はじめまして、島根県出雲市大社町出身で、今回出演させていただきます、いとうけいすけといいます。芸名をひらがな表記にしていることには、たいした意味はありません。
本公演のテーマが、対話、コミュニケーションについてということで、稽古をしていく中で、ぼくは自分の今までのコミュニケーションについて振り返ることが自ずと多くありました。
ぼくは今までに、いくつかの大きなコミュニケーションの失敗を犯していて、ぼくはそれを今でも恥じて、あるいは悔いて、毎日眠っています。
ぼくは劇作コースに所属していて、普段は台本を書くことが多くあるので、対話というものを書く時には、できるだけ丁寧にそれをスケッチすることを心がけます。
何か大切なテキストを作り上げて、それを誰かの心に突き刺そうという時に、それが軽はずみで、傲慢であってはならないからです。
今回の作品作りでは、そこにジレンマがありました。誰かひとりの手によってテキストが作成されるわけではないので、そういった丁寧さを求められないからです。なので、この作品ではよりダイレクトに、本質だけを捉えるシャープさが必要です。
そんなことを考えながら毎日みんなで稽古を重ねています。本番で、どんなものができているのか、今の段階で想像しきることはできませんが、ぼくは楽しみです。
そして、ぼくらが作り上げたものをみなさんに観ていただいて、楽しんでいただけたら、そんなに素敵なことはないと思います。