はじめに
こんにちは。私達は結婚20年目の婦婦です。
トランスジェンダーであるエリン・マクレディは2018年に母国アメリカで書類上の名前と性別を変更し、記載がMaleからFemaleへと変わりました。それに伴い住民票を更新しに行ったところ、既に結婚している人の性別変更は不可能である として日本での性別変更は認められず、母国アメリカでの性別表記と日本での性別表記が異なっています。こんなおかしいことがあって良いのでしょうか?
トランジションしたばかりのエリンと緑
経緯
このようなケースは自治体にとっても初であったため、法務省や総務省への確認などで半年以上も保留の状態が続き、私達についての記事がAFP通信やBuzzFeedに掲載され、記者達から直接質問がされるまで自治体からの反応は薄く消極的な状態が続き、その間の婚姻状態は不透明でした(下記リンク参照)。
記事掲載直後に消極的だった入国管理局から連絡があり「説明したいことがある」と言われました。私達が「何についての説明ですか?」と尋ねても「電話では答えられない」の一点張りで、「では説明したいことを文書で送ってください」と伝えたところそれは出来ないので訪問すると言われました。「それならば記者を同席しても良いですか?」と伝えた所それっきり連絡が途絶えました。
そして最終的に、2019年6月に目黒区から品川区へ転居し住民票を移す際に、自治体から選択が迫られました。それは、名前は変更しますが、性別も変更するならば妻との婚姻関係の表記を変える事(これは書類上子どもとの親子関係も含まれます)、もしくは日本の書類上の性別を「男性」のままにするか、というものでした。
そしてもちろん私達が婚姻の破棄を拒否したところ、パスポートを元にして発行されている在留カードは「女性」、住民票を元にして発行されている保険証は「男性」等、「二重性別」状態が強いられる結果となりました。
AFP通信「米国人夫が性別移行した夫婦、立ちはだかる日本の法律の壁」
https://www.afpbb.com/articles/-/3213610?page=1&pid=20997723
webD!CE「性別変更後 同性婚を認めない日本のシステムを壊そうとするエリン&みどりさんに聞く」
http://www.webdice.jp/dice/detail/5757/?fbclid=IwAR0lW6EkqlMUFOLKUS2hUlPAkLU5NMy0ERQwTshn12C6r52zI2YFFkflug0
BuzzFeed 「18年間も結婚していたのに「妻」と認められなくなるなんて」
https://www.buzzfeednews.com/article/jp/sumirekotomita/marriage-equality-in-japan?bfsource=relatedmanual
BuzzFeed「夫はある日、女性になる決意をした。2人の”妻”の思い」
https://www.buzzfeed.com/jp/sumirekotomita/living-true-to-herself
「二重性別」か「家族解散」の選択=人権侵害
私達は全く離婚は望んでいません。今までと変わらず3人の子どもたちは私達二人の子供であり、他の家族と同様にエリンの扶養の元、保険や手当てを受ける事を必要としています。
変わらず仲良く暮らしている私達家族5人が何故国の都合で「家族解散」させられなければいけないのでしょうか?「家族でいたければ男性のままでいろ」これを人権侵害と言わずに何と呼ぶのでしょう?そもそも母国では「女性」として生きる権利を与えられているにも関わらず、現住所の日本では「男性」と強要される事は大変な人権侵害です。
もともと、日本政府のトランスジェンダーの法律上の性別変更に対する要件設定は断種を含むなど、WHOをはじめとする様々な国際機関から差別的で人権侵害であると勧告を受けています。
→参考:性同一性障害者特例法 世界から改正を求められる
https://www.hrw.org/ja/news/2019/06/18/331226
国際カップルならではの二国間の法の矛盾を武器に
過去の事例をみると日本でこの法律を改正するのはまだまだ困難があるように見えます。しかしエリンは同性婚を認めているアメリカでの国籍があるが故に「法の矛盾」と言う大きな「武器」を持っています。
私達と同じ様な国際カップルが、このような状況下でも婚姻ビザで滞在している場合は、移住権を失う事を恐れて諦めていると聞きます。しかしエリンは自身で日本の永住権を得ているため、この訴訟によってビザの停止などの心配はないことから、諦めている国際カップルの為にも、この状況を活かし挑戦する立場にあると考えています。
現在世界の27カ国の国が同性カップルの結婚を法的に認めています。日本は、先進七カ国(G7)で唯一法律で同性カップルの結婚やパートナーシップを認めていない国です。昨年アジアでは台湾でも同性婚が合法となり、タイでも現在法制化に向かって議論されています。
日本の現法律がこのような世界の動向と噛み合ない事により生じている今の状況は、同性婚合法化により解決されます。そして、このまま同性婚が認められない状況が続き日本でのグローバル化が進んで行くと私達の様に二国間の法の矛盾に苦しめられるカップルがどんどん増えて行くはずです。
最終目標はもちろん「同性婚合法化」
この様に私達カップルですでに起こっているこの受け入れ難い矛盾を先ずは国に訴えたいと思っていますがこの行動は決して私達だけの特例を求めたい訳ではありません!
もしこの矛盾が解消され、日本でも「女性」だと認められた場合、私たちは日本初の事実上の同性婚カップルとなります。そうなればレズビアン/ゲイ/バイセクシュアルのカップルや、トランスジェンダーやノンバイナリーで書類上同性のカップル、同性親の家族など、多様なジェンダー/セクシュアリティで結婚と同等の法的な保障を望む多くの方々にとって大きな一歩になるのではないかと考えています。その為にも私達の強みを活かしこの矛盾を強く国に訴え、同性婚合法化に向けたアクションを起こしたいと考えています。
パートナーシップ制度と同性婚は、まったく違う
日本は、先進七カ国(G7)で唯一法律で同性カップルの結婚やパートナーシップを認めていない国です。そう言うと「日本でも渋谷とかで同性婚できるんじゃないの?」と自治体単位でのパートナーシップを混同している方も多くいるようですが、パートナーシップ制度と同性婚は、まったく違うものです。
また、外国における「パートナーシップ」とは、日本におけるパートナーシップ制度とは異なり、法的に認められるパートナーシップ関係であり、それ故にあらゆる保障を受けることができます。そこが日本の自治体で行われている「パートナーシップ」とは全く違うのです。ですから私達が自治体からパートナーシップを認めてもらった所で私達の子供は「私達の子供」として法的には扱われませんし、ミドリが現在入っているエリンの扶養からも外されることになります。
婚姻カップルには認められていてパートナーシップでは認められないことの例
■医療保険の被扶養者
■所得税、相続税の配偶者控除 ・配偶者特別控除
■医療費控除のための医療費合算
■法定相続
■労災時の遺族補償給付
■子どもの共同親権
■遺族年金
■遺族給付金
このプロジェクトで実現したいこと
1. 裁判を起こす事
戦うためにはまず、弁護団の方々と作戦を練らなければいけません。しかしそれにはまず弁護団に対しての着手金が必要です。もし着手金が集まれば弁護団の方々と契約を交わし、本格的に裁判を起こすことができます。
弁護団の方々はこれは全く過去に例のない裁判でどの様な結果が出るかは全く読めないが、少なくとも「二重性別」であることは非常におかしいし、それを訴え勝訴する可能性は考えられるとおっしゃっていただいています。
2.様々なメディアで訴える事
裁判を起こすからには当然勝訴を目指します。そのためにも国内はもちろんのこと、世界中にこのおかしな状況を知らせる必要があると思っています。裁判になれば、世界中のメディアで訴訟について報じられ、是非が問われることになるでしょう。そして日本の全ての方々と「何でこうなるの?」「おかしいでしょ?」「あなたたちには関係ないかもしれないけど困っている人がいるんですよ。」「この問題みんなで考えようよ」と多くの方に考えてもらうきっかけを作ることになります。
長らく日本では「同性婚」という言葉さえ一般的に知られていなかったかもしれませんが、様々な方のアクションや海外でのニュース等を通じてここ数年の間に急速に認識が広まり、メディアでも議論されるようになってきました。
最近の世論調査では半数以上の51%が「同性婚合法化に賛成」との回答が出ています。20~50代に至っては8割以上の人が肯定的です。世論がここまで来ているのに同性婚が認められない理由の一つには「自分に直接関係ないから」と言う思いがあるからではないでしょうか?
