FAAVOをご覧の皆様、こんにちは。石川県金沢市のアート制作会社、MYTHARTS(マイサーツ)の所属デザイナー、薮谷雪人と申します。
この度は、
「我が国が抱えるアートや伝統工芸などにおける大きな問題点のいくつかを、文化の発展に大きな可能性を持つ”アート”と、伝統産業のひとつである”越前和紙”を用いて解決するとともに、それらの魅力を多くの方々に知ってもらいたい!
そして金沢の街を、その文化発信の地にしたい!」
という想いのもと、金沢の街で、2017年10月から2018年10月にかけてのおよそ1年に渡っての一大アートイベントを開催することを企画しました!
左から、薮谷雪人、大橋定行((同)MYTHARTS代表)、小川秀夫(ハートブレーン(有)代表)
日本が抱えるふたつの問題
我が国は、優れた伝統工芸など豊かな文化を持っていますが、その一方で、欧米諸国と比較するとアート後進国です。
更に、近年では伝統産業も多くの問題を抱えており、我が国の文化基盤は大きく揺るがされつつあります。
このままでは、未来の文化発展に大きな可能性を持つアートが全く発展しないばかりか、未来に継承していくべき我が国の遺産である伝統工芸すら失われてしまうかもしれません。
この美しい国に住む一員として、これほど辛いことはありません。
デジタルアートが抱える問題
いま、我が国のアート業界は大きな問題を抱えています。
アニメやゲーム、ポスターやあらゆる製品のパッケージなど、我々の身近にあふれるデジタルイラストレーション。それらに興味を持ち、デジタルイラストレーターを志す若者たちはたくさんいますが、彼らの労働環境は決して良いものとは言えません。
時給換算すると、状況によっては高校生アルバイトより安い給料。
それでも努力を惜しまず、より上手く早く描けるようになり、ソーシャルゲームのイラストなどを手掛けるようになっても、大部分は作業料しか発生せず、技術料が発生しない状況。しかも代わりが沢山いるので、その扱いは使い捨て要員も同然です。
我が国におけるアーティストの価値はこの程度のもので、本当に良いのでしょうか?
和紙産業が抱える問題
また、同時にもうひとつ、我が国における文化的な問題があります。
それは、伝統工芸、特に我々が今回取り上げたのは、和紙産業における後継者問題です。
越前和紙は古来より公家や武士階級の人々に重用され、”紙の王”と呼ばれるほど格式が高く、その歴史や品格、製品としての美しさは世界にも認められ、文化遺産に登録されています。越前和紙は、日本が後世に残していくべき重要な財産なのです。
しかしその一方で、和紙職人やその事業所は年々減少しており、非常に深刻な問題となっています。
今から1世紀前、1901年には全国に6万8562戸(※農商務省統計より)あった手漉和紙の事業所は、2008年には、なんと200件を下回り、187戸(※工業統計表より)にまで減少してしまいました。
私は初めて越前和紙に触れたとき、その独特でありつつも美しい質感に感動しました。
この感動を、失ってはいけないと強く思っています。
WA CHIC ART展 (和紙ックアート展)
それらの問題を解決するため、私は、金沢の街をその拠点とする一大アートイベント、WA CHIC ART展の開催を企画しました。
デジタルアートの未来の在り方と、世界に通用する全く新しいモダンな和紙製品を、この展覧会で紹介することでそれらの問題の解決に取り組みます。
WA CHIC ART展
WA CHIC ー和シックー
この企画を実現するための要となるのが、WA CHIC ー和シックーという画期的なツールです。
WA CHIC ー和シックー
WA CHICは、わが社が協賛している福井の企業、ハートブレーン(有)様が開発した、越前和紙とLEDを使った、まったく新しく、そして美しい額縁です。
職人の手漉きによる越前和紙のフレームは、越前和紙ならではの独特の質感を持ち、額縁に飾る作品自体も、和紙でできた特殊な紙にプリントされます。
そしてLEDによるバックライトが、それら和紙の質感をあたたかい光で美しく彩り、これまでになかった新しいアート作品の楽しみ方を提供してくれるのです。
これまでにない和紙アートの世界
絵画、版画、写真、書など、あらゆるアートを美しくディスプレイすることができる。
WA CHICの可能性
今、失われつつある日本の文化。
しかし、逆に言えば、WA CHICを用いて、伝統産業のひとつである和紙の魅力を取り戻し、アートの魅力を多くの人々に伝えることができれば、我が国の文化そのものの未来をつくることができるかもしれません。
この逆境をチャンスに変えていくのです!
