当プロジェクトも終了まで余すところあと20日ほどとなりました。
リターンの品々は、順調に生産段階に入っております。
これまでにご支援いただきましたみなさま、まことにありがとうございます。
まだの方は、ご支援のほどなにとぞよろしくお願い申し上げます。
さて、今回は収録曲のワールド音頭(秋田音頭)の続編ということで、私のカバー曲に対する想いを絡めて述べたいと思います。
このワールド音頭という曲が、秋田民謡「秋田音頭」のカバーであると同時に、さらにこの秋田音頭のカバー曲であるドリフの「のってる音頭」のオマージュでもあるという事を以前にも書きましたが、うちのライブにおける当初のバックトラックアレンジは、Underworldの「Born Slippy」のイントロで始まり、エヴァの「Decisive Battle」のあの独特なリズムのティンパニーに秋田音頭の歌詞を乗せて演ってたんですね。
ライブでは、バックトラックに元曲を実際にサンプリングしてたのが面白かったワケですが、アルバムに収録するとなるとそうはいきませんので、Born Slippy→雅楽でカバー(余談ですが、CAVE GAZE WORLD の“WORLD”は、Underworldにちなんでネーミングしたものです)エヴァのティンパニーは、同じリズムで和太鼓のトラックを作って代用しました。
当然、元ネタまんまのアレンジではないので、かけらもなくなってしまいましたが、分る人にはオリジナルの世界観を感じつつ、元ネタを知らない人にもこれはこれでいい感じに受け入れてもらえるのではないでしょうか。
そして、全世界的に有名なエヴァのこの「Decisive Battle」ですが、これにも実は元ネタが存在します。それが、映画007シリーズの「ロシアより愛をこめて」で流れる「Takes The Lektor」という曲です。
よく似ていますが、これがパクりだなどという事を言いたいワケではなく、おそらくこれは、映画音楽の巨匠、ジョン・バリーに対するリスペクトの念を込めて作られたオマージュなのだということです。でなければ、元ネタにこんなに寄せるハズがありませんし、それが分かった今、こんなに支持されるワケがありません。レモンティーやセルナンバー8にしても、きっとそういう事なのでしょう。
私が大好きな、ザ・フーのデビュー曲「I Can't Explain」は、キンクスの「You Really Got Me」のギターのリフにインスピレーションを受けて作られたと聞いていますが、その You Really Got Me もキングスメンの「Louie Louie」にヒントを得て作られたという事ですから、とどのつまり、世の創作物というものは、すでに同じ事を考えた誰かにやられていて、基本ゼロから生み出されたオリジナリティーというものは存在しにくい、であるならば、影響を受けた元ネタがあって、それを自分というフィルタを通して改変し、こういう結果になった。と堂々と言えればそれはそれでアリなのです。
芸術やデザインの世界でも割とある事なんですが、元ネタを基にオリジナル作品を作るのと他人の作品を基に自分風にアレンジしてカバーするのは、根本的に考え方が異なりますし、その境界は非常にあやふやなものではありますが、共通して言えるのは、「元ネタに対するリスペクトの気持ちを忘れてはならない」ということでしょうか。
話を戻します。
ドリフの「のってる音頭」には、イントロ以外にも曲がクラシック調になったりファンキーなったり急展開する箇所があります。ライブ用のトラックには、ワンダーワールドやエヴァ同様、実際にサンプリングしたパートをミックスしていました。序盤もアンダーワールドなんだし、その部分にもいっそのことカバー曲を入れてしまおうと考えたのです。
そして、実際にサンプリングネタとしてライブ用のトラックに挿入した曲が
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの「Killing in the Name」と
クラッシュの「I Fought The Law」でした。
この2曲もカバーという点でこだわりがあります。
まず、Killing in the Name に関しては、うちのバンドの編成でカバーしてレコーディングしてもイマイチなのは目に見えていたので、はなからオリジナルをカバーしようというアイデアはなくて、とある映像を見たのがきっかけでした。
アメリカの大学のブラスバンドがカバーした、Killing in the Name に非常にインパクトを受け、元々高揚感のあるフレーズを大勢で管楽器を吹くことで、よりいっそうの高揚感がスポーツの応援という行為にすごくマッチしていると感じました。そして、これだ!と思ったのでした。
ちなみに、私はこの曲がとても好きで、ぜひカラオケで歌おうとめっちゃ練習して憶えたのですが、どこのカラオケにも入ってなかったという苦い思い出があります。
続いて、I Fought The Law ですが、これは元々、クラッシュのオリジナルではなく、ザ・クリケッツというバンドの曲です。そして、私も調べていて驚いたのが、この曲をカバーすることによって全世界に知らしめた立役者はクラッシュではなく、60年代に活躍したボビー・フラー・フォーというバンドだったんですよね。つまり、世代的に考えるとジョー・ストラマーもオリジナルをカバーしていたのではなく、知ってか知らずかカバーを聴いていいなと思ってカバーしていたという説も考えられるのです。
今もなお世界中の著名なアーティストにカバーされているであろう I Fought The Law ですが、私の世代的には、やはりクラッシュの「I Fought The Law」なのです。
なので世代によっては、「I Fought The Law」といえばこのバンド!というように、時代ごとにカバーしたバンドが変動する面白さがこの曲にはあるのだと思います。
というワケで、我々の秋田音頭「WORLD ONDO」は、1曲中にカバー合戦が繰り広げられており、古今東西のカバー曲のあれこれが盛り込まれているのです。
そして、この2曲にゲストで参加してくれた方をご紹介したいと思います。
大阪のネオスカバンド、RUDE STOMPERSのmegmさんです。
だいぶ前にイベントでルーストとご一緒したのがきっかけで、トランペットの音が必要だったのももちろんそうなんですが、一番私が興味があったのが、ずいぶん下のバンド世代ってクラッシュの「I Fought The Law」ってどう聴こえてるんだろう?という事でした。そして、ひいては我々のやってる事って、若い世代にはどう映ってるんだろう?というところまで及んだワケです。
我々の音楽を聴いてくれる機会を持つであろう人たちも、どんどん若くなっているので、そういった世代にどういうメッセージを届けていくかが今後の課題ではありますが、こちらも若い世代と一緒に音楽をやるようになったおかげで、今までになかった考え方ができたり、新たな発見があったりと自分に起こる変化を実感しています。
というワケで、めぐみちゃんのトランペットの演奏と我々の楽曲の世界観は、実際に聴いてたしかめてください。
megm /trumpet
関西を中心に活動中のNEO SKAバンドRUDE STOMPERSのトランペット担当。
【RUDE STOMPERS】
2005年より活動開始。
誰もが自然にリズムを刻める楽曲をSTOMPERS SKAと銘打ち、明るい曲から哀愁漂う曲まで幅広く展開。
2TONE SKA~PUNK好きな客層のツボをストレートに突き刺す裏打ちと耳に残るメロディ。
そんなキラーチューンで組み立てられたライブに、フロアは間違いなくスカンキンの渦と化す。
日本ではまだまだ珍しい正統派NEO SKAバンドであり、まさに『今が熱いSKAシーン』と共に今後も大注目のバンド。
http://rudestompers.com/