2024/01/17 12:47

四年が経った。あれから色々なことをやってきた。色々なことを知り、考えた。そうして今の僕に、これからまたヒョーロンを再出発させようという気力はもうないけれど、それでも、頭の片隅にはまだヒョーロンがある。

世の映画や漫画、小説やアニメが、その「表層の娯楽性」だけを搾取されてしまうことへの危機感。それがヒョーロンの始まりだった。

しかしあれから四年が経った今、YouTubeやTikTokにコロナが拍車を掛けたことで、「表層の娯楽性」しか持ち合わせないコンテンツが加速度的に増えてしまった。

自分が何を求めているのかすらも定かでないままにアプリを開き、「笑える」「泣ける」のためだけに作られた娯楽を次から次へと浴びて、そうして育った人間に一体何が蓄積していくのだろう。

分かりやすいものに囲まれて、分からないものを分かろうとしなくなった。それが、僕たちの教養や専門性、 アイデンティティ、一意性といった側面において、非常に大きな損失であるような気がしてならない。

今の僕に、これからまたヒョーロンを再出発させようという気力はもうない。だけど、2019年の頃の僕たちには確かにヒョーロンが必要だったと、今でもそう思っている。

その誇りと、それを実現できなかった四年前の僕の未熟さに募る後悔を、ここに書き残しておきたかった。

応援してくださった皆さんへ、ありがとう。そして、出直せそうにないこと、すみません。今年も皆さんに良いことがありますように、皆さんが良い映画に出会えますように!

原稿に追われる暖かい冬の日
坂井優作