
昨今、”生物多様性”という観点から、生活に身近な生きものたちの生態系を見つめることで人の環境を見直そうとする機運が全国的に高まっています。
東京都稲城市は、南はその名の通り南山と呼ばれる多摩丘陵を背に、市内のほぼ中央を多摩川に注ぐ一級河川三沢川が東西に横断し、そこには実に多様多彩な生物が生息しています。
つまり三沢川は人の生活圏内を流れていることから、「里地里山」以上に身近な、いわば「街なか」の生態系を示す貴重なモデルといえるでしょう。
この作品は、6年間にわたって三沢川の様子を撮影したものをまとめたものですが、思った以上に多くの生き物が生活していることに感動し、それはそのまま、多摩地域の自然環境、生活環境の豊かさ、住みよさを示すバロメーターではないかと感じました。
その意味で「三沢川いきものがたり」は、環境や生態系など理系のテーマにとどまらず、広く多摩地域の魅力そのものをアピールするものであると考え、街づくりのコミュニティや学校、観光、福祉等、より広い場面で話題にされ、役立てて頂くことができれば、制作者としてそれに過ぎる喜びはありません。

「三沢川いきものがたり」の撮影を開始したころ(2011.6)の多摩丘陵(南山)の様子
開発は始まっていたが、丘陵部の里山はまだかなりの部分が残されてい
「三沢川いきものがたり」の撮影を開始したころ(2011.5)の三沢川の様子
川床に堆積した砂地が、鳥や昆虫、爬虫類のほどよい住環境を形成していた。
同、「三沢川いきものがたり」の撮影を開始したころ(2011.5)の三沢川の様子
川床のところどころには桑、クルミなどの樹が自生し、鳥たちの食糧源になっていた。
同。2011.5
川床に木があると、雨後、水量が増え、水が引くと、木の枝やごみが引っかかる。
鳥たちのレストランや隠れ家、雨宿りの樹は、ほぼ1年後には伐り払われて、すべて無
くなってしまった。






