1年目の夏。
畑も徐々に綺麗になり、イチゴの苗も順調に育っていました。
しかし今度は新たな問題が。
通帳残高1万円・・・!
就農3ヵ月で資金がショートしたのです。
やばい支払いが滞る・・・どうしよう・・・。
考え抜いた末、イチゴの先行販売作戦に出ます。
SNSとクラウドファンディングを活用して資金を募りました。
就農1年目のクラウドファンディング
「まだ作ったこともないペーペー農家のイチゴなんて誰が買ってくれるだろう。」そんな心配もありましたが、もうなんとかしてイチゴを育て、生活しなければならなかったので、ひとまずやってみることにしました。
結果、数ヶ月で80万円分のイチゴが売れました。
移住してから近所の方に、お惣菜や家電や車をいただき生かされていると実感していましたが、離れている人たちからも「生かされている」と実感した瞬間でした。
もっともっと、僕も頑張らないといけない。そう思いました。
思うように育たないイチゴちゃん
なんとか資金面をクリアして苗を植えるところまでこぎつけましたが、植えた直後に病気が大発生。
「なんとかなるさ」の精神でここまでやってこれましたが、さすがにどうにもならない状況に、毎日畑に行くのが憂鬱でした。
それでもなんとか立て直しながら、初収穫を迎え、お世話になった方々に配り回りました。すると、皆が口を揃えて「美味しかったよ」と言ってくれたんです。
嬉しかった。自分の人生かけて育てたイチゴを美味しいと言ってくれたことが、嬉しかった。
このよろこびが今の私の原点にな理、農家の醍醐味だと思っています。
初出荷と100%直売へ
初めての出荷は青果市場でした。
1時間かけて出荷して、翌日の市況で卸値を確認する日々。
2週間たったある日、私は市況の金額を見て一喜一憂する日々になっていました。
ふと我に返ったとき、「私はなんのために農家になったのだろう」と思いました。私のイチゴは宮崎のイチゴとして売られ、誰が食べたかもわからず、美味しいのか美味しくないのかもわからない。
「お客さんがなるべく近くにいて反応も欲しい」。そう思う私は、この日を境に市場にイチゴを持っていくのを完全にやめました。
それからは、イチゴの管理をしながら営業の日々。半径15キロ圏内の直売所やスーパーを全て回りました。
最初はなかなか売れなかったのですが、髪の毛を緑に染めてイチゴ姿になって目立ってみたり、東京にいる今の嫁に手書きのポップやチラシを作ってもらったり、少しずつ売れるようになりました。