「ゑり卯」オーナーとの出会い
ゑり卯は、明治17年に創業し140年続く老舗の花器・茶道具・文化芸術教室です。1代目の瀧卯七郎さんが半襟や帯締め、かんざしなど、着物の小間物の販売をしていたことで、店名を「ゑり卯」と名付けられました。しかし、戦争でお店が全焼した事から業態を変え、今でも、4代目店主瀧喜久子さんが、お店を守り続けられていました。
その様な中、喜久子さんは、今後のお店の運営を悩んでおられました。82歳のご高齢で、子供達も成人し外へ働きに出られ、事業承継の問題に直面されていたのです。
花器・茶道具店といえば、多くの人が花嫁前にお茶やお花を習う事が多く、当店舗も人で賑わっていましたが、それは過去の話。現在では、お茶やお花を習う人は少なくなり、次第に来店者の数も減りました。そう、お花やお茶の伝統文化に触れることの出来る貴重な場所が、無くなりかけていたのです。
この店のシャッターが下りること、伝統文化の発信地がひとつまたひとつと無くなる事は、商店街のためにも、神戸のまちのためにもあってはならない事だと思いました。
・オーナーの高齢化
・後継ぎが居ない
・伝統文化の衰退
・シャッター商店街化
これらの問題が混在していたのです。
普通に貸すのは簡単、しかし喜久子さんの居場所はどうなるのか?
オーナーの喜久子さんとの対話を進める中で、喜久子さんの生きがいを奪うことにならないか。82歳のご高齢であっても、店に立ち続けさせてあげたいと思ったのです。
喜久子さんの居場所、生きがいを担保しつつ、新たな価値を付加させて店舗の活性化し、お店が存続できる仕組みを模索することにしたのです。