2019/05/12 23:21
全ては亡き母のおかげでした
ノミの歯が欠けたことで、私は哲山の使っていたノミの値段に気づきました。 私が予想していた金額より 一桁上でした。
また、今回の個展を開催することで、篆刻作品を作るための材料となる板や額装の値段にも関心を持ちました。
それらは、決して安くはありません。
そして、それに費やした莫大な時間があります。
よく哲山が「篆刻作品を創らないで、その分仕事に打ち込んでいたら、立派な家が建っていただろう」と言っていましたが、それはまんざら冗談ではなさそうです。
なぜ今まで そういうことに気づかないでいられたのかというとそれは母のおかげです。
母は約10年前に他界していますが、父の篆刻のことで、一度たりとも 私や妹に愚痴をこぼしたことがありませんでした。
母の寛容さで、私も妹も無事に育ち、哲山は篆刻に打ち込むことができました。
今日 母の日にそのことに気づきました。
今回の個展開催において、多くの方がお祝いの言葉を述べてくださいました。
父へのお祝いの言葉ですが、それは同時に功労者である母への称賛の言葉だと思っています。