太湯雅晴(ふとゆまさはる)は、自らの肖像を描いた紙幣作品を制作してきました。今回のリターンに設定されている「Buddy」は、その太湯雅晴がデザインし、描いたものです。これまで彼が何故、作品としてお金をテーマにするようになったのかを語ってもらいました。
(風間天心)
Prototype for the Private Currency, Self-portrait
2005
ユーモアによる価値
通貨とは、「利用者自身がその流通圏内に属している事を意識させるために在る」ということに気がついた。以来 既存通貨とは異なる、任意に定めた共同体内の人々を繋ぐためのメディウム=オリジナルの紙幣をつくりたいと考えるようになった。制作に当って様々な国の紙幣を見ていると、文化の違いによるお国柄や時代性といったものが垣間見えた。それらを踏まえて図像学的な要素を考慮しつつ紙面をデザインしてみると、和風の雰囲気になったり洋風になったりして面白かった。
もう何年も前だけど、いろんな店での支払時にプレゼンテーションを交えてオリジナル紙幣を提示していたことがある。何回プレゼンしたか忘れたが結果的に個人経営の居酒屋のマスターが面白がって受け入れてくれた(グローバリズムに与するチェーン店などにははじめからトライしなかった)。私のつくる紙幣の価値を担保するのは私自身なので現行通貨に兌換(だかん)することなど不可能だが、ユーモアがこの紙幣に価値をもたらし、資本経済とは別のルールによる輪が生まれることを願っている。
太湯雅晴(German Suplex Airlines)
FUTOYU GINKO ‐ ZERO YEN 2010 #FU100001U‐FU100300U
2010