そこで、稲垣政安さんと出会いました。

 

稲垣さんは、とても重度で重複の障害がある方でしたが、電動車いすに乗り、独自の手話（身振り手振り）とパワーで様々ところに出かけられてました。

 

若い頃は、杖をついて歯ブラシなどを持って行商されていたそうです。私が出会った頃は福祉作業所で和紙職人として紙漉き、仲間たちの作品の営業担当でした。
若草通を二人で歩いていると、「オー」「どこ行くとね？」とたくさんの方が声かけてきます。

稲垣さんは、男の人に声かけられるとそっけなく、ちょこんと頭を下げます。

女性（特に若い女性）に声をかけられると、「に行くんだ」と身振り手振り。でもなかなか通じません。

それでも根気よく、楽しく会話します。ついでに営業もします（笑）

若草通を電動車いすで颯爽と走り、「文化ストリート」や「四季通り」へ入っていきます。

一度、古いお店で

 

新村：こちらは段差がないお店なんですね
お店の方：う～ん、稲垣さんがこらるっごつせんといかんがね。

 

当たり前として話されてました。
若草通りって実はバリアフリーがかなり浸透してる通りなんですよ。稲垣さんの為に、稲垣さんのおかげで、宮崎市はバリアフリーが進んでいると言っても過言ではないと思ってます。

 

今も、若草通を歩くと、スーと稲垣さんが現れるような気がします。

稲垣さんは昨年、永眠されました。