● はじめに・ご挨拶
はじめまして。田谷の洞窟保存実行委員会の実行委員長を務めている田村裕彦と申します。2015年から田谷の洞窟の保存活動を開始し、2017年に「田谷の洞窟保存実行委員会」を設立しました。洞窟全体の3Dデジタルデータ保存を目標にしています。
田谷の洞窟(正式名称:「田谷山瑜伽洞(ゆがどう)」)は、横浜市の南部の栄区田谷町と言う田畑と里山が広がる「都市近郊農村」にあります。洞窟と言っても、僧侶がノミを片手に掘り進めて築造された全長570m(参拝ルート:250m)もある人工の素掘りのトンネルなのです。全て、人の手がつくり上げた我が国でも他に類を見ない、横浜市登録史跡と言う地下文化財なのです。
●なぜ、「田谷の洞窟」なの?
皆さんは、子供の頃に行った修学旅行や家族との旅行などで、歴史・史跡・名勝とか寺社仏閣などを訪問した事があるかと思います。その時は「ふぅ~ん」と言う程度で、あまり深く何かを感じる事がなく、大人になってから改めて同じところを訪問すると「こんなにすごいのか!」とか「子供の時の印象と違う!」などと感じたことはないでしょうか? 私と田谷の洞窟は、このような再会でした。
土木や建築の技術的視点を持ってこの洞窟を改めて訪問すると、「複雑な形をどうやって掘ったの?」、「なぜ上の階とぶつからずに掘れたの?」、「どうしてこんなに奇麗にレリーフが残っているの?」、「どうして田谷に掘ったの?」などなど、幾つもの不思議に出会います。とても興味深く「すごい!」と感じざるを得ませんでした。
子供の頃この辺りで遊んでいた私には、地元にこんなにすごい地下空間(ゲニウスロキ)があったのかと再認識したのです。そこで、この洞窟を管理している定泉寺に何度も足を運び、ボランティアで保存活動を始めました。
●保存活動の概要
文化財保存の全くの素人に何が出来るのだろうか?まずは協力して頂ける専門家を探す事から始め、何人もの専門家や研究者に協力を呼びかけ1年がかりでようやく協力者が集まりました。そこで、2017年に研究者と専門家と地域の方々による「田谷の洞窟保存実行委員会」を立上げました。
(田谷の洞窟保存実行委員会ホームページ:https://www.tayacave.com/ )
現在、地域の方々や、様々な大学と連携して洞窟を知るための基礎調査を実施しています。
これまでの基礎調査から、田谷の洞窟のような巨大な地下空間を守るためには、その上の里山を守らなければいけないと言う事が判っています。
里山を守るためには、都市近郊農村として連なるこの地域が自立的に存続(継続)されなければなりません。その為に、将来に残せる自立的で現時代的な新たな地域デザインの再検証が必要と考え、「地域つくり」と称し、地域資質基礎調査を進めています。
農村風景や里山はとても価値の高い事に気づかされるものです。「自分達の足元や身近な場所が外部から見るととても魅力的なんだ!」と周辺地域の方々が再認識する必要があるのだろうと考えています。そこで、地域の人的資質の発掘や育成の為に、この地域の公立小学校と連携して「人つくり」として、地下文化財「田谷の洞窟」を入口にした地域総合学習の学びの機会を提供し、保存活動に必要な資料を一緒に製作しています。
まとめると、我が国でも他に類を見ない巨大な地下文化財を後世に残すためには、
①「田谷の洞窟の理解」 (地盤・地質・地形・環境・文化・地域社会 etc)
②「田谷の地域つくり」 (地域計画、地域デザイン、建築・都市)
③「田谷の人つくり」 (小学校と大学が連携した学びの機会の提供など)
の3つの柱を基本に保存活動を進めています。愚直に、3年継続しています…。
今回、クラウドファンディングを通して再度この多分野横断型の保存活動費へのご協力の輪を広げたいと考えています。是非、ご検討の上、ご支援を頂ければ幸いです。
●「田谷の洞窟」って何?
初めて知る方々には、「田谷の洞窟」って何?という純粋な疑問があるかと思います。横浜市栄区田谷町にある真言宗大覚寺派「定泉寺」の境内の小さな里山の下にある、鎌倉時代から僧侶が掘り進めたと伝わる全長570mの巨大な地下伽藍(修行窟)です。下記リンクから詳細を確認できます!
(リンクへジャンプ:保存実行委員会HP「田谷の洞窟とは」 )
●このプロジェクトで実現したいこと・・・これまでの活動の継続へ!
