした。子どもが学校で傷つくことを少しでも防ぎたい
フリースクールで楽しくやっている話をすると「フリースクールだから出来るのよ。学校では無理」と言われます。
いや、学校が出来ないのはおかしいのです。もともと学校は子どもがそこに行って良かったと思える場所のはずなのです。

私たちがこれら課題を解決するため選んだ方法は、自ら中学校をつくることでした。
学校を創ることによって、子ども中心の教育を拡げ、また学校における不登校の対応のあり方について自ら実践し、発信する。その思いから、教育特区を利用する形で2007年4月、葛飾区に「東京シューレ葛飾中学校」が開校しました。

東京シューレ葛飾中学校の様子

こうして開校した「東京シューレ葛飾中学校」は、もちろんれっきとした私立中学校ですが、一般の学校と比べて変わった点がたくさんあります。
毎週朝礼はないし、登校時間もバラバラで、めいめい私服で服装もそれぞれです。チャイムはなく、ゆったりしています。先生のことを「先生」と呼ぶ子は少なく、○○さんとか、あだ名や愛称で呼んでいます。スタッフルームはいつでも子ども達が気楽に入りこんでスタッフとしゃべったり、お弁当は校内の居やすいところで食べています。
このようにとても自由に過ごしています。大声を出して従わせようとしている大人は一人もいません。

東京シューレ葛飾中学校での学生とスタッフ

ここは「子ども中心」の学校です。子ども達が自主的に学校作りに関われるよう、ミーティングや会議もほぼ子どもが主役で運営しスタッフや親はサポートする形で進みます。学校行事やイベントづくりでも、子ども中心の実行委員会で決められ、修学旅行ですら毎年ゼロからーーつまり「今年行くか行かないか」のレベルからーー決められるのです。
また、子ども一人一人の多様性に寄り沿うため、通い方は自分のペースで決めることが出来、週3日の子どももいれば、週1日の子もいます。
登校しても教室に入りにくい子は、校内で自分が居やすい場所で過ごしてもらいます。「個人学習室」という場所という名のフリースペースには担当のスタッフがいて、そこでひとりひとりと会話し、やりたいことをやるサポートをします。

東京シューレ葛飾中学校の活動の一幕

そのほか、それぞれのニーズ、ペース、思い、考えを大切にして、それぞれの持っている生命力を発揮しやすくし、感性や個性を大切にするため「できる限り」のことをしていく。それが「東京シューレ」が作った中学校なのです。

近年「不登校」が急増しているのは「小学生」であり、東京シューレで私達が出会う年齢でもっとも多いのも「小学生」です。
中学校13年の実績を踏まえて、葛飾中学校のような小学校があればいいのではないか。
この「小学生」に多様な学びと育ちの場を担保したいと考えるようになりました。

不登校の原因は、「いじめ」とは限りません。「なんとなく」学校が合わず、行けなくなった・行かなくなった。そんな子どもが通える小学校があったらどんなにいいでしょう。
実際の要望もあり、校舎探しをはじめたところ、今回江戸川区の協力があり、活用させてもらえる廃校が見つかりました。

校舎外観こうして今回、自分達の出会った社会課題解決と子ども達のため、小学校開校にチャレンジします!

今回開校にチャレンジする小学校の正式名称は「東京シューレ江戸川小学校」。東京都江戸川区内(旧 上一色小学校)に2020年4月開校いたします。不登校の子どものための小学校「不登校特例校」として認可を受け、対象としては学校に行っていない・行きづらい子どもが入学可能です。

校内の様子

初年度は4・5・6年生でスタート(定員:51名)。
「東京シューレ葛飾中学校」の姉妹校として、一般の学校と比べて時間数も減らし、負担感も少なくして、子どもが創る・子どもと創る学校を目指します

教室内の様子

今回クラウドファンディングで目標としているのは200万円
この金額は、小学校工事全体の中で、特に子ども達の多様な学びが実現できる「IT施設」の整備に重点的に充てさせていただく予定です。

また、ご支援いただいた方へのリターンとして、東京シューレ江戸川小学校のオープニングイベントへご招待(日時:2020年4月を予定。場所:東京都江戸川区本一色。恐れ入りますが現地への交通費等はご負担頂きます)と、本プロジェクトの成果報告書(2020年度末を予定。PDF形式をメールにて)を送付させていただきます。

