
三重県ぐらいの田舎だとまだ「クラウドファンディング=資金調達手段」としか考えられていないのですが、クラウドファンディングは市場調査(マーケティング)をする上でも非常にすぐれている手段だと思いますので、今回は少しその話をしてみようと思います。
「All or Nothing」と「All in」

僕がいま使っているFAAVO三重というプラットフォームは、「購入型」と呼ばれるクラウドファンディングサービスです。
「寄付型」や「投資型」などいろいろありますが、「購入型」はネットショップとほぼ同じ構造だと思ってもらえれば大丈夫です。
その購入型の中には、目標金額を達成しない場合1円も入ってこない「All or Nothing(オール・オア・ナッシング)」と、目標を達成しなくても集まった金額(支援額)から手数料を引いた分だけ入ってくる「All in(オール・イン)」とあります。
※FAAVOの場合は手数料20%
使い分けとしては、クラウドファンディングは目標達成(サクセスとかファウンディッド)すると、必ずそのプロジェクトを進めなければいけないという性質があります。
All inは、正直、支援額が0円でも実行しなければいけないので、集まる集まらないかかわらず実行するものがAll in。集まったときだけ実行するのがAll or Nothingとなります。
お金を集めるだけがクラウドファンディングではない。本当の価値は仲間集めと企画提案によるマーケティング。

「集まらなくてもやるのなら、All inっていらんやん。」という意見もあると思いますが、All inの目的は仲間集めと経費削減だと思っています。
経費削減はなんとなくわかると思いますが、大切なのはどちらかと言うと仲間集めの方だと考えています。
単純に目標金額だけ達成すればいい!というのであれば、それでいいんですが、多くのプロジェクトは立ち上げたあとも継続していきます。
そうなると一緒につくりあげ、一緒に進めていく仲間(もしくは応援してくれる人)がいるというのは、非常に大きな力になります。
なので、All inの場合は、経費を削減するために大きなリターンを用意するよりも、500円や1,000円などの少額リターンを用意して仲間(共犯者)を増やすということが重要になってきます。
All or Nothingは、目標金額に届かなければ1円も手に入らないという仕組みなので、プロジェクト起案者たちは目標を達成するためにいろんなアイデアを出して頑張ります。
当然、目標達成するのが一番いいですし、All inのように仲間を集めるという側面もあるのですが、All or Nothingには別の見方があります。
クラウドファンファンディングでプロジェクトを起案するということは、企画書を全世界に公開し、その是非を問うということになります。
「こんな企画考えたけどみなさんどうですか?良いと思ったらご支援ください」ということです。
これを上手く活用して、市場調査を行うことができます。
FAAVO大阪の武将スーツの事例

同じFAAVO系列の中でも支援額や取り組みなどのトップを走っているのが「FAAVO大阪」です。
そんなFAAVO大阪が、FAAVOのサービスが始まった初期の頃に面白い取り組みをしています。
それが「武将スーツ」です。
FAAVOは東京が本社となり、各地域の運営パートナーとなる団体にそのサービスを販売するというビジネスモデルをとっています。
FAAVO三重だと「日硝ハイウェイ」、FAAVO大阪だと「ノービアノービオ」をいう燕尾服などを製造している会社が運営しています。
そのノービアノービオが、初期の頃に真田幸村をイメージした武将スーツをつくるというプロジェクトを立ち上げました。
これが非常に上手いと感じたのは、スーツの型をつくるのに50万円ぐらい必要らしく50万円集まればニーズがあるということで型をつくって販売できる。50万円集まらなければニーズがないということで型はつくらずに済むし販売もしない。
無駄な出費を出さずに市場調査(マーケティング)ができるというのは、All or Nothingが持つ強みだと思います。
武将スーツの結果は画像のとおり、目標の50万円を大きく超え、245万円が集まりました。
このマーケティングも兼ねた資金集めでいま成功しているプラットフォームが、サイバーエイジェントの運営する「MAKUAKE」です。
さまざまな企業が新商品のニーズ調査、顧客の確保、仲間(共犯者)集め、資金集めを同時に行えるとして多数の尖ったプロジェクトがアップされています。
ぜひ市場調査の1つとしてAll or Nothingのクラウドファンディングを使うことをお勧めします。
せっかく三重県にクラウドファンディングのプラットフォームがあるなら…でも、プロジェクトの性質に合わせて使い分けてね
僕はいまFAAVOでプロジェクトを起案していますが、正直な話をすると、エンタメ系を得意とする「CAMPFIRE」、NPO・NGO系を得意とする「READYFOR」、商品開発系を得意とする「MAKUAKE」といったプラットフォームの方が閲覧数も集まる金額も多いと思います。
僕がFAAVOでやっているのは、せっかく三重にあるんだからということと、津市NPOサポートセンターがFAAVO三重と提携しているのでそのあたりも含めて使用していますが、本来はプロジェクトの性質に合わせてプラットフォームを 変えていくというのが理想だと思います。
NPOの業界でも今後は、クラウドファンディングでニーズ調査をし、可能性のあるものを活動費調達のために進めていくという流れになっていくと思いますし、そうしていきたいなと考えています。
今回のレポートはここまで。
ありがとうございました。