デジタルアートの未来を作りたい!!
WA CHICの特性の中でも特に重要な要素は、”作品を特殊な和紙に印刷して使う”という点です。前述したように、WA CHICでは、作品をより美しく演出するため、作品自体を特殊紙に印刷する必要があります。
なぜこの点が重要なのか。
それは、デジタルイラストのアートとしての価値を大きく躍進させることができる可能性を秘めているからです。
デジタルイラストは、データとして複製したり加工したりできるので、例えばアニメーションやポスター、ゲームなど、身近なあらゆる場所に使われています。
しかし、それはあくまで商業的に利用しやすいからというだけの話であり、そこにアートとしての価値が見出されることはほとんどありません。美術館にデジタルイラストが飾られているところを見たことがある人はそう居ないのではないでしょうか。
デジタルアートの美術的価値が認められ難い理由のひとつとして、それを物理的なモノにしようとすると、”印刷”という工程を経る必要があることが挙げられます。本来、コンピュータでデータとして描かれた作品は、印刷によって、例えば紙の品質や、インクの発色の具合によって、いくらか変化してしまいます。また、一般的な印刷用紙のような無機質な質感は、単純で、見ていて飽きないようなものではありません。
デジタルイラストのオリジナルと、印刷したものとの品質の差。
※差を認識しやすいよう、多少誇張した表現の加工がされています。
(イラスト提供 : Lila氏)
しかし、WA CHICでならどうでしょうか?
WA CHICを用いて作品をディスプレイし、WA CHICの光とテクスチャの恩恵を受けようとすると、デジタル作品も、キャンバスに描かれた油彩画も、等しく和紙に印刷しなくてはなりません。しかも、WA CHICに用いられている和紙は非常に美しく、どれだけ眺めていても飽きない魅力を備えています。
つまりWA CHICは、これまではアナログ優勢だった美術情勢の中、アナログ作品とデジタル作品を同じ土俵にたたせることができる画期的なツールなのです。
美術館に飾ることのできるデジタルアートを!
WA CHICを多くの人に知ってもらい、それが普及することは、デジタルアートの未来を作る大きなキッカケになるのではないでしょうか??
和紙産業の後継者問題を解決したい!!
WA CHICは、和紙の質感の魅力を強調したツールですから、このイベントによってWA CHICが広く知られれば、和紙の魅力の一端を、多くの人に伝えることが出来ます。
そして和紙の魅力が伝わることで、和紙に憧れ、和紙職人を志す若者が増えれば、和紙産業への大きな貢献になるのではないでしょうか。
WA CHICは、伝統的な和紙を世界に通用するモダンな商品とし、和紙の需要を拡大させるだけでなく、和紙の供給にも貢献し、和紙職人や和紙業界全体を発展させたいという想いのもと開発された製品です。
和紙職人の現場
WA CHICの普及は、デジタルアートの新境地を切り開くだけでなく、日本の和紙産業の発展も意味するのです!
支援金の使い道 -より長期間、より多くの場所で、入場無料の展覧会イベントを実現するために-
展覧会の開催には、展覧場所の確保、作品や機材等の搬入の他、人件費など、多くの費用がかかります。
そして現時点では、2017年10月から池田町にて開催される一イベントしか場所の確保などできておりません。
より多くの方々に、越前和紙やアートの魅力を感じて頂くには、より多くの方々に実際に展覧会に来ていただき、作品に触れてもらわなくてはなりません。
そのためには、より長期間に渡り、より多くの場所で、しかも入場料が無料の展覧会を開催する必要があります。
そしてその実現には、皆様方から支援金を頂き、費用を確保する必要があります。
少しでも多くの方々からのご支援とご協力をお願いいたします。
開催の決定しているイベントのスケジュール
『WA CHIC ART展 池田町展』
日時 : 2017年10月1日~2017年10月31日
会場 : 犀川大通ビルディング 1F
住所 : 〒920-0985 石川県金沢市 池田町 3-37-1
最後に
私はデザイナーとして、アートに携わる者のひとりとして、美術や映画、建築、伝統工芸などのアートの面白さや豊かさをひとりでも多くの方々に感じてもらおうと日々活動を行ってきました。今回の企画も、その活動の例に漏れません。
そして、金沢で生まれ、金沢で育った私にとって、金沢でこのようなチャレンジをすることができるのはこの上ない幸運だと思っています。
今、経済的にも、文化的にも、世界からの注目を集めている街、金沢。