●11月22日
東京都より2020年4月1日開校の正式に小学校設置認可書をいただきました。
●12月15日
11月の正式認可を受けて、学校設立の記念イベントを実施。
●12月23日
入学者向けの説明会の実施
●2020年1月25日
入学者向けの説明会の実施(第二回)
●2020年3月4日
クラウドファンディング終了
●2020年4月
開校
オープニングイベント開催

学校は、もともと子どもの学ぶ権利を保障するために設置されました。
「この教育以外はダメですよ」という考えの方のもと押しつけられたとしたら、本当の学ぶ権利の保障にはなりえません。合わなくても我慢しているだけで、充足感や本来の学ぶ喜びは阻害されています。学ぶ権利の真の保証は、多様な教育が選べること抜きにはできません。
もちろんそれを実現するためには社会運動として「仕組み」を変えることが不可欠です。一方、それと同時に、実際にできる範囲内でその子にとって安心して楽しく、豊かに日々成長できる場所を創っていくことがより重要だと感じています。

今回の「小学校」を創るプロジェクトは、まさにその実践です。

東京シューレのスタッフと子ども達

どうか皆さんも一緒に、⼦ども達が傷つく前に出会う、新しい学びを実践した⼩学校をつくるためのこのプロジェクトに参加してください!
===========
※寄付控除について
本クラウドファンディングはAll-in方式の寄附型となります。いただきましたご支援は、学校法人東京シューレへのご寄附となります。弊団体は寄付控除の該当団体です。ご寄付いただいた領収書は寄付控除にお使い頂けます。詳しくは最寄りの税務署等にお尋ね下さい。

支援に関するよくある質問

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このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください

