「死ぬことは怖くないけど、怖い」まだまだ若く、まだまだ人生が続くと思われていた、比較的若い方の言葉です。末期癌でした。この言葉から1ヶ月ほどで旅立ちました。死を目前にした方が、少なからずおっしゃる、怖い。何が怖いのか?死そのものが怖いとおっしゃる方もあれば、死ぬことで、そこで物語が途絶し、人々や地域から忘れられることを怖いと表現される方もまた少なくないことを知りました。寂しいではなく、怖い。もちろん全員がそう思うわけではないですし、怖くないという方もあれば、別の感情を持つ方もいらっしゃることでしょう。様々です。僕は、医者になり、これまで、たくさんの患者さんの人生や死に接してきました。申し訳ないですし、情けないことですが、お看取りした全患者さんのことを明確に覚えているわけではありません。それでも、ただ一つ言えるのは、一つとて同じ物語はなく、一人とて同じ死はなかったこと。いずれも、かけがえのない物語であり、尊い死でした。それら物語や死は、患者さん一人では成立せず、家族を含めて実に多くの方との繋がりの中にありました。だからこそ、人はひとりでは生きていけない、と強く思うようになりました。そして、人と繋がり、地域と繋がり、社会と繋がってこそ、人生という物語を豊かに過ごせる、とも。単なる町医者に過ぎない僕が、大好きな患者さんたちのために何ができるか、いつも考えていました。せめて憶えておくこと。せめて忘れないでおくこと。忘れず憶えている物語を、繋いでゆくこと。これしかないなと。だから、僕は、大好きな患者さんに最善を尽くすと決めています。最善を尽くして、物語を一緒に歩んで、その物語を忘れず憶えて、繋いでゆこうと。人にとって、物語、とても大切です。僕は、今回、人や地域の物語が生まれ、伝わり、繋がる場を創りたいと考えています。こういう場を、こころのバリアフリーな場と僕は呼んでいます。個人の違いが尊重されることはあっても。差別されることは絶対にない。誰もが自由に集って、誰もが輝ける場です。誰もが自由に集える仕掛けとして、僕の目標の達成の第一歩として、今回、クラウドファンディングにチャレンジしています。みなさま、どうぞ、御支援をよろしくお願いいたします。