2020/02/13 11:23

桑名宗社です。

今回は、宝刀村正写しを作る上畠宗泰刀匠についてお話させて頂きます。

上畠刀匠と初めてお会いしたのは、平成30年12月でした。

以前より交流のあった福井款彦氏(日本美術刀剣保存協会三重県支部副支部長)の紹介で松村壮太郎研師と共に当神社へお越し頂きました。

当初の目的は、漆の塗られた「太刀 村正」を研いでいただくことが目的で、村正の写しを製作することは考えておりませんでした。

以前より先代宮司より

「拝殿下に錆びた刀を見たことがある」

とは聞いており、何度か探してみましたが、見つけることができすに過ごしていましたが

「せっかく刀剣の専門家の方々が来るなら、もう一度探してみよう」

と思い、お会いする前日に再び探すと、戦災により被害を受けた当社の刀剣31振が神社拝殿下より発見されました。

錆びて折り曲げたれた刀は、リンゴの木箱に納められていました。

上畠刀匠は、それを快く持ち帰っていただき、錆を取り、曲げを戻し、一本ずつ調査報告書を作っていただきました。

神社に戻ってきた焼け身刀剣は、微かな精気を持つように感じられ、奉納者の思いを蘇らせてくれたように感じました。


刀剣について素人の私が、福井氏に質問したことがあります。

「もっとベテランの方が良いのではないですか?」

そして福井氏は

「若手でありながら、技術もしっかりしているし、何よりもこれからの時代を支えていく人たちです。神社の御神宝を長く守っていただくことが、神社にとってはよいのではないでしょうか」

まさにこの言葉の通りであると感じました。

10月20日~22日 「ご神宝 村正特別公開」の際に、修繕の経緯や焼け身刀剣の説明を頂き、また何度もお会いして、刀に対する思いや、研究活動を聞くうちに、

「この方に村正の写しを作ってほしい」

そう感じるようになりました。

神様に向き合い、クラウドファンディングの支援者の思いにしっかりと応えていただける、上畠刀匠はそんな方であります。

上畠刀匠が打つ「宝刀村正写し」は「宝刀村正」と変わることなく、大切に守り続けてまいります。