田谷の洞窟保存活動は、多岐に渡っています。大きく4つのミッションを掲げています。その為の、数多くのプロジェクトが進行中です。下記図表をクリックするとさらに詳しい内容を確認できます。
下記の「リンクへGO」をクリックすると「各プロジェクトの詳細」と「これまでの活動の様子」をご確認いただけます。
mission1 基礎調査
①行政資料調査:これは既に終了しています。
②工学的基礎調査:下記の調査を継続実施したいと考えています。
②-1 地質工学基礎調査 → リンクへGO (協力:埼玉大学)
②-2 地理・地形・空間基礎調査 → リンクへGO (協力:北海道大学、東京大学CSIS)
②-3 環境基礎調査 → リンクへGO (協力:埼玉大学)
③文化財基礎調査:洞内レリーフのデジタル撮影調査 → リンクへGO (協力:鶴見大 緒方先生)
mission3 地域つくり
横浜国立大学都市イノベーション研究院の大学院1年生の地域演習課題として田谷の地域デザインを
検討しています。 → リンクへGO (協力:横浜国立大学)
mission4 人つくり(小大連携プロジェクト)
田谷の洞窟保存活動に協力している大学研究者が、横浜市立千秀小学校の6年生の「総合学習の時間」
を活用して、田谷の洞窟を基軸にした各専門授業を行い、卒業制作と兼ねた「模型資料等」を制作する
プロジェクトです。6年生達は、地域文化や地域社会、地域環境等についての「地域総合学習」の授業
から地域の大切さや価値の再発見を学んでいます。 → リンクへGO (協力:全ての協力大学)
この小大連携プロジェクトは、2019年に地理情報システムを活用した教育事例として「国土交通大臣
賞」を受賞しました。 → リンクへGO
多分野横断型の活動の様子
●資金の使い道
今回のクラウドファンディングは2回目の挑戦です。集めた支援金は以下の活動費に活用します。
1. 調査資機材の購入(撮影機材、電池、備品等)
2. 実行委員会維持の為の諸経費の一部
3. 小大連携プロジェクト準備費用(授業教材等準備費、文具費、印刷費、消耗品費)
4. 地域連携諸経費(地域報告会等の諸経費)
●実施スケジュール
2020年2月 2019年度小大連携プロジェクト 模型制作授業
3月 地域報告会(2019年度の活動成果の報告)
4月 2020年度小大連携プロジェクト 授業計画検討開始
基礎調査再開(地質工学基礎調査、地理地形空間基礎調査、環境基礎調査他)
5月 2020年度地域資質調査開始
6月 地域連携プロジェクト 落語会 開催(予定)
10月 小大連携プロジェクト 研究者による事前学習授業開始
12月 地域資質調査 成果発表会(予定)
2021年2月 小大連携プロジェクト 模型制作授業
3月 地域報告会(2020年度の活動成果の報告)
●最後に
「田谷の洞窟」は国内ではあまり有名な文化財ではありません。文化財としてもランクが低い登録史跡です。しかし、海外からの注目はとても高いのです…。2017年のある日、イタリアの国立研究機関からメールが来ました。一緒に地下文化財の共同研究をしないか?と言うものでした。彼らは日本の地下文化財を調べていたところ、田谷の洞窟保存活動が多分野横断的に行われている事を知り、国際共同研究を持ちかけてきたのです…。2018年・2019年と二年に渡り、イタリア国立研究会議と地下文化財の保全と利活用についての国際共同研究が進められてきました。(リンクへジャンプ:二国間共同研究)
地質工学基礎調査から、洞窟の土質は乾燥に弱い事が判明し、2018年にはJR東日本文化財団より助成支援を受けて、密閉洞門の改修事業も行うことが出来ました。地道な学術的な基礎調査から保全方法が徐々に判りだしているのです。(リンクへジャンプ:密閉洞門事業)
小大連携プロジェクトでは、その教育的な活動事例が、2019年の秋に国土交通大臣賞を受賞し、多方面より高い評価を頂けるようになりました。(リンクへジャンプ:国土交通大臣賞)
また、この小大連携プロジェクトを通し、卒業生達の中に郷土愛や、将来の進路に希望を持つ生徒が出て来ている事も、この保存活動の大切な成果でもあります。(リンクへジャンプ:小大連携プロジェクト)
地下文化財保護と言うアクションは、地域環境との共生、地域社会との共生、地域つくりと人つくりがとても大切な仕事になります。従って、長い年月を掛けながら愚直に、迅速に、着実に継続していく事が大切なのです。
始めた当初は、こんなにも多くの研究者の賛同や多方面からの高評価を頂くようになるとは、思いもしませんでした。なぜか国際共同研究まで発展するとは…着実に実を結んでいるのではないかと考えています。じっくり育てていく、そんな活動が成果を生んでいるように思えてならないのです。だから、当保存実行委員会は、この活動を継続していきたいと考えています。
是非、田谷の洞窟保存活動に、心あるご理解とご支援を頂きたく、重ねてお願い申し上げます。
田谷の洞窟保存実行委員会 実行委員長 田村裕彦
●募集方式について
<All-in方式>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
●リターンについて
心ばかりではありますが、ご支援頂いた方々には下記表のお礼をさせて頂きます。
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