おかげさまで紙map締め切り後も「手ぬぐい飾るよ!」とお声をかけていただき、手ぬぐい飾るよ!の場所63カ所、連携イベント数60となりました。ありがとうございます。
さて、今日は「手ぬぐいとローカル(地域)」というお話しを書きたいと思います。
ローカル(地域)と書きました。この稿ではローカル(田舎)という意味ではありません。
「手ぬぐいWEEK」という催しを思いついたのは、プロジェクト紹介に書いたことの他に、もうひとつきっかけがあります。
戦国時代伊達氏のマニアである私は、ときどき福島や宮城にいきます。とくに震災以後はよく行くようになりました。
去年の秋も仙台を訪れたのですが、せんだいメディアテークでみつけたのが、この手ぬぐい。
大阪ではみたことのないこの手ぬぐい。ひとめ見て、なにこれ! と思いました。
江戸時代後期、東北には絣(かすり)織りがなく、絣の紋様を元に型紙をつくって染める絣模様の染物が大変喜ばれたのだそうです。
伊勢型紙と同じく柿渋を用いた渋紙に文様を切って型をつくりますが、絣の繊細な文様をつくるために型紙に糸が入っているのが特徴です。
この商品はその技法を用いて、現代に新しくデザインされたもの。
技法・文様・好みに地域性がはっきりと出るおもしろさ。もちろんそれはその時々の地域の状況に応えて生み出されてきているのでしょう。
それはなにも昔からおこなわれてきた伝統的な技法だけに限りません。
今回「かしわら手ぬぐいWEEK」の連携イベントで、3月18日に手ぬぐいやハンカチなどを染めるワークショップをふれあい館オガタでしてくださる、アトリエ彩の実さんの手ぬぐいがこちら。
べんがら染の手ぬぐいです。
べんがらといえば、建物に塗る塗料。べんがらは防虫、防腐効果に優れ、また紫外線から木材を
保護する役割をにないます。
有名なところでは京都や岡山のべんがら格子の町なみが思い浮かびます。
(↓岡山 吹屋地区の町なみ)
ベンガラを建物の木部に塗ることは、京都や岡山に限らず、柏原を含む南大阪でもよくおこなわれていたのだと、羽曳野市古市の古色の美さんからお伺いしました。
でも、あまりべんがら色ーー赤い色ーーを見たことがない……と不思議に思いましたら、南大阪の建物のべんがら塗りはもっと褐色のものが多いのだそうです。気づかずにみていた古民家の褐色はべんがらだったのかもしれません。
ただ、建物の外側に木部を現すことはサイディングの普及とともにすっかり減りましたから、建物の塗料としてのべんがらの受容はすっかり減ってしまいました。
上にあげたべんがら染の手ぬぐい。
これはかつてべんがら塗りの業者さんだった古色の美さんが、染料としてのべんがらを開発、そのべんがらで染められたものです。
これもまた、地域から生まれたもの。
(手ぬぐいを飾ってくださる、柏原市上市の小川ふとん店さんにもべんがら染のクッションがありました)
手元の手ぬぐい三枚をならべてみました。
左から、岡田染工場さんの印染手ぬぐい、アトリエ彩の実さんのべんがら染手ぬぐい、名取屋染工場の常盤紺型染手ぬぐいです。
ならべると、印染の際立ったエッジ、べんがら泥染のやわらかな色あい、常盤紺型染の注染とはまたことなったゆらぎ。
それぞれの特徴があざやかです。。
タイトルにあげた画像を再掲します。
これは、古町青年団の手ぬぐい。現行より二代前のもの、神奴染工場で作られた注染手ぬぐいです。
これは手ぬぐいに描かれた図柄がすばらしくて、大和川と古町の関係が見事に図案化されています。
手ぬぐいひとつからも、地域のいろんな姿が見えてきます。
とてもおもしろい。
ちょうどFacebookで、
「祭りの手ぬぐいも並べてみると微妙に違う」
「地域とアート」
いう話題が投稿されていました。
「かしわら手ぬぐいWEEK」も地域の姿を見つける催しになるといいなぁと思っています。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。