2019/07/24 00:03

写真が多かったので分けました。

なるべくたくさんの写真で、わかりやすくお伝えしたかったです。

手間暇かけて、1枚の紙が出来ていることをお伝えできれば良いなと思います。

 

紙の繊維を大切に、傷がつかないように出雲民芸紙は作られています。

それは工程にも、煮るときのソーダ灰にも、真っ白な紙以外は漂白剤を使わないなど、繊維を大切にすることに重点が置かれています。

薬でどうにかしてしまうことは簡単だけど、それをしないで愛情と手間をかけられた紙なのです。

だから、植物の持つパワーがそのままだから、優しく、思わず触ってしまう柔らかさと、温かみを持ち合わせているのです。

 

“叩解”の後の工程

 

繊維を染める。

窯で煮ながら染めることを“煮染め”という。

他にも、ビーダーで叩解の後、そこで直接染めるやり方もある。

 

最初に繊維を柔らかくするために煮る“煮熟”の時にも、“煮染め”の時にも、大きなかまどで、薪で炊くのですが。

火の回りが違うそうで、このやり方が一番良いそうです。

お米炊くときも、釜で炊くのが一番おいしいって言いますもんね。

 

紙を漉く。

和紙独特の漉き方“流し漉き”で行う。

出雲民芸紙では、紙料とつなぎの役割をする“ネリ”の配合と、漉くときの桁の操作の仕方が、一般的な和紙と違います。

その繊細な技法があっての、原料の持ち味を生かした出雲民芸紙が出来上がります。

 

漉いた紙は、重ねていきます。

1晩置いて水を切ります。

その後ジャッキで圧をかけて、さらに水分を抜きます。

しっかり水分の切った紙同士は、くっついていているように見えますが、ちゃんと1枚ずつはがすことができます。

漉いた時にちゃんと繊維同士が絡み合っているから、出来るのです。

薄く、ちぎれそうにみえて、ちぎれない。

和紙の強さを感じます。

 

 

干場。

1枚ずつはがされた紙は、干板に張り付けて天日で干されます。

この日は、雨で、干してるとこが見れませんでした。

午前中は東向きに、午後は南向きにと、太陽の動きに合わせて移動させます。

干板に張り付けて干された紙は、うっすら木目の模様がついていて、美しいです。

日干しのほかにも、蒸気で熱した鉄板の上に張り付けて乾かす方法もあります。

 

出雲民芸紙で作られた製品。

 

出雲民芸紙は、先に繊維を染めてから、紙漉きをします。

だからできる“雲紙”と呼ばれる模様紙は、本当に素敵だと思う。

 

たくさんある色も、どれと合わせても調和がとれるように色が作られています。

日本古来からある色も大切に。

だから、どの色と合わせても素敵だし、洋服や生花の色合わせ方とも少し違うようなそんな感覚があります。

 

 

今は、原料の関係で思うようにいかないこともあります。

職人さんは、繊細に、いろんな調整をされています。

今、原料問題の解決が急務です。

今回のプロジェクトでは、国内で、また海外で出雲民芸紙を広めることに重点を置いて活動しています。

もちろん、これからも私の出雲民芸紙を伝え、広め、使う、使って頂くことで支えていくことには変わりはありませんが。

今後は、原料の栽培などとも向き合っていく計画が立ち上がっており、協力していくつもりです。

 

本当に、チームワークが必要なんです。

紙すく職人さんだけ頑張ってもダメで、道具を作る人も、原料を作る人も、使う人も、豊かな自然を守っていくことも必要なのです。

誰でも、地域の伝統工芸を守るために、貢献できます。

だから、少しでも興味を持っていただけたら、何かで手漉き和紙を使って頂けたら、そう思います。

あなたもぜひ、その一人になってください。

手漉き和紙の持つ、やさしさに触れてください。