最新の活動報告

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  • こんにちは! 東京シューレ事務局です。クラウドファンディングが終了して約2カ月。この間、新型コロナウイルス感染拡大により不透明・不安な状況の中、ご支援いただきました「東京シューレ江戸川小学校」ですが、4月に開校致しました。ただ、当初予定し、ご支援いただいた方々を含め広く皆様をお招きして開催する想定でした「オープニングイベント(開校記念式典)」につきましては、新型コロナウイルス感染拡大に鑑み、10月4日開催予定の東京シューレ35周年イベントと同時開催とさせていただきます。どうぞ、ご了承ください。(詳細は下記)4月開校と言っても、5月31日までは休校中。入学式に当たる「はじまりの会」もオンラインで開催。28人の子どもたちの多くが参加し、画面で顔を見せあいながらスタート。これから始まる新しい学校生活への期待に胸を膨らませました。オンラインでのはじまりの会開催中の光景休校ですが、オンラインで少しずつ仲間づくり。元気な声とともに集まれる日が、今から楽しみでなりません。写真は開校に先立ち2月に行われた東京シューレ葛飾中学校の子どもたちによる「小学校探検」イベントの模様。机椅子の移動作業や、校内かくれんぼ、土手の散策、そして小学生が楽しくやってこれるよう部屋の装飾をしてくれました。デザインから「ジャングルーム」と名付けられました。飾り付け中の様子飾り付けられたジャングルルーム細かい部分もおしゃれにオープニングイベント(開校記念式典)の詳細につきましては、また改めてご連絡させていただけますと幸甚です。子どもたちが通ってこられる毎日がやってきましたら、またその模様は随時お伝えさせていただきます。どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。 もっと見る
  • こんにちは!東京シューレです!不登校の子どもを中心とした、新しい学びが可能となる小学校を作るためのクラウドファンディング「子どもが創る、子どもと創る新しい学びを実践する小学校をつくりたい!」。3月3日23時59分に終了し、大変ありがたいことに122人の方から2,376,500円のご支援を頂き、サクセスすることができました。深く御礼申し上げます。4月開校へ向け「東京シューレ江戸川小学校」の準備は着々と進行中です。今後、進捗につきましては、本サイト等で随時お伝えさせていただく予定です。(オープニングイベントへのご案内も、別途アナウンスさせていただきます)改めまして、ありがとうございました! どうか今後とも「東京シューレ」および「東京シューレ江戸川小学校」を応援いただけますようお願い申し上げます。 もっと見る
  • こんにちは!東京シューレです!いよいよ開校する東京シューレ江戸川小学校。そこでおこなわれる「子ども中心」の学びや遊びの可能性について、いつも東京シューレの活動を応援してくださっている汐見稔幸さん(教育学者・東京大学名誉教授)が理事長・奥地圭子と対談しました!汐見さんの目から、現在の子どもの教育を取り巻く環境はどう映っているのでしょうか?「フリースクールが運営する学校」が持つ豊かな可能性についても語っていただきました!■学校の主人公は子ども汐見:シューレの葛飾中学校が出来た時、新しい時代の始まりを感じたのですが、今度は小学校。素晴らしいですね。ところで、韓国のソウル市に、不登校の子どもが通うフリースクールがたくさん集まるハジャセンターがありますよね。訪ねてみて驚いたのですが、資金は基本的にソウル市が出しているんですね。韓国は日本に学んで取り組み始めたのに、2022年度までには全ての小中高の給食が無料でかつ有機無農薬の食材になるなど、非常に進んでいる。今や日本の方が周回遅れの感がありますね。韓国には、「不登校の子どもたちは学校に合わないだけで、国の大事な人材なのだから、学べる場所を公的資金で運営するのは当然だ」という意識があるんですよね。その論理は日本でも同じはずなのに、学ぶ権利が保障されず、子どもたちに元気がない。残念ながら日本社会は、不登校の子どもも社会から見たら大事な人材だということに気付いていません。 奥地:ハジャセンターは90年代の終わり頃、東京シューレに見学に来ましたが、公的資金が出ることになってから日本を追い越しましたね。本当に、日本の不登校の子どもは傷ついていて、小学生が「ボク死にたい」って言うんですよ。それで、そんな子どもたちが安心して学べるよう「必要なものを作っちゃおう!」と、1985年、シューレを発足させたんです。シューレでは子どもがやりたいことをかなえられるよう、子ども中心で進めていますが、子どもたちが見事に元気になり、個性を伸ばし、自立していくんですよね。これを学校教育の中で出来ないものか、と汐見さんにもご協力いただいて2007年に中学校を作りました。「この学校に出会えてよかった」「安心出来た」と話してくれる子どもたちを見て、本当に良かったと思っています。でも次に気になったのが、小学生の不登校の急増でした。