「川は危ないから、ひとりで行っちゃダメ!」
「増水したら川に絶対に近づかないように!」
自分自身も、周りの大人たちから何度も何度も言われ続けてきたと思う。だけど、今こうして夜の川に一人で出掛け、鮎を獲って生活をしている。
大雨が降れば僕は必ず川に行く。舟の中にたまった雨水を掻き出さなければいけないから。
川が増水すると知れば、また川に行く。舟を岸に寄せなければいけないから。
台風のときは、絶対に川に行く。舟を守らなければいけないから。そんな日は一晩中、川から離れない。ずっと風雨に耐えながら舟の傍で時間を過ごす。
川が楽しい場所なのはみんな知ってる。その反面、確かに危険がいっぱいある。では、何が危険で何が危険じゃないのか、それを知る大人はどれくらい居るのだろうか。
子どもたちを舟に乗せて川に連れていくたび、子どもの能力は凄いと感じる。小さな危険を一度でも経験すれば自ずとその危険を回避する能力が身につくようだ。それだけじゃない。その先の中くらいの危険を予測する能力や知恵も働く。そんな子たちは、決して川で命を落とさない。何が危ないかを段階的に把握しているから。
(小さな危険とは:河原のグラグラする浮石、川底の石が滑ること、プールにない水流と水圧、対岸に真横に泳いで渡れない等)
反対に、川から遠ざけられた子どもたちは小さな危険を経験しないまま青年になり川に入る。すると…突然たちはだかる中レベルの危険に直面し、回避する能力が働かないまま大きな事故へと繋がる。
この国の子どもたちを育てるのは、大人のツトメだろ。
自分自身も少年から青年時代を経て、そしてこの町で大人になった。
漁師の家系に生またわけじゃない僕が、いま漁師として鮎を獲って生活できるのは、流域の大人たちに見守られ育ててもらったから。
地域の力を今こそ見直したい。今度は自分が次の世代を育てる時だと自然に感じるようになりました。
PS.小学生の頃から今日まで、青臭いフレッシュトマトが1番大好きな食べ物です。
以上。