2019/01/23 08:54

昨秋小国の坂本善三美術館のコレクション・リーディングシリーズ、んまつーポスの「拍手し展!」の初日に駆けつけたことを思い出す。



展示室内に設置された巨大なランウェイ。
その上で展開されたのは、坂本善三の抽象絵画が元になったユーモラスでパワフルな一夜限りのパフォーマンス。
展示室という特別な場所で、いつもは静かに額の中に収まっている絵画たちが、まるで私たちの隣に飛び出して来たかのようなワクワク感に、拍手が鳴り止まなかった。



このパフォーマンスは、どのように出来上がったのか? 記録映像によれば、彼らは学校や牧場など小国町のあらゆるところに足を運び、町民の老いも若きも参加する形で、善三作品の印象から様々な動きが寄せられ、それらを数珠つなぎするようにして、あのパフォーマンスに至ったことがわかる。
主役はあくまで善三さんの作品と町民、彼らは身体を使った翻訳者、仲介者のような存在と言えるかもしれない。



そして、パフォーマンス終了後に起きた事件!
パフォーマンスを見に来た小学生たちは、終了を待ちかねたようにランウェイに勝手に登り、オリジナルのダンスを嬉しそうに披露してくれたのだ、次々と延々と。
ああ、んまつーポスが大事にする「肝」とは、展覧会やイベントの開催以上に、その「前と後」にあったのだ。
思いがけない出会いを通じて心の引き出しに仕舞われたアートが、思いがけないところで芽を出すように、彼らは地域の子どもたちの、大人たちのアートする力を信じて、一人一人の暮らしの中に種を蒔くことに注力している。