たくさんの親御さんが悩んでいらして、「学校でなくてもいいか」という意識の広がりもあり、学校以外の選択肢を求める声や「シューレ中のような小学校を」という声が届くようになったんですね。それでチャンスを伺っていたところ、江戸川区のご協力が得られ、小学校開校の運びとなりました。 汐見:小学生の兆候といえば、1995年頃から学級崩壊が目立つようになりましたね。日本教育学会で委員会を作って、僕が責任者になって調査をしたのですが、「こんな学校はやめてくれ」という子どもたちのサインではないか、というのが僕の結論でした。というのは、本来子どもというのは地域で群れて遊んで冒険し、自分の可能性を試したり友達を作ったりするのですが、90年代からそうしたことが全く出来なくなっていますよね。幼稚園や保育園で年齢別に指示されて、小学校に上がったらさらに「じっと座って聞いていなさい」と管理される。年齢別の集団なんて、管理のしやすさこそあれ社会に出たらどこにも存在しない。自分のやることを自分で決めたいし、どうやるか自分で考えたいという主体性を持つ子どもたちが、「何か違うぞ」と感じたのではないでしょうか。席の並びも、日本の学校はきれいに先生の方を向いていますが、例えばオックスフォード大学ではコの字型の中心に先生が居る。そうすると、先生は全員を見やすいし議論もし合えるんですよね。そんなところにも違和感を覚えるのかもしれません。そこで思うのは、フリースクールの増加が学校を変えていく機運を作ってくれるのではないかと。子ども中心のカリキュラムには、教師にも親にも不安が強いですが、元小学校教諭である奥地さん、経験的にいかがですか。 奥地:教師仲間にシューレの話をすると、「それはフリースクールだから出来るのよ」などと言われますが、そもそも学校の主人公は子どもでしょう。学校でも子どもの「これがやりたい。このペースでやりたい」を叶えて当然だと思うんですよね。それで、幸い学習指導要領が緩和されたので、葛飾中学校ではフリースクールの中身を取り入れることが可能になりました。シューレ中の修学旅行は、行き先や内容はもちろん、行くか行かないかから子どもたちで決めています。卒業式や文化祭といった学校の枠の中の行事も、「席の並べ方をどうしよう」など、内容は子どもたちで試行錯誤しながら決めている。その中で将棋が好き、馬が好き、料理が好き、と、自分の個性や得意なことを見つけて伸ばし、それぞれを生かした職業に就いています。子どもの不登校で苦悩して心中まで考えた親御さんが「子どもを受け入れてやりたいことを伸ばしていくと、こんなにも表情が明るくなって、ハッピーですね」っておっしゃった。そんなハッピーな子どもたちをもっと育てたくて、小学校開校に至りました。小学校なら、遊びから学ぶようなことも出来そうで、楽しみです。■子どもたちが学んだり遊んだり成長する“子どもの城”にしたい奥地:遊びはとても大事だと思うのですが、今の日本の子どもたちには足りないように感じます。汐見さんはいろいろな所で遊びのことをお話されていますが、いかがですか。汐見:子どもは遊びから自然に学ぶものなので、僕の中には遊びと学びの境界はないです。赤ちゃんは大人の真似をして学ぶ。言葉の成り立ちも、真似ることを「まねび」と言って、そこから「まなび」が生まれた訳ですからね。ある保育園での例ですが、一人の子が砂浜で磁石を引きずったら砂鉄がついた。昔はこれで刀や手裏剣を作ったと教わり、「僕らも作りたい!」となり、みんなで近所の鉄工所や博物館で鉄の作り方を教わって、半年かけてついに鉄の塊を作ったんですよ!遊びだけど、立派な科学であり、技術の学びですよね。紙飛行機にしても、もっとこうしたら飛ぶんじゃないかとアイディアを出し合ったり本を調べたりするうちに、飛行機にものすごく詳しくなるんですよね。中には、将来航空会社に勤める子も出てくるんじゃないかな。一人の遊びがみんなに共有されると、研究(スタディ)が始まる。本当に好きなことを遊びから始めて、面白いことをより面白くしたくて共同で研究して…と進んでいくのが本当の学びだと思うんです。そうしたら、大企業で上から指示されたことをこなす人生ではなく、本当に好きなことを仕事にする若者が増えるでしょうね。かつてあった職人社会が、もう一度作れるのではないか。かつての日本には職人がたくさん居て、タンスを一つ一つお客さんと相談して作っていたのが、明治のある時期に流通資本が出来たために同じ型のものを大量生産するようになった。すると、お金は入るけど使い手の顔は見えないし、修理してあげたくても出来ない。工場が出来たら職工として雇われますが、上司のいいなりなので職人は生きがいを失ってしまうんです。これ、幸田露伴の『五重塔』のテーマにもなっていますね。僕は、日本が短期間で近代化したのは、こうした職人さんたちのお陰だと思っています。トヨタもホンダも、自らの情熱を形にする職人さんが始めた会社です。それが大企業化して、事務仕事しか出来ない人が増えてきてから、日本はおかしくなったのではないか。本来、人間というのは「こういうモノを作りたい!」と自分なりのこだわりでモノづくりをしたいもので、そのプロである職人さんたちの仕事で成り立つものです。そうしたら、大企業なんて要らないんですよね。