美しい樹木のロゴマーク。
そこには青い鳥の親子と、”Cinema Chupki"の文字が描かれます。
つい3週間ほど前、わたしたちシネコヤが、新たな映画館をつくるべくお知恵を拝借しに伺ったのが、
Cinema Chupki Tabata (以下 チュプキ)。
その名前が示すとおり、東京都北区 JR田端駅から歩いて5分の地にある映画館です。
映画館とは言っても、このチュプキはまだオープン前という状況。
実はチュプキもまた、シネコヤと同様、映画館づくりのまっ只中。
さらにシネコヤと同じく、クラウドファンディングによって、その工事資金を支援者からつのっている只中なのです。
↑↑防音工事中のチュプキの様子
ただ、ひとつシネコヤと大きく異なるところがあります。チュプキのプロジェクトの進行状況は、
シネコヤの数段先を行っている
ということ。
すでに募金活動によって1,500万円(!)を集め終え、メインの工事の見通しも立っており、映画館のオープンも今年の9月1日で決定しています。
そして、シネコヤの数段先を行っているのは、工事の進行状況だけではありません。
「ユニバーサル・シアター」
誰にでも明確に伝わリ、誰もが応援したくなる、そのコンセプト。
チュプキとは9月よりオープンする映画館の名称であり、それを運営するのはCIty Lights (シティ・ライツ)というボランティア団体。
目の不自由な方々の映画鑑賞の機会を広げるため、音声ガイドや字幕朗読のサポートを通じ、視覚障がいの有無に関わらず、映画を共に楽しめる環境づくりにご尽力されてきました。
今回の訪問でお会いしたのは、そのCity Lights代表の平塚千穂子さんと、City Lights事務局員であり、若干26歳でチュプキの支配人をつとめる佐藤浩章さんのお二人。
写真右側から、佐藤さん、平塚さん↑↑
このお二人とは、前回のレポートでもご紹介したUPLINKが主催する「未来の映画館をつくる」ワークショップの際にたまたまお会いしたのがきっかけで、今回、お忙しいなかにも関わらず、快く訪問を受けいれて下さることになりました。
いまから15年以上前に平塚さんがはじめた音声ガイドの取り組み。これが発展し、City Lightsはやがて映画祭イベントまで催す団体へ。そのイベントに興味をひかれ活動に合流したのが佐藤さん。お二人は2014年にCity Lights独自の上映スペースをオープンするにまで至ります。
ところが法律上の問題と、オーナーさんの事情によって、今年3月にその上映スペースは退去しなければならないことに。しかしお二人は、なんとそこから100件以上の物件を歩きまわり、現在竣工中の物件にめぐりあったといいます。
そして9月オープン予定の新映画館では、これまでの音声ガイドの取り組みはもちろんのこと、聴覚に障がいのある方へ向けた手話弁士付き上映や、足の不自由な方に向けた車椅子スペースの設置、小さいお子さん連れでも気兼ねなく映画がみれる鑑賞スペースなど、まさに「ユニバーサル・シアター」を実現する構想が目白押しだといいます。
・・・さて、正直なことを申し上げますと、わたしたちシネコヤは、こういったチュプキの活動を知っていくなかで、実はある種の「ひけめ」のようなものを、自分たちの活動に感じていました。
誰にでも明確に伝わリ、誰もが応援したくなるコンセプトが、チュプキにはある。
ではそういったコンセプトが、シネコヤにはあるのだろうか??
そんな思いを頭によぎらせながら、平塚さん、佐藤さんにお会いしに行ったのです。
ところが、ところが。
現在施工中の建物の様子をひととおりお見せ頂いたあと、事務所にお邪魔をし、平塚さん、佐藤さんとの談笑で盛り上がっていくうちに、わたしたち…
映画館の話などそっちのけで、
お互いの人生のことを語りあっているではないですか!!
お2人はおっしゃいました。
「まずそこからでしょ!」と。
「人とのコミュニケーション、映画館でお客さんと語る、その人の人生の話が面白い」のだと。
↑↑「まずはそこからでしょ」と笑いの絶えぬお話の中で語ってくれたお二人
ああ、何か考える順番を取り違えていたのかもしれないな、と思いました。もちろんコンセプトは、大事。特にこうして皆さまにご支援をいただく場面にあっては、大事すぎるほどに、大事。
でも、わたしたちがつくりたい映画館は、コンセプトから逆算されてつくられた映画館なのだろうか?もちろんそういう映画館も素敵だし、そういうスタイルの洗練も大切です。けれど、まずは映画館に足を運んで下さる方々の、その人生に開かれた映画館でありたい。もしかすると、コンセプトはそのあとに着いて来るのかもしれない。チュプキがまさに、そんな場所なのだから。
この日は、 互いの人生について語り合い、終始笑いまくりの1日でした。漫才コンビのような平塚さんと佐藤さんのやり取りからは、お二人の強い信頼関係を感じます。
こうして、「ひけめ」などという妙な思いはどこかへ消えさり、時を同じくして「映画館」という大プロジェクトに取り組む仲間のような、同士のような、そんな心強い気持ちになりました。
ああー楽しかった!平塚さん、佐藤さん、ぜひまた遊びに行かせてください。本当にありがとうございます!!
そしてそして、
「まずはそこからでしょ!」
そうなんです、本当に。
今週土曜、7月23日に行われるイベントについての再告知をさせていだきます!!
『それいけ!シネコヤ決起集会』
日時:7月23日(土)15:00~17:00
場所:カフェ香房 @鵠沼海岸駅から徒歩3分
予約:不要
参加料:無料(別途お飲み物をご注文いただかない場合)
カンダスタジオからはじまる新生シネコヤ、いったいどんな映画館ができるのか?その全貌が明らかに!!
誰でも出入り自由なワークショップと、誰でもしゃべりかけ自由なシネコヤ代表、竹中翔子。
どなたでも気軽にお立ち寄りいただけるイベントです。途中参加も大歓迎!!
話を聞きにくるだけでも、お話をしにくるだけでも、様子見にいらっしゃるだけでも構いません。
イベントを通じて、シネコヤ代表・竹中翔子から新生シネコヤの展望を、ご紹介させていただきます。でもそれは肩肘はったものではなく。おいしい珈琲を味わいながら、それこそ本当に、ぜひみなさんのお話も、いや人生も、お聞かせいただきたいな。そんなオープンなイベントです。
↑↑イベントを開催するカフェ香房とそのマスター。おいしい珈琲と穏やかな雰囲気で出迎えて下さいます。
↑↑イベントの成功を祈りつつ、連日、鵠沼海岸の道行く方々へお声がけをするシネコヤスタッフ。立ち止まってお話を聞いてくださる方や、中にはドリンクの差し入れを下さる方も。
皆さまのご参加を、心よりお待ち申し上げております!!!