今、金沢でこのプロジェクトを行うということは、金沢が、今後数十年の日本の文化を牽引する大きなきっかけになるのではないでしょうか。
ここ、金沢の地をより豊かにするため、ひとりでも多くの協力を、心からお願い申し上げます。
この地を愛する、すべての人へ。当プロジェクトを捧げます。
展覧予定の8作品のうちから、3作品のサンプル
起案者情報
起案者 : 薮谷雪人 (合同会社MYTHARTS)
合同会社MYTHARTS
HP : https://www.mytharts.co.jp
Twitter : https://twitter.com/projectmytharts?lang=ja
MYTHARTS代表 : 大橋定行
facebook : https://www.facebook.com/sada27ic
最新の活動報告
もっと見るアートの魅力をみんなに伝えたい!ベートーヴェンの豆知識編
2017/08/25 11:14皆さまこんにちわ。当企画の起案者、薮谷ゆきとです。 皆さまベートーヴェンはご存知ですよね? 交響曲第5番「運命」、いわゆる「チャチャチャチャーン」のフレーズで有名な彼です。 そんなベートーヴェンですが、彼は大衆への音楽の普及に大きく貢献した人物であり、実は、我々が耳にしているJ-POPやロックなどの現代音楽でも使われている、みんな知っているある法則を作り出した人物とも言われているんです。 その誰もがしっている法則とは、「同じフレーズの繰り返し」です。 J-POPなどでは、Aメロ、Bメロ、サビ、Cメロなど、いくつかのフレーズを定め、それを繰り返しますよね? 実はこれ、ベートーヴェンが生み出したやり方と言われているんです。 冒頭で述べた交響曲5番「運命」の「チャチャチャチャーン」のフレーズも、曲中で何度も繰り返されます。 いくつかの同じフレーズを繰り替えすことで、そのメロディを聴く者に強く印象付け、聴く者はメロディを覚えやすくなります。 クラシックに興味の無い人でも、クラシックのメロディといえば?と聴くと、多くの方は「チャチャチャチャーン」を思い出すのではないでしょうか?? また、ベートーヴェンより以前の時代では、作曲家といえば、貴族や王族に曲を披露する宮廷作曲家のことで、 一般大衆が音楽を楽しむ文化は実はほとんど普及していませんでした。 が、ベートーヴェンは宮廷作曲家にはならず、生涯を通じて一般大衆向けに演奏会を開き続けました。 きっと、メロディを繰り返すというアイディアも、「少しでも多くの人に美しいメロディを届けたい、音楽の魅力を普及したい」という想いから生まれたものではなかったのかなと僕は思っています。 私は、少しでも音楽の魅力や楽しさを多くの人に伝えることに生涯を費やしたベートーヴェンに強く影響されました。 当企画も、アートの素晴らしい魅力を少しでも多くの方に伝えられるといいなという想いから企画したものです。 今、誰もが身近に楽しむ音楽。 絵を楽しむ方は日本ではあまり多くありませんが、きっと絵も、もっと多くの人に身近に楽しんでもらえるようになると僕は信じています。 もっと見る
【障害者施設にて講話させていただきました】
2017/08/24 15:068月23日(水) 障害者ビジネススクール 【カラフル・金沢】にて講話をさせていただきました。 生活改善や、就労を目指している方々が通っています。 朝礼から参加し、準備運動や好きな食べ物を発表しました。 皆さん笑顔でとても活き活きしています。 その後、講話の中で 前半は僕の生い立ちを話し、 僕だって特別な力を持っていない 皆さんと同じ普通の人間だという事を知ってもらい。 後半は事業内容と今後の展開を話し、 イラスト、デザインの可能性と世界を見据えたビジョンを伝えました。 その後、小休憩を挟み質問タイム 皆さん様々な質問をしてくれました。 絵や会社の事はもちろん 「今の奥さんと結婚しようと決意したのはなぜですか?」 など、講話でも初めての質問が多数出て僕自身とても楽しめました。 皆さんとても目を輝かせ笑顔で、自然と僕も笑顔になり 「ひとりでも多くの人を笑顔にする」という僕の夢に また一歩近づきました。 今後も僕にできる事は惜しまずやっていきます。 現在いろんな計画を同時進行していて その一つが今回のクラウドファンディングです。 是非とも皆さんご支援ご協力よろしくお願いします。 もっと見る
8つの作品の意味
2017/08/21 17:10アートの楽しさをより多くの人に知って頂くため 展覧会は入場無料で企画しております。 そして 今回の展覧会でメインになる作品は8つです。 ひとつひとつの作品に意味があります。 見る順番も決まっています。 8つ全部見た後に何を想うか。 ぜひあなた自身の目で確かめてください。 もっと見る