自分たちのやりたいことを仕事にして、それで食べていける社会に戻した方が、絶対に自然でいいと思いますね。 奥地:子どもたちってモノを作るのが本当に好きで、作りながら考えますよね。シューレでも、鉄道好きな子たちで50人位乗せられる機関車を作ったことがありますが、その過程で必要に迫られて設計図を書いたりサインコサインを勉強したり、溶接したりしていました。大きな学びになっていましたね。 汐見:それこそが本当の学びですよね。やりたいことのためにどうしても勉強しなきゃいけないことは、あっという間に身に付きます。なぜ必要なのかわからずに勉強すると、すぐに忘れますよね。奥地:今回お借りする江戸川の廃校には、そんな学びのきっかけになるものがたくさんあるんですよ。まず、1200度出る窯があるので、焼き物ができる。小学生なので、ユニークなものを作るでしょうね。また、川の傍なので、上流を遡って探検したり、地図を貼り合わせて辿ってみたり出来る。動物も飼えるし、面白いことがいろいろ出来そうな地域なので、ワクワクしています。 汐見:興味あるから面白くてやることを全て「遊び」といいますが、そういう意味で、本来の学びは“遊び的”でなければならない。それが形を成しているのが、フリースクールだと思う。「イエナプラン」のように、「東京シューレプラン」というのを作ったらどうでしょう(笑)。 奥地:「東京シューレプラン」を作るとしたら、それは「子ども発」という意味になりますね。子どものその時その時の「やってみたい」を叶える!子どもって、やってみて出来るようになるとつまらなくなって、面白がりたいのでルールを変えたりしますよね。いかに面白くするか、いつも頭を働かせている。 汐見:遊びというのは、面白くないと続きませんからね(笑)。面白さって一つのエネルギー源ですよね。面白いから思い切り遊び、もっと面白がりたいから必死になって頭を使う。時には勉強や相談もしなければいけない。子どもにとっては真剣勝負です。そういう意味で、今度の小学校が「学びは遊びです」という学校になったら素晴らしいと思います。 奥地:そうですね。子どもたちが学んだり遊んだり議論したり、時には喧嘩もしながら成長する“子どもの城”にしたいです。中学校の子どもたちにどんな小学校がいいか聞いたところ、「チャイムがない方がいい」「私服がいい」「ターザンロープを付けたい」など意見をもらったので、そんな楽しい学校にしたいですね。■自分で自分の傷を癒せるようにしたい奥地:ただ、「学校」という枠であることの難しさも感じています。入学の条件が不登校であること、これは問題だと思うんです。その基礎には、「一般の学校では難しい子だから、柔軟なカリキュラムの場所でいいですよ」という考え方があって、この意識は変えていきたい。不登校になった子は、ただでさえ学校に行けなくなったことで傷を負っていることが多いのに、社会の意識がそれではますます傷が深くなります。彼らの多くは、ご家庭や社会の考え方も投影して自己肯定感が低いので、これをどう育んでいくかが課題ですね。 汐見:大人がどうこう言うよりは、子ども同士で話をさせる方が早いですね。「ボクと同じだね」「あの先輩もそうだったみたいよ」などと話すことで傷が癒える。なので、上手に語り合える時間、環境を作ってあげるといいかもしれませんね。そうして、自分で自分の傷を癒せるようにしたいですね。 奥地:そうですね。自己否定感いっぱいで入ってきた子も、「ボクはあれが許せなかったんだ」「もっとこうしたかったんだ」などと自分自身のとらえなおしが出来ると、前を向けますね。視野が広がり、やりたいことを意欲的に始める。そんな子どもたちを見ていると、不登校は新しい歴史を作るのに必要だったのでは、と感じますね。 汐見:新しいものを創るのは、いつも古い枠の中で苦しむ人ですよね。「不登校の子どもたちは、既成秩序に収まり切れなかったけれども、そこを乗り越えたら面白いことをやり始めた。そういう人の集団だ」と認識されるようになったらいいですよね。なので、江戸川の小学校も上手に発信できるといい。「この学校の子どもたちが面白いことを始めて、生き生きと育っている」というふうに。そうしたら、「こういう学校も必要で、選べるといい」とか「不登校でなくても入れるようにしたい」という機運になってくるのでは。5年後10年後に、「ここは新しい人材をどんどん輩出している学校の一つだ」と知ってもらえるように、戦略的な発信をすることが大事だと思います。■ホームエデュケーションと地域 奥地:葛飾中学校には、恐らく他の中学にはないホームエデュケーションクラスというのがあります。今の日本社会には、「家に居る子はダメな子だ」という認識がありますが、家も立派な育ちの場なんですよね。ホームスクールホームといって、担任が居て、「これが知りたい」と登校して来たり、スポーツやお出かけ企画などやろうということになったら集まったり。通う形だけではなく、在宅が合う子どももいるので、日本でももっと肯定的に見てもらえたら嬉しいですね。諸外国では広く認められていますよね。 汐見:エジソンもホームエデュケーションで育ちましたよね。そういう学び方が合う子も居るんだと認められる社会の方が、はるかに豊かな気がしますね。