私達はこの裁判について報じられる事で、一人でも多くの人に人権侵害に遭っている人々を見て見ぬふりをしていても良いの?と言う事を大小様々なメディアで伝えていきたいと思っています。
そして一人でも多くの方に「そろそろ同性婚認めようよ!」と言う声を発して頂きたいと思っています。裁判での結果に関わらず、多くの方々に賛同して頂き、SNSでシェアしていただく事も大きな前進になると信じています!
NHK NEWS WEBより
3.様々なアクションイベントを起こす事
私達は昨年からトランス女性差別により入場出来なかったエリンの為に起こしたカウンターパーティーを皮切りに、LGBTQをはじめマイノリティサポートとフェミニズムを掲げた「WAIFU」と言うクラブイベントを主催しています。
LGBTQはもちろん、人種民族マイノリティ、身体マイノリティ、女性、を中心としたDJを迎え、都内のクラブで不定期にイベントを開催しています。昨年の5月に始まり半年間で5回のクラブイベント、インターネット配信の音楽番組「Dommune」でのトークとDJ配信、東京芸大やTHE M/Allでの「ジェンダーにおけるクラブでのセーファースペース」に関する講演、電子音楽とアートの祭典「MUTEK」でのトークとDJパーティー、他のレズビアンパーティーとの共同パーティー等、短期間で実に様々なイベントを行い、タイムアウト東京やハーバービジネスオンライン等、多くのメディアにも取り上げて頂きました。
そして来る2月29日は私達の結婚20年アニバーサリーという事で、青山のクラブ蜂で「同性婚」をテーマにしたトークを交えたイベントを行う予定です。
https://www.facebook.com/events/599383843959915/
→参考:「差別、セクハラお断り」 DJユニット・WAIFU(ワイフ)が作るクラブカルチャーの未来とは
https://hbol.jp/211993?fbclid=IwAR1akvD_t820dD9ztMXw8xzwv_1SRigFGzXC6VZq788JZ6cp23bXc3fL180
→参考:自分たちの居場所を作ること
https://www.timeout.jp/tokyo/ja/lgbt/interview-waifu?fbclid=IwAR2HO2NLqZLJtEJCobygG9yeU9BXxiR0rWyr1R_qoUFkifwb4AkHLDwyEIM
この様に資金があれば私達は同性婚に向けて様々なアクションを行い資金を募り、必ず裁判を起こしたいと考えています。
WAIFUイベント風景
予定弁護団
山下敏雅弁護士
永野靖弁護士
高遠あゆ子弁護士
加藤慶二弁護士
予定弁護団からのメッセージ
日本は長らく,セクシュアルマイノリティの裁判例が,極めて限られた数しかありませんでした。社会の無理解・差別・偏見のために当事者が声を上げられない,という事情に加えて,弁護士等の法律家の間でもセクシュアルマイノリティの問題が人権問題であるという意識が希薄でした。
2007年にLGBT支援法律家ネットワークが立ち上がり,ネットワーク内外の弁護士たちが当事者と共に声を上げるようになりました。「GID法律上も父になりたい裁判」や,「日本人・台湾人ゲイカップルの在留資格訴訟」,「結婚の自由を全ての人に訴訟」,「トランスジェンダー職員の職場処遇改善訴訟」など,一歩一歩ではありますが,着実に,社会は良い方向に変化しています。
今回の二人には,「トランスジェンダーの性別変更に手術を要する日本と要しない他国」,「同性婚ができない日本とできる他国」という事情から,極めて理不尽な状況が降りかかっています。
エリンさんがアメリカで女性に性別変更をしたにもかかわらず,日本でエリンさんが女性としてきちんと取り扱われない。二人は日本で婚姻しているのにもかかわらず,エリンさんの性別変更によって,緑さんの住民票上の記載を「妻」でなくそうとする。まったくおかしなことです。
おかしいことに「おかしい」と声を上げて闘うことは,とても大切で,そして,とても労力を要することです。
どんな人も一人ひとりが尊重される社会,人権がきちんと保障される社会を皆さんと共に築いていきたいと思います。
ぜひ,二人をご支援ください。
資金の使い道
裁判を始めるにはまず弁護団に対する、着手金が必要です。そして、今回、この裁判は賠償金を求めるわけではないので、結果が出た場合弁護団に対する報酬が必要です。それ以外に弁護活動には相当な経費(裁判記録のコピー代、交通費、調査費、研究者・専門家に支払う報酬、翻訳費用など)がかかります。
