2017/04/15 20:47

一般社団法人 瀬戸内サーカスファクトリー、代表理事の田中未知子さんより応援メッセージいただきました!光栄です!
この団体が香川にあったからこそ、私は未だに舞台に立つことができ、創作の発表、ディレクションなど、自分自身、できることの幅を拡げるチャンスを頂いています。ぜひご一読の上あわせて香川の土地のパフォーミングアーツに興味を持っていただければ幸いです!
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【カタタチサトという、驚くべき挑戦者】 

文責・田中未知子(アーティスティック・ディレクター/瀬戸内サーカスファクトリー代表) 

  

 「地方でこそ、面白い文化や表現は生まれうる」 

 「個性」は人にばかりでなく、地域それぞれにあるから、人+地域の個性が合体すれば、それこそ無限大の表現の可能性が生まれるはず。そんな想いで自分は香川に移住して、「瀬戸内サーカスファクトリー」という現代サーカスの創作プロデュース集団を立ち上げた。 

 2014年、初の本格的な国際共同創作「キャバレー」(フランス人演出家カミーユ・ボワテルと彼のカンパニー、リメディアを招いて、同数の日本人アーティストとコラボした作品)で、ワークショップを兼ねたオーディションを行った。その時に選ばれた2人の日本人ダンサーのうち、1人がカタタチサトだった。 

 閉校になった中学校の体育館で行っていた滞在制作で、日本人アーティスト14人がそれぞれ、選抜審査のための短い作品をつくった。 

 我々主催者ですら会場から締め出され、演出家とアーティストたちだけに閉ざされた会場から、うめくようなどよめきが聞こえた。覗き見たい欲求に駆られたが、見ることはかなわなかった。その後、カタタ以外のアーティストは、不思議な笑いとため息をもらしながら会場から出てきて「田中さん、観られなかったの、残念ですね。すごかったですよ…」と言うのだ。 

 彼女は体育館という広い場所で、観客(アーティスト)を狭い倉庫に押し込め、まるで遭難救助ボートのような状態にしておいて、見えるか見えないかのような視界から、息詰まる演技を覗き見させたわけである。空間の発想。彼女は空間を一気に引き込む力があるのだと直感した。 

 その後も、彼女からは驚かされることばかりだ。我々の創作サーカスフェスティバル初回、「実験劇場」という地元アーティストの創作発表の場を考えたが、人手が足りなくてどうしようもなかったとき、あれよあれよという間に地元アーティストを集め、すべて仕切ってくれたのが彼女だった。2回目のフェスティバルでは、彼女が演出・出演する「DanceBonBon」で参加してもらったが、サンポート高松ホールロビーという公共空間を存分に使い、太陽光をさんさんと浴びながらの舞台は作品とどんぴしゃで、観客はひとときの夢にいざなわれたようだった。 

 アーティストには、劇場のブラックボックスの集中した環境で最大の力を発揮する人もいれば、くせのある場所でこそ、その特性を味方につけて輝く人もいる。カタタチサトは間違いなく後者であろうと思う。 

 ゆえに、彼女は地方でこそ輝く表現者なのだと思う。大都会よりも、地方の方がはるかに場所の選択肢も自由もあり、そこに魅力を感じれば、躊躇なく地方に来るべきだ。 

 しかし、そのためには強く柔軟でなければならない。決まった手順は無いのだ。自分で見つけ、交渉し、妄想し、仲間を見つけ…すべて自分でやらねばならない。カタタチサトは、それらすべてを引き受けている。 

 マチは驚かなければならないし、感謝しなければならない。 

ひとりのアーティストが、マチを表現の場に変貌させようとしている、その挑戦に。 

 「人には、切り拓く力があるのだ」と、私たちを鼓舞する、その勇気に。

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瀬戸内サーカスファクトリー︎http://www.setouchicircusfactory.com/index.html

4/19(水)トークイベント「千と一夜」
瀬戸内サーカスファクトリーが提案する、新しい人材育成~フランスの子どもはなぜ、サーカス教室に通うのか?(カタタチサトもゲスト出演します。)
https://www.facebook.com/events/1875665239385816/