地域のおじさんおばさんにも学べますよね。僕は近所の大工のおじさんや職人さんの仕事を見ているのが好きな子どもだったんですよ。小学校に上がる前に既に大工道具をそろえて、いろんなものを作っていました。「あんなおじさん、格好いいな」と憧れていたので、自分が将来サラリーマンになるイメージは全く抱けなかった。どんな大人になりたいか、夢を描くことにもつながるので、学校がそんな格好いいおじさんおばさんに出会える場だといいですよね。料理の好きなおばさんとか、将棋や囲碁の好きなおじさんとか。おじさんおばさんの側にも、子どもに出会って伝えることに喜びを感じてもらえるのでは。「世の中で一番大事な仕事は教師ではないか」と思ってくれるおじさんおばさんが増えるといいですよね。そんな社会作りに貢献する学校というのもいいですね。奥地:そうですね。地域との関係は大事ですよね。今回の小学校の地域は、廃校をどう使うか他にも選択肢がある中で、「子どもたちの声がよみがえるのはいいよね」と、学校にすることに温かかった。本当に有り難いです。川の傍でもあるので、防災拠点としての役割もしっかり果たして、地域との連携で愛される学校にしていきたいです。■「遊びをもっと面白くしていこう」と子どもは一気に成長する奥地:ところで、地域といえばやはり大事なのが保護者だと思うんですよね。保護者の皆さんが子どもさんをどんな眼差しで見ているか、というのがとても大事だと思うのですが、いかがでしょう。汐見:親が授業をしてくれる時間を設けるといいですね。僕が出入りしている小学校では親にも授業をしてもらっていて、その理由を担任教師に聞いてみたんです。そうしたら、「人間は専門性があって本物だと思ったときに感動するものなのに、教師には専門性がない。が、親はみな何かの専門家だ」と言うんです。蕎麦屋のご主人に、国産と輸入のそば粉でそれぞれ作った蕎麦を振る舞ってもらったら、「ボク、蕎麦屋さんになる!」と叫んだ子が居たんですって。弁護士の親御さんにはオウム真理教の事件のことを話してもらったそうです。そうやって、子どもたちは教師からだけでは得られない学びを得る。そんなふうに「授業にも参加出来る学校ですよ」と打ち出すのもいいですよね。 奥地:本当に、親御さんのご理解とご協力は大事ですよね。今の子どもたちは教え込まれる量が多く忙しいので、宿題のない学校にしたいのですが、親御さんからはそれでは不安だという声がきっと上がると思うんです。でも、不安で何かやらせたくなることが子どもへのプレッシャーになるので、理解を広げたいところですね。幼児の段階での親御さんとの関わりは、いかがですか。 汐見:親御さんのスタンスが変わってきていて、“いい教育”をしてくれているか監視したいという意識がありますね。保育園で、子どものカバンにICレコーダーを仕込んで録音し、「こんなところで怒鳴るのは問題だ!」と言って証拠として突き付けてきたり。親御さんと一緒に子どもを育てるという時代ではなくなってきましたね。それから、なかなか理解してもらえないのが、遊びをもっと面白くしていこうとするときに子どもは一気に成長するのであって、それが本当の教育なのだ、ということですね。机に座らせて勉強させるのがいい、厳しい課題を頑張ってやり抜くのがいい、と信じる親御さんがいまだに多い。結果を重視する風潮がありますが、子どもは過程で生き生きしたり成長するものなので、最近はプロセスの大切さを伝える工夫をしています。子どもの表情の変化を写真で記録して、「この間まで見せなかった表情なんですよ。何々君の成長に、バンザイ!」と書いたり、「隣の子が上手くできないのを手伝ってあげていましたよ」と書いたりしたドキュメンテーションを毎日送るなどしています。長く続けていると、何が出来る出来ないではなくプロセスが大事なんだとわかって下さるお母さんも増えてきました。どう親御さんに伝えるか、研究していきたいですね。 奥地:シューレには「親の会」がありますが、これは不登校で親が悩んで孤立すると子どもも辛いので、親同士をつなげたくて始めたんですね。自分の悩みを話したり、他の親子の例を参考にしたりしていただきたくて。その様子を見ていると、子どもの不登校が親御さんを変えていると感じます。子どもの不登校を受け入れられなくてあたふたしていた親御さんが、「親の会」を通して心から受け入れると、子どもとの関係も変わるんですね。「前はこんなことなかったのに、最近は子どもから話しかけてくれます」とか。「そういえばうちも、こんな変化がありました」なんて共感し合ったりされています。テストがどうとか進学が心配だとか話していた方が、子どもの小さな成長に気付いて喜ぶようになるんですよね。親の意識は本当に大事なので、「親の会」は大きな役割を果たしてきているな、と感じます。新しい小学校でも、親御さんとスタッフで信頼関係を築いて、子どもとの三者で作ってまいりますので、汐見さん今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 汐見:こちらこそ!楽しみにしています。 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