
今回のクラウドファンディング企画にご参加頂く作家の先生方の紹介を、順次させて頂きます。まずは杉村麦太先生です。
僕は一時期、チャンピオンREDを毎月購読していました。当時のチャンピオンREDは凄まじく、萌え一つとっても読者を普通に萌えさせてなるものかとばかりに趣向を凝らした作品がひしめき合っており、ページをめくるごとに頭がクラクラしていた程です。
思い出深い作品を挙げると、宇宙人に性転換させられた少年が同級生男子を誘惑するために家に押しかけてゲロを吐く吉富昭仁先生の『BLUE DROP』や、女装少年が触手に責められる二ノ瀬泰徳先生のファンタジー漫画『魔女の騎士 ヘクセン・リッター』などです。
まずもって「普通の女の子がエロいことをする」という概念が紙面に存在せず、「陵辱対象が男であることが最低限のレギュレーション」と言っても過言ではない世界でした。そんな魔窟の如き紙面にあって、僕が最も好きだった漫画が杉村先生の『アキハバラ無法街』なのです。

主人公はメイド喫茶で女装ショタメイドとして働く、くるり。彼が事あるごとに股間を責められるガンアクション漫画です。


単行本のおまけページにはこう書かれています。
「最初は『股間に型パーツを埋め込まれた女の子』という設定だったのですが、マニアックすぎるということで却下。普通の女装少年に……」。
………………ふつう、とは??
一方で本作は極めてドライな世界観も魅力です。メイドもオタクも何かあると2秒後には銃を抜きます。

メイドカフェを訪れたモブのオタクも、トラブル発生から2秒後には銃を引き抜き、臨戦態勢に入っています。
戦闘描写も極めてドライで、毎回のボス戦は概ね2~4ページ以内に決着が付きます。ガンアクション漫画ですから。武器が銃ですから。当たれば死にますから2ページで死ぬんです。そこにウソを吐かない冷徹さとハードな世界観が、秋葉原、オタク、コギャルなどのタームと融合し、メイドやオタクが秒速で武器を構えては秒速で死んでいく、凄まじい世界が描かれます。
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チャンピオンREDは僕の今の作風に明らかに影響を与えており、わけても『アキハバラ無法街』はその中核とも言うべき作品です。
当時のチャンピオンREDを読んでいて頭がクラクラしたのは、「性転換/ゲロ」「女装/触手」「女装/股間責め」などのように、複数の異なる属性がチャンポンで展開されていたことがあると思います。属性の悪魔合体は少数の読者の精神の中核を貫き、多数の読者をその異様な世界観で圧倒します。つまりどちらに転んでもプラスということです。僕はこの真理をREDから学びました。
拙著『戦闘破壊学園ダンゲロス』では、邪賢王ヒロシマは数十年間無洗濯の長ランを着込んだ凄まじい異臭を放つ大番長ですが、彼が性転換により美少女へと変貌します。

美少女になろうと臭いものは臭いのですが、「ただの悪臭」から「美少女の放つ悪臭」へと変化することで、悪臭の意味合いが変化します。皆さんも凄まじい悪臭を放つ美少女に迫られて、吐き気に耐えながら騎乗位で犯されたいと思いますよね? つまり、そういうことです。
こういったセンスは、間違いなく杉村先生を始めとするチャンピオンREDの薫陶により培われたものです。そんな心の師と言っても過言ではない杉村麦太先生に、今回、『ダンゲロス1969』のキャラクター、天才忍者少女・服部明日香のイラストをご依頼させて頂きました。
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数々の新忍術を開発し、一族の歴史を一人で追い抜いた天才であるがゆえに、彼女は余人の共感を得られぬ難問へと直面したのだ。真の忍とは何か。究極の隠形術とは何か。中学二年生の彼女は日々真剣に忍道を求めた。答えの出ない日々が続く……。
今日も一人、自室に篭もり、学習机に座り、唸り声を上げる服部明日香。と、その時ーー。彼女はふと本棚を見た。少女漫画の背表紙に何か黒い糸のようなものが見えた。はてな、と思い近付いた彼女は、それを手に取り、とりあえず口へと放り込んでみる。瞬間、ハッ!と気付いた。
ーーこれは……兄の陰毛だ!
しかし、なぜ兄の陰毛がこんなところに……。兄は少女漫画など読まないし、そもそも中学になってから明日香は自室に鍵を掛けている。兄が入って来れるはずはない。だが、思い返してみれば、こんなことは一度や二度ではなかった。兄の陰毛はいつも信じがたい場所にいつの間にやら落ちているのだ……。彼女は考える。ありえない場所から見つかる陰毛の数々。気配を殺し、密かに忍び寄る兄の陰毛。そして……ついに彼女は気付いた!
「真の忍者は陰毛なんだ……!」
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(『ダンゲロス1969』より)
服部明日香は天才忍者である故に究極の忍道を追い求め続けた結果、「真の忍者は陰毛である」という真理へと達し、陰毛擬態忍法を得た服部明日香。彼女はいまだ作品上でイラスト化されたことがなく、今回初めてのイラスト化となります。杉村麦太先生が服部明日香を(全年齢で)どう表現するのか、皆さんもぜひご期待下さい!!!
※ダンゲロスボードゲームはご家族で遊べる全年齢向けゲームを目指しています。





