2015/12/28 00:31

報告が遅れましたが、12/11の上毛新聞朝刊に私の記事が載りました。

以下、全文です。

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東京で上毛かるたの全国大会を開催するようになってもうすぐ四年が経つ。

大人の上毛かるた日本一のチームを決めるという主旨に加え、群馬が持つ特有のかるた文化を東京でPRして県の活性化に繋げようという狙いのもと毎年2月に開催している。これまで沢山の方々にこのイベントを支えてもらい、毎年多くの人に選手として参加いただいている。

 参加者のほとんどは群馬県出身者。中には徳島や宮城など、この日の為に遠くから来る方もいる。正直最初はほんの軽い気持ちでこのイベントを立ち上げた。もちろん群馬の活性化に貢献したいという思いは初めからあったが、東京のど真ん中で上毛かるた日本一を決めるというちょっとした馬鹿馬鹿しさも大事にしつつ、当日は参加者と一緒に和気藹々とした雰囲気でかるたを楽しもうと思っていた。

 しかし、いざ蓋を開けてみると当日の会場の雰囲気は私が想像していたものと違っていた。参加者はみんな真剣な目つきでピリッとした空気が漂い、またメンバーが一丸となれるようこの日の為にチームのTシャツを作ってきたという人もいれば、事前に合宿を行ってかるたの腕を磨いてきたというチームもいた。皆さん、『ガチンコ勝負』で優勝を狙いに来たのである。  そしてたまたま会場を訪れて試合の様子を見た、おそらく他県出身であろう若い夫婦が私にこう言った。『群馬の方はすごいですね。たかがカルタでこんなに熱くなるのですね』と。

その時・私は初めて気づいた。畳の上に並んだかるたを真剣な表情で見つめ、読み上げられる一枚一枚に瞬時に反応して札を取り払う群馬県民の姿。大の大人が少年のような目でかるたに向き合う姿。これらは他県の方から見たら異様な光景であると同時に、何となく羨ましい姿にも映っていたのである。

ここ最近、上毛かるたも全国ネットの番組で取り上げられる事が多くなり、他県の方でも知っている人は多くなってきた。しかし四年間この全国大会を開催してきた身として言いたいのは、単にかるただけを取り上げてほしくはない。『かるたをやっている群馬県民』にも是非フォーカスしてほしいのである。だから私は様々な場で『上毛かるたに向き合う群馬県民は、県が誇るべき無形文化遺産だ』と勝手に言っている。

上毛かるたが誕生して70年弱の月日が経つ。この間ほぼ全ての県民が小中学校時代に上毛かるたに取り組み、勝てば喜び、負ければ悔し涙を流してきた。群馬県民にとって、たかがかるたであるがされどかるた。他県の人にとっては単なる遊びでしかないかるたにここまで情熱を燃やすのは群馬県民しかいない。上毛かるたに向き合う真剣な顔つきこそが『群馬県民の顔』だと思う。