先日、私も作業に参加させて頂きました。
毎年2月に行われる、みつまたの皮はぎイベントの写真とも組み合わせて、出雲民芸紙が出来上がるまでの工程について書きたいと思います。
まず、出雲民藝紙では、すべての工程において豊富な地下水を使用しています。
叩解(ごうかい)と呼ばれる工程と、蛍光灯の電気以外は、ほとんど動力を使いません。
手作業です。
気の遠くなるような作業です。
乾燥させ、保存しておいた原料から、1枚の紙になるまでの工程の日数は4日といわれています。
1日に紙漉き職人さんが漉ける紙の枚数は250枚だそうです。
では、昔ながらの方法で作られる、手漉き和紙の工程をご覧ください。
・三椏(みつまた)、楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)などの原料を採取してきます。
原料により収穫の季節があり、収穫してその場で皮はぎ、乾燥するものもあります。
・三椏は、採取してきたものを、皮がはぎやすいように“こしき”といわれるもので蒸します。
薪を炊いて、蒸します。
取り出します。
皮の部分と、軸の部分を引っ張って、皮だけの状態にします。
紙漉きに使うのは、この皮の部分だけなのです。
表面の黒皮の部分を、竹のへらではぎます。
緑色の部分は、紙につやを与えるので、基本的には残します。
乾燥させて、保存します。
この乾燥させた状態で仕入れる原料もあります。
原料は長く保存できます。
雁皮(がんぴ)は、あめ色の上質な紙を漉くために、30年以上寝かして使います。
何年、誰それさんがどこで採取されたと、荷札が付いています。雁皮は栽培が難しく、自然に生えているものを採取してくるしかないです。
作業場。
ここを下ると、すぐ川なのですが、蛍が出ます。
周りの田んぼも、自然農法でアイガモさんが働いている田んぼもあります。
日本酒を造るのと同じくらい綺麗な水が、上質な和紙作りに適しているといわれています。
自然の中。
この日は、雨降りだったので、水が濁っていましたが。
手漉き和紙の工房でも、ここまで外に作業場があるところは、ほとんどないそうです。
“しじり”原料についているごみ、表皮などを丁寧に取り除きます。
長さ別にして、使いやすいように。
1日分の紙漉きの原料を用意するのに、この作業が2,3日かかることも。
一番手間のかかる作業です。でも、上質な紙を作るには手の抜けない工程です。
“煮熟(しゃじゅく)”
ソーダ灰を加えて、釜で煮ます。原料を柔らかくし、繊維以外の不純物を取り除きます。
柔らかくなった原料は、先ほどの作業場に一昼夜、流水につけて“灰汁抜き”をします。
灰汁抜きが終わった後には、流水の中で皮の中に残った不要な部分、ごみなどを手作業で取り除きます。
雪の降るときでも、この場所です。
この時点で、繊維はかなり柔らかくなっています。
手で軽く引っ張るだけでちぎれる状態です。
この1玉で10枚くらいの紙が漉けるそうです。
この原料が入った桶、けっこう重い。
“叩解(ごうかい)”
足踏み式の石臼で、30分くらいかけてつきます。
原料の繊維を細かくほぐして、紙料の状態にします。
水圧で繊維を細かくする機械“ビーダー”
職人さんの勘で、漉く紙に合わせた細かさに仕上げます。