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ミュージカル「さよならは大声で」延期公演実現のため、力をお貸しください

コロナウイルス感染防止のため中止となったミュージカル「さよならは大声で」を、世の中が落ち着いたら皆様に発表できるよう、どうぞご支援をお願い致します。中止による損失の補填と、関わった方へのお支払いのため、大切に使わせていただきます。

現在の支援総額

970,212

161%

目標金額は600,000円

支援者数

61

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2020/05/08に募集を開始し、 61人の支援により 970,212円の資金を集め、 2020/06/29に募集を終了しました

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現在の支援総額

970,212

161%達成

終了

目標金額600,000

支援者数61

このプロジェクトは、2020/05/08に募集を開始し、 61人の支援により 970,212円の資金を集め、 2020/06/29に募集を終了しました

コロナウイルス感染防止のため中止となったミュージカル「さよならは大声で」を、世の中が落ち着いたら皆様に発表できるよう、どうぞご支援をお願い致します。中止による損失の補填と、関わった方へのお支払いのため、大切に使わせていただきます。

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本日より、MerryCreationのメンバーや、「さよならは大声で」のキャストがミュージカルへの想いを連載していきます。初回はMerryCretion代表の宮野つくりが更新いたします。

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第一回 宮野つくり

「Avenue Qと私のミュージカル観」

私がミュージカルに目覚めたのは、母曰く胎教でキャッツを聴かせていたからだそうです。その時私は生まれていませんので、本当か嘘か分かりませんが、かなり幼い頃から漠然とミュージカルが好きだったのは確かです。

ただ、物心付いてからもっと深いところで、ミュージカルについて意識を持ったのは19歳で初めて観劇したアベニューQがきっかけです。



アベニューQは、2003年にオフ・ブロードウェイで初演され、そのまますぐブロードウェイに進出、トニー賞ミュージカル作品賞を獲得した、いわばシンデレラミュージカルです。パペットを使って、モンスターと人間が共存する世界の話を描いていますが、なんとも下品なシーンや言葉遣いの多いブラックコメディ要素の強いミュージカルなので、お子様には少しもお勧めできません。
しかし、その中の「Everyone’s a little be racist」(みんなちょっとずつ差別主義者)という曲に大変感心してしまったのです。ざっくり言うと、気付かないうちに人間がモンスターを差別し、モンスターが人間を差別し、白人が黒人を差別し、黒人がポーランド人を差別し・・・と連鎖していくうちに、自分も、みんなも少しずつ差別的な視点を持っていることをアイロニックに、コミカルに描く楽曲です。


それまで私は、差別は良くない、という非常にざっくりとした正義感は持っていましたが、自分の中に湧き上がる差別的感情を見ないわけでもありませんでした。恥ずかしながら、心の中で無意識に人を性別や国籍で括ってしまう経験があったのです。差別は良くないと十分に理解しているつもりなのに、差別的な意識が心の中に存在するという葛藤がありました。


そんな中、この楽曲は目から鱗でした。最終的に、「みんな完全に差別意識を無くすことは無理だから、共生できるよううまく差別意識と付き合っていくしかないよね」というメッセージが歌われるのです。これは一種の「諦め」で、完全な社会を目指す事を放棄したとも捉えられるかもしれません。しかしその時の私にはひどくしっくりきたのです。差別的視点で物事を見る事を嫌っているのに、完全にフラットになれない自分との葛藤への答えを見つけたような気がしたのです。


今改めてこの楽曲を聴くと、少しこの時と意見は変わってきました。(例えば、アベニューQの世界で社会的強者である人間のプリンストンが、社会的弱者であるモンスターのケイトに、[君のモンスターのための学校に僕みたいな人間を入れたくないと言うのも差別だろう]と言うシーンがありますが、社会的弱者や被害を受ける可能性の高い人のためにセーフティネットを特別に設けようとすることは差別ではないし、ケイトの言い方が刺々しいのはプリンストンの質問が意地悪だったからだと今の私は考えます。)しかし、2003年時点で、差別的考えをほとんどの人が捨て切れていないことを指摘し、それと向き合いながら快適に社会を進めるという視点を提示したのは、斬新で多くの人をハッとさせたのではないかと思います。また、コミカルに描き切ったというのもトニー賞や市民に評価されたのかもしれません。私を含め、押し付けがましいと辟易してしまう人にもテーマを伝えてくれました。
そして、新しい概念の提示とミュージカルはとても相性が良いのではないかと思いました。というより、ミュージカルは常に概念提示と共に歴史を歩んできたのです。世界初のミュージカルショウボートは、それまでの軽い物語付きのショーに人種差別への問題提起を持ち込み、のちにミュージカル第一号と言われました。また、LGBTsへ根強く残る差別への問題提起をRentなど多くの作品が持ち込み、宗教観をジーザス・クライストスーパースターやThe Book Of Mormonが描きました。もちろん、社会的意義がないといけないわけではありませんが、ミュージカルの歴史は社会の鏡であるよう努力してきたのは間違い無いと思います。


それを考えた時、私のミュージカルが好き、という漠然とした思いは、ミュージカルへの敬意と、信念に変わりました。そして、まだまだ途中ではありますが、新しい概念を提示し続けるミュージカルの歴史の海で、しずくとなりたいと思い始めました。


残念ながら予定通り上演することが叶わなかった「さよならは大声で」も、その信念を大切にし、生きることへの今までと少しだけ違う肯定の仕方を、笑いやトキメキと共に表現しました。といっても、そんなに何かを強く皆様に訴えることを目的としたわけではなく、私自身が苦しい時に、こんな優しい考え方の世界だったらいいのにな、と思った事をそのまま物語に起こしただけです。そんな非常に個人的な経験が元になったお話なのですが、オンライン稽古という限られた条件ということで歌稽古の代わりに私の思いをゆっくりとキャスト、スタッフにお話しする機会もあり、皆さまが真剣に、一緒に考えてくれ、既に私の手を離れクリエイティブに作品が育っていっています。


長々と書きましたが、ちょっとだけ新しくて、ちょっとだけ優しい世界を願った作品になったかと思います。延期後心を込めて上演いたします。どうぞ応援賜れましたら幸いです。


2020/05/17 宮野つくり

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