2019/07/18 10:25

おはようございます。村上です。

42日間のクラウドファンディングも、いよいよ最終日となりました。

今日までご参加、ご協力くださったみなさまに、あらためて心より感謝申し上げます。

ラストスパートを前に、このプロジェクトの目指すその先について、綴ります。

 

渡り鳥の調査から学んだこと

 「みんなでつくるコトノマ」のロゴマークをご覧になられて、なぜ、鳥のカタチをしているのだろう?と思われた方はいらっしゃるでしょうか。

 

実はこれ、「渡り鳥」を表現しています。

私は、中学1年で野鳥と出会ってから高校2年まで、毎週日曜日に地元の湖(余呉湖)を自転車で一周し、水鳥のカウントをすることを週課にしていました。

中学生の頃。まん中が私です。

 

大学では、琵琶湖に渡ってくるガンの一種(オオヒシクイ)の研究をして、ロシアのカムチャツカ半島の大平原まで調査に行かせていただいたこともありました。(下写真)

 

その調査研究の中で学んだ大切なことが一つあります。

それは、渡り鳥の暮らしは、子育てをする場所と冬を越す場所だけでなく、渡りの途中で羽を休めたり栄養を蓄えたりする場所がいくつも必要で、そのぜんたいで成り立っているということ。だから、彼ら1羽1羽の暮らしを守るには、そのすべての場所を守ることが必要、ということです。

 

誰もが必要な場所を「渡り歩いて」暮らせるように

ひるがえって、自分自身を見直すと、私たち人間も彼らと同じように、いろんな場所を「渡り歩いて」暮らしていることに気づきます。自分の住まいだけでなく、職場や、遊ぶ場所、あるいはほっと一人になれる場所など…。

 

でも、すべての人にとって、自分に必要な場所が揃っていると言えるでしょうか。

 

たとえば、赤ちゃんや小さなお子さん連れの人にとって。

たとえば、障害のある人にとって。

たとえば、農薬や化学物質を使わない暮らしをしたい人にとって

たとえば、お金をあまり持たない人にとって。

 

赤ちゃんや子どもたちが休める場所。移動しにくい人も休める場所。農薬や化学物質を避けられる住まいや農地、無料で居られる場所…。

そういう場所が、地域の中に揃っているでしょうか。

 

上に挙げた人々は社会全体の中で「少数派」かもしれません。

でも、誰だっていつ「少数派」になるかわかりません。

 

どんな少数であっても、たとえ一人であっても、その人の尊厳が守られ、安心して居られる場所がある地域、それが、すべての人が「等しく安心して暮らせる社会」の基盤なのではないかと思います。

 

みんなにとって大切な場を、みんなでつくる

 だから、食べること、眠ること、子育てをすること、遊ぶこと、学ぶこと、休むことなど、みんなにとって大切な「コト」が誰でもできる「マ」(間・場所)をつくることが、大切だと思いました。

しかも、誰か一人が孤独に担うのではなく、仲間(マ)でつくることが大切だと。

 

渡り鳥に話を戻しますと、彼らの暮らしを理解し守るためには、各地の湖や沼で観察している人々同士が、情報を共有し、協力することが必要になります。

連携・連帯は、手間がかかりますが、その分、地域や国境を超えて、人と人とが知り合い、協力し合う関係も生まれます。それは目に見えないけれど、とても大きな財産です(そのおかげで私も、石川、新潟、宮城、北海道、そしてロシアと、いろんな地域の人々に情報提供をいただいて研究を仕上げることができました)。

 

同じように、人間社会でも、誰かの暮らしを守るには、その人に関わる人どうしがつながって見守りあい、支え合うことが大切だと思います。そしてそのことを通じて、支えを必要とする人の安心だけでなく、人と人のつながりという、すべての人にとっての共有財産を育むことが大切だと。

 

「あってよかったと思える場(=みんなにとって大切な場)を、みんなでつくる」

こと。そのことを通じて「人と人とのつながりと信頼を育む」こと。

それが、「みんなでつくるコトノマ」の一番大切なコンセプトです。

 

ちなみにロゴマークの渡り鳥は、「タングラム」というパズルを使って描かれています。一つ一つ、大きさもカタチも色も違うパーツが組み合って、一つの形ができあがるさまは、一人ひとり、力も特性も違う私たちが、力を寄せあって唯一無二の形をつくるさまも表現しています。

 

先に続くプロジェクトも見据えて

 いま、私の身の周りだけでも、新たな暮らしづくりやその核となる場づくりへの機運が、徐々に高まっています。

たとえば沖島での自給の島づくり、愛東での農的なコミュニティづくり、日野での移住促進、彦根での古民家活用など、など。

 

「みんなでつくるコトノマ」では、<みんなの休憩室>の一畳の"床の間"を出発点に、想いを共にしてくださるみなさまのご参加とご協力を力として、上記のような場づくりを通じ、人と人との支え合いが活性化し、誰もが安心して、自分も人も信じられる社会を育んでいこうと思います。 

  

いよいよ最終日。

一人でも多くの方にご参加いただき、この想いを共にしてくださることを願っています。

ご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいしたします!