こんにちは。
階段王になる男、渡辺良治です。
大変遅くなって申し訳ありませんが、ようやく11月25日のレースレポートをお届けいたします。
前回のレポートで述べたましたが、数々のトラブルを乗り越えて(笑)ようやく選手控えゾーンに到達できました。
気づくともうスタート30分前になっており、急いで準備を始めました。
まずはハリ天さんから頂いた特製シールを貼ります。
首や手首に貼ると気道を広げて呼吸しやすくなり、その他足の疲労の激しい部分に貼り付けます。
次は軽くアップ。しかし狭いスペースでは中々走りにくいです。
流しをするにも一苦労なのですが、こういう時のために編み出した技を使います。
その方法はパワブリーズを加えながらジョグをするということです。
周りにぶつかる心配が少なく、心肺機能に負荷をかけつつ足も身体も適度にほぐせます。
アップをしていると様々な国や地域の人達が参加している事に改めて驚きます。
アジア、ヨーロッパ、南米…。
お馴染みのピーターやマークだけでなく、現年間ランキングトップのクリスティアン。驚異の50代、ジョージ。
南米の雄、ニコラス。東欧のスピードスター・マーティン。
アジア人ランキング1位のジェン・ウェンボー。
中国の若き龍、チンファ・リュウ
そしてマレーシアの新星、ソウ・ワイチン。
本当に豪華メンバーです。
この中でトップ3の表彰台に立つことが出来るのは真の強者のみ…。
などと考えていたらあっという間にスタートの時間になりました。
タワーランニング協会式に一人づつの時間差スタートとなります。最初に女子のスタートを見送り、5分のインターバルを置き男子のエリート選手がスタートします。
今回は珍しくトップランカーが最初ではなく、最後にスタートする形態をとるようです。
そうなると少々面倒なことになりそうです。
自分のスタート位置は後ろから12番目くらいですが、前の遅いランナーを抜かなくてはならないし、すぐ後ろにはランキングこそトップ10にはいってないもの5月の深圳でのレースで惜敗したチンファ・リュウ選手が追ってくる展開となりました。
勿論、今回負ける気はさらさらありませんが、スタートダッシュをかけて抜きに来られると面倒なことになりそうです…。
しかし登る距離は最長の552m。
前半飛ばして良いことは何一つありません。なので前半はとにかく温存し、100階あたりでマンチ選手を抜かすという作戦を決行することにしました。
10時過ぎにはスタートゲート前に並ぶよう指示されて、ゲートイン。
順番は結構適当で、ジェン選手が前からスタートしていたり、ランキング上位ではない中国選手が後ろにいたり…。
詳しくは分かりませんが気にしないでとにかく一つ前のマンチ選手に狙いを定め…。
ついにスタート!
気合い入れ過ぎて、階段の手前にある計測開始地点の手前でかなり速く走っちゃいました(^_^;)
そうしてようやく階段へ。
はじめの20階くらいまでは手すりをあまり使わずに走っていたのですが、まだまだ先は長いので両手で手すりを使い始めることにしました。
※階段の様子は画像で見るとこんな感じです。(写真の人物は僕ではありません)
手すりが左回りなのは知っていましたが、問題は手すりの形状です。
丸い形なのですが、予想以上に太くて高い位置にあり、掴みにくいなといった感じでした。
思ったより左手で一番上をつかみ、右手で一段下の部分を掴むことにしました。
かなり変則的でしたが、横浜でのtower練習がこんな形で活かされるとは…。
30階あたりから先にスタートした選手がチラホラ落ちてきました。思ったよりいいペースで登れてきているのかもしれないと気持ちが少し楽になりました。
50階まできてまだ4合目付近といったところですが、予想以上に両手を使うスタイルがしっくりくるので敢えて早歩きで押していくことにしました。
意識するのは二つ。
1、上半身のフォーム
骨盤を少し前傾させつつ背中をまっすぐに伸ばすことを意識して可能な限り胸を開いて呼吸をしやすくすること。
2、踊り場
右手で踊り場の手すりをがっちりつかみ身体を引き付けるようにスピーディーに体を回転させる。そして左手で体を引き上げながら一歩目をなるべく早く踏み出す。
延々とこの作業の繰り返しでした。
また、とにかく長いので少なくとも中間点の60階過ぎるまではゆっくりのペースを心掛け、呼吸も落ち着いていました。実際に60階に到達したときはまだかなり余裕がありました。
ここで一つの決断が迫られました。
1.ここからペースアップを図り勝負をかけるのか?
2.それともこのままのペースを維持していくのか?
どちらにも一長一短あり迷いましたが、選択したのは「2」でした。
今考えると弱気だったかもしれませんが、過去に経験した500m超のレースではいずれも後半に大失速してしまった感触があったので今回はそれを繰り返したくなかったからです。
ともあれ、抑え気味のペースのおかげで体内の酸素量は安定し、思考も冴えている状態で80階を迎えました。
「あぁ、あと40階かぁ~。ってことはいつものS・Sビルより短いじゃないか。」
と安堵感が(笑)
しかしやはり身体には疲労が溜まり始めていました。それまで時折手すりを離して2,3階分くらいの走りを入れていましたが、もうそんなことをする余裕はなくなりひたすら手すりを引き付けて登っていくだけになりました。
それでも腰が曲がらないように意識だけはしっかりして進み・・・。85階付近でようやくマンチ選手を発見!徐々に差を詰めて90階あたりで道を譲っていただき前に出ることが出来ました。100階より手前で抜けたことにさらに安堵感と達成感を感じ、気持ちは少し楽になりましたが、足はさらに重さを増してきました(>_<)
とうとう100階に到達です!あと19階・・・。
さすがにここまで来るともう余力はありませんでした(ノД`)・゜・。
身体の軸は外側にぶれ猫背になることが多くなり、手すりを掴む手も時折つかみ損ねフラフラです。
とにかく身体が重い。というよりも足が全く上がらないという状態で、多少心肺機能に余裕があるもののペースアップがためらわれました。
「後2分くらい、行け、行け、行け~!」と自らに言い聞かせてなんとか撃沈することだけはなく115階へ。
ここまで来たら撃沈してもなんとかゴールできるので苦し紛れのラストスパート!
表示も見ずに腕を振って全力疾走(のつもり)で駆け抜けます・・・が!
なんと117階でゴールかと勘違いしてコースアウトしかけ、スタッフに制止されて慌ててコースに戻るというミスを最後にやらかしてしまいました<(`^´)>
全く最後まで自分らしいなぁ~と呆れる余裕もなく・・・必死に上を目指し続けてようやく・・・。
3398段、552mを登り切りゴールテープを拝むことができました!それにしてもひどい引きつりようですね(^^;)
ゴールした瞬間・・・というかゴールする直前からすでに倒れ始めていました(笑)
ゴール写真の最後はほぼ姿が見えないですね(;・∀・)スタッフの人の驚いた表情がまたツボです(笑)
ゴール直後は全身に全く力が入らず動けませんし苦しかったですが、登り切った達成感、そして撃沈しないで走りき行った安心感で何とも言えない幸福感(?)につつまれて悶絶していました。
しかし気になるのがタイムと順位です。周りの人たちに「Do you know my race time?」と聞いて回りますがなかなかわからず悶々としながら、お代わり自由の高級チョコ「LINDOR」をほおばっていましたが・・・。
マレーシアの超新星・ソウ君から「Hey,bro! half seconds late you!」
と話しかけられました。
「ナニぃぃ~~~?!0.5秒差?!そ、ソウ君いつの間にそんなに差を詰めてきてたんだ?!そ、それより順位は?!」
とさらに悶々としながらチョコをパクついていると、スタッフの方から12時半から表彰式だから参加するように言われました。そして順位は「five place」だそうです。
正式な結果は・・・
タイム:18分33秒95
順位:5位
でした。
4位のフランク選手とはほぼ10秒差でした。世界選手権の台北101のフルディスタンスでは1秒差で勝ちましたが、今回は完敗でしたね。
(なぜか画像が反転してしまいますが気にしないでください)
そして6位のソウ君とは驚愕の0.05秒差でした(@_@)
もし、117階で道を間違えかけたときあと0.1秒手間取っていたら・・・。背筋がぞっとしました。ですが、とにかく勝ちは勝ち。最低限の目標である5位以内、アジア勢最高順位ということは達成できたのでほっとしました~(^O^)
男子TOP4~6
間違いなく現在の最強はこの3人の内の誰かでしょう。
左:ピーター・ロボジンスキー 中央:クリスティアン・リーデル 右:マーク・ボーン
優勝は後半戦絶好調のクリスティアン。タイムは驚愕の17分26秒!!去年のレコードを30秒も更新するという人間離れの偉業達成ですね(;・∀・)
来年の目標はこの3人の中にまずは割って入ることですね。今年はマークに一度だけ勝つことが出来ましたが、他の5レースでは負けておりまだまだまぐれと言われてもしょうがないレベルです。更なる精進とレベルアップが求められますが、やれる可能性は残っていると確信しています。
それにしても上海タワーはなんとすさまじいのでしょうか。300m以上のビルがおチビさんのように見えますね(笑)
こちらは「豫園」という上海でも有名なショッピングエリアでの一枚ですが、上海タワーの巨大さが改めてわかります。
上海にはこの「豫園」をはじめ様々な観光名所があり、お土産も買えるところもたくさんあって上海がとても気に入りました(^^)v
近いうちに家族と一緒に来たいですね。
などと余韻に浸っている間もなくこの翌週には長かった2018年シーズンの最終戦であるVWC香港大会が控えています!これを書いている時点ではもうレースは終わっているので今度は一刻も早くレースレポートをお届けできるように頑張ります('')ゞ
それではまた。
渡辺良治