それらを含めた全ての資金を皆様のご支援で賄いたいと考えており、それら全てを合計するといま現在英語でのクラウドファンドを行っていて集まっている金額の30万円を引いて2,380,000円と言う金額になります。
それ以上に支援金が集まった場合は同性婚合法化に向けて、私たちが運営に関わっているWAIFUなどの活動費に使用したいと考えています。
実施スケジュール
2月29日 クラウドファンド支援金募集イベント開催(青山蜂)
4月以降 裁判準備
必要な金額238万円以上支援金が集まった場合
4月以降 裁判とイベントの両方開催
尚、着手時弁護士費用等で必要としている約80万円以上が集まり裁判を行なったが結果を得られず弁護士報酬額が下がった、あるいは無くなった場合は差額分は、同性婚合法化に向けて私達主催のイベント開催の資金に充て、後日会計報告いたします。
2020年4月中旬 〜リターン発送
※本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
なお、現在英語のサイトでもクラウドファウンドを行っています。海外に向けてもぜひシェアなど、皆様の応援よろしくお願いいたします!!
Help us Sue Japanese Gov't: Gender and Marriage
↓↓↓
https://www.gofundme.com/f/3p65eg
自己紹介・活動実績など
マクレディ森田 緑
奈良生まれ。クラブが出来始めた1990年頃より繊維素材を使ったアーティストとして活動し、クラブ等のデコレーションを関西中心に手がける。1994年から約2年間、青年海外協力隊員としてヨルダンの大学にてテキスタイルを指導する傍らパレスチナキャンプ等でボランティア活動を行い現地の方との交流を深める。2000年2月29日アメリカ人のエリンと結婚。2001年に長男、2002年に次男、2009年に三男が誕生。母となった後はとりわけ社会問題に関心を持ち、ここ数年は特に韓日問題など戦後の日本のあり方についての作品を韓国で発表し続けている。
2018年にエリンが改名し性別を男性から本来の性である女性へとトランジションを果たしたためLGBTQについて深く考え「家族」について考え直した結果「婦婦」として妻を支えながら共に生きることを決意。妻に対しより一層「家族」としての絆を感じ、積極的にトランス女性をサポートする活動を行なっている。
→参考:韓日新聞紙 一針一針縫い 過去を正す新しい繋がり
http://www.kookje.co.kr/news2011/asp/newsbody.asp?code=1600&key=20170824.22023010079&fbclid=IwAR0UtOpcjImOlerhfcc8OYk7kEb_3mbG-ZzKw35fMcjn1Wl6sD1Kz4mFYRk
マクレディ エリン https://sites.google.com/site/esmccready/
オハイオ州生まれ、テキサス州オースティン育ち。テキサス大学大学院卒。
青山学院大学 英米文学科教授。言語学者。専門は形式意味論、言語哲学。
オレゴン大学在学中に日本のパンクバンド「BOREDOMS」に魅せられ1994年に早稲田大学への留学を果たす。卒業後再来日し現妻、緑と出会い、互いのクラブ好きから意気投合し結婚。大学院卒業後、大阪大学の研究員を経て現職へ。
昨年から多様性とフェミニズムを掲げるイベント「WAIFU」を妻緑の他数名の友人と共に都内のクラブにて主宰。
最新の活動報告
もっと見る以前掲載していただいた東洋経済オンラインの記事をシェアさせていただきます。
2022/03/07 17:06今更ですが、1月に掲載していただいた記事もシェアさせていただきます。「同性婚の親や、トランスジェンダーの親は子供が混乱し、教育に良くない」と言っている保守派、トランスフォビアに向けて反論できたのではないかと思っています。息子が塾ナシで「慶應と美大合格」ある家族の秘訣 もっと見る
国際女性デーに向けて本日日経ウーマンより記事を掲載していただきました!
2022/03/07 16:58パートナーのトランジションで知った自分の中の男女差別 もっと見る
本日ラジオ出演させていただきました。
2022/02/27 17:57こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
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