2019/07/23 23:44

先日、私も作業に参加させて頂きました。

毎年2月に行われる、みつまたの皮はぎイベントの写真とも組み合わせて、出雲民芸紙が出来上がるまでの工程について書きたいと思います。

 

まず、出雲民藝紙では、すべての工程において豊富な地下水を使用しています。

叩解(ごうかい)と呼ばれる工程と、蛍光灯の電気以外は、ほとんど動力を使いません。

手作業です。

気の遠くなるような作業です。

 

乾燥させ、保存しておいた原料から、1枚の紙になるまでの工程の日数は4日といわれています。

1日に紙漉き職人さんが漉ける紙の枚数は250枚だそうです。

 

では、昔ながらの方法で作られる、手漉き和紙の工程をご覧ください。

 

 

・三椏(みつまた)、楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)などの原料を採取してきます。

原料により収穫の季節があり、収穫してその場で皮はぎ、乾燥するものもあります。

 

・三椏は、採取してきたものを、皮がはぎやすいように“こしき”といわれるもので蒸します。

薪を炊いて、蒸します。

 

取り出します。

 

皮の部分と、軸の部分を引っ張って、皮だけの状態にします。

紙漉きに使うのは、この皮の部分だけなのです。

表面の黒皮の部分を、竹のへらではぎます。

緑色の部分は、紙につやを与えるので、基本的には残します。

 

乾燥させて、保存します。

この乾燥させた状態で仕入れる原料もあります。

 

原料は長く保存できます。

雁皮(がんぴ)は、あめ色の上質な紙を漉くために、30年以上寝かして使います。

何年、誰それさんがどこで採取されたと、荷札が付いています。雁皮は栽培が難しく、自然に生えているものを採取してくるしかないです。

 

作業場。

ここを下ると、すぐ川なのですが、蛍が出ます。

周りの田んぼも、自然農法でアイガモさんが働いている田んぼもあります。

日本酒を造るのと同じくらい綺麗な水が、上質な和紙作りに適しているといわれています。

 

自然の中。

この日は、雨降りだったので、水が濁っていましたが。

手漉き和紙の工房でも、ここまで外に作業場があるところは、ほとんどないそうです。

 

“しじり”原料についているごみ、表皮などを丁寧に取り除きます。

長さ別にして、使いやすいように。

1日分の紙漉きの原料を用意するのに、この作業が2,3日かかることも。

一番手間のかかる作業です。でも、上質な紙を作るには手の抜けない工程です。

 

“煮熟(しゃじゅく)”

ソーダ灰を加えて、釜で煮ます。原料を柔らかくし、繊維以外の不純物を取り除きます。

 

柔らかくなった原料は、先ほどの作業場に一昼夜、流水につけて“灰汁抜き”をします。

灰汁抜きが終わった後には、流水の中で皮の中に残った不要な部分、ごみなどを手作業で取り除きます。

雪の降るときでも、この場所です。

この時点で、繊維はかなり柔らかくなっています。

手で軽く引っ張るだけでちぎれる状態です。

 

この1玉で10枚くらいの紙が漉けるそうです。

この原料が入った桶、けっこう重い。

 

“叩解(ごうかい)” 

足踏み式の石臼で、30分くらいかけてつきます。

 

原料の繊維を細かくほぐして、紙料の状態にします。

水圧で繊維を細かくする機械“ビーダー”

職人さんの勘で、漉く紙に合わせた細かさに仕上げます。