トランプ政権下の米国で、2年間にわたり、社会的弱者コミュニティ・支援NPO等の変化を調査する本プロジェクトにご関心の皆様、ありがとうございます。
言い出しっぺ・やりだしっぺのライター・みわよしこ、こと三輪佳子です。
既にパトロンになって下さっている皆様に、心よりお礼申し上げます。
あと20日で、なんとか100万円に到達できれば、と切実に思うところです。
100万円あれば、地域にもよりますが、3-4ヶ月の米国滞在、および米国内での移動にかかわる費用は賄えると思われます。それだけでも、かなり充実した調査活動ができそうです。
既にパトロンになって下さっている皆様も、迷っておられる皆様も、SNS等でのお一言と一クリックでのご紹介で、さらなる応援をお願いできないでしょうか。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
写真は、NYCのファウンデーション・センターに置かれていた書籍の表紙です。「首かせか? 利益か?」というタイトル、副題は「王家の慈悲の伝統」。
このファウンデーション・センターは、NYCのオフィス街の一角に立ち並ぶ高層オフィスビルの中の高層階にあり、寄付をしたい人や企業と、助成を受けたい人や団体をつなぐ役割を果たしています。ちょっとした図書館のようなスペースもあり、寄付すること・助成を受けることの両方に関して、歴史・哲学・ノウハウなど多様な書籍が用意されています。
ここで助成を受けるにあたって、米国内に住所があれば有利ではありますが、外国から応募することも可能です。また、助成金は米国内で使う必要があるとは限りません。たとえば、ベトナム戦争時に現地に取り残された米兵の子どもたちと母親たちを救済する活動にも使われているということです。
本日は、助成に応募する側に求められることの一つ、「やりがい搾取」されないことについて紹介します。
たとえば、「3日間のイベントを開催するために助成を受けたい」としましょう。
必要な費用は、まず、会場や機材のレンタル代、物資等の送料、それから保険でしょう。
スタッフがボランティアでも、ボランティア保険は必要です。
それら、日本でも当然と考えられる費用に加えて、必ず含めておかなくてはならない費用があります。
イベント開催責任者(多くは助成金の応募者)自身の人件費です。
イベントを開催するには、助成金への応募を含めて、責任者による下準備が必要です。
報告も含め、事後にもさまざまな作業が必要です。
もちろん開催中は、責任者として会場や周辺に存在し、さまざまな対応をする必要があります。
「その責任者がタダ働きというわけにはいかない」というのが、米国での助成金を出す側の考え方です。
人件費は、職業を持っている人の場合、そのイベントを開催しなければ得られるはずの収入として計算できます。
現在は無職の人でも、「最低時給×時間数」など、何らかの形で計算することが可能なはず。
いずれにしても、開催責任者の人件費を書かずに応募すると、まず、助成金は受けられません。
もちろん、イベントスタッフに人件費を支払う場合には、同様に人件費を計上することが可能です。
また、一時的なイベントではなく継続的な活動の場合は、自分が食える人件費、養育の必要がな家族がいるなら家族を養える人件費を計上することができます。
というより、計上する必要があります。
いずれにしても、「スタッフには人件費を払うけれども責任者自身は受け取らない」は許されないのです。
日本ではまだまだ、責任者だけが人件費を受け取ると「銭ゲバ」などと非難されがちです。
でも考えてみれば、当たり前の話ではないでしょうか。
あらゆる人の時間・エネルギー・資産は、有限です。
その人の限りある資源は、まず、その人自身・その人の家族など大切な人々が生きて暮らすために必要です。また、資源の再生産を行う活動も必要です。
「やりがい搾取」された果てに資源が尽きてしまったら、「やりがい搾取」されることもできなくなります。差し出せる資源が何もない人は、もはや搾取の対象にもなれません。
もしも、非営利活動や市民活動に貢献する人の行く末が、「やりがい搾取」の果てに燃え尽きることしかないのであれば、社会を支えることも、社会を変えることもできないでしょう。
責任をもった活動が継続されるためには、せめて責任者に、自分自身の人件費を受け取ってもらわなくてはなりません。
そうしなければ、たとえばイベントの終了後、責任者はイベントによる持ち出しを穴埋めすることから始めなくてはならなくなります。
それでは、活動の継続性は見込めません。
活動の価値を認めればこそ、継続してほしいと望めばこそ、助成を行う団体は、責任者が自分の人件費を計上することを求め、さらに、助成採択となった際には実際に受け取ることを求めるのです。
これは、ファウンデーションセンターが情報提供する助成金に限った話ではなく、少なくとも、責任者の人件費を認めない助成金を聞いたことはありません。
だから、米国では、寄付が社会的活動の経済的基盤となることができるのです。
なお、
「米国内で助成金を獲得するためのノウハウ=資金を助成金として社会活性化のために運用するノウハウ」
として確立されてきたことがらの中には、助成金を「ヒモつき」にしない工夫、助成を受ける側の立場を弱めない工夫など、数多くの工夫が含まれています。
次回以後も、随時、紹介していきます。どうぞご期待ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
本プロジェクトの拡散にも、どうぞご協力くださいませ。
また、まだパトロンになっていない皆様におかれましては、可能な範囲で、パトロンになっていただくことをご検討いただければ幸いです。