2019/08/23 22:17

  26年間務めた新聞社を辞めて故郷の羽須美に帰ってきたとき、JR三江線の廃線は既に決定済みでした。そこで、考えていたのは、ここを訪れた人たちが、廃線後も思い出を共有できる「場」が必要だということでした。宇都井駅前にあった家を借りようと大家さんにお願いし、廃線までの間、借りることになりました。

 

 名前は、井上さんに決めてもらいました。「天空の駅前宿 うづい通信部」。山の奥から、細々と、しかし、生き生きとした暮らしをここから伝えていこう、という思いを語り合いましたね。

 

 初代「うづい通信部」は、大家さんとの約束(実は1年延長してもらいました)で、ことし3月にお返ししました。閉鎖を決めた後、かねてから、井上さんと相談していた旧服部医院の改修に向けて交渉を本格的に始めました。宇都井を支えてきた医院の歴史を深く知るにつれ、この挑戦は、私たちの思いだけではなく、宇都井に住む住民やここで生まれた人たちのためにも、どうしても成し遂げなければならないものに思えてきました。

 

 このクラウドファンディングは、私が立つべきか、とも思いましたが、井上さんに「やってくれますか」と聞いたら、案外あっさり「やりますよ」と、立ち上がってくれました。ちょっと距離を取りながら見ていた感じの井上さんが「マジ」になりました。井上さんの家と服部医院の関係も明らかになりました。これは間違いなく、井上さんがやるべきプロジェクトでした。

 

 でも、その後の苦労は、レポートにも紹介されているとおりです。人からお金をいただくということの、その重みを井上さんが日々ずっしりと感じているのは側で見て分かります。その原動力は、けっして自分の欲ではなく、この宇都井の暮らしの豊かさを、ここから発信するという強い決意の現れと感じています。

 

 今回のクラウドファンディングは私も一緒に走っていると思っていますし、新「うづい通信部」のオープンまで、一緒に走り抜きます。

 

 私も一緒に走っているつもりなので、私の方からも、今回支援をいただいた皆さまに心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。皆さまの支援により、宇都井の住民や、天空の駅を愛するみんなや、故郷を応援したいという出身者や、中国山地の自然や文化を愛する仲間たちが集う「場」をつくることができます。

 

 そして、これから、ストレッチゴールに向けて支援をいただく皆さんの思いも受け止めて、訪れてくださった皆さんが「支援して良かった」と思えるように、一生懸命、リノベーションしていきます。

 

 最後の最後まで応援をよろしくお願いします!

 

 あすは朝8時から、井上さんと一緒に、土間を作り直すための準備作業に汗を流します。でも、50代になると疲れますね、井上さん。