2015/10/06 12:57
島根県安来市伯太町母里(もり)の青垣神社は、1300年以上前の出雲朝廷時代の創立として名高い古社である。
小さな集落の神社で今は訪れる人も少ないが、大穴持命(おほなもちのみこと・大国主命)を祀る由緒ある神社である。
今から1300年前に編纂された出雲國風土記は、朝廷の要請でまとめられた地誌であるが、出雲國9郡の最初に記載されるのが出雲国庁のあった意宇(おう)郡であり、その意宇郡の最初に記されるのが母里郷である。
出雲国風土記に記された母里の文の意訳を掲載する。
母里の郷。
郡役所の東南約21.2キロメートル。
所造天下大神大穴持命(あめのしたつくらししおおかみおほなもちのみこと、天下を造った大神である大穴持命)が、越(こし)の八口(やくち)を平定されてお帰りになったときに、長江山まで来ておっしゃるには、「わたしが造り治める国は、天津神のご子孫である天皇が、平安に治められるようお任せする。ただし、この八雲立つ出雲の国は、わたしが鎮座する国として、青々とした垣根のような山々を周囲に巡らせて、玉を愛でるように心をかけて(貴重な玉を置いて)守っていこう」とおっしゃった。
それ故に、文理(もり)という。
神亀三年(726年)に字を母理(もり)に改めた。
大国主命が「守る」と宣言したことから文理(もり)になり、それが母理(もり)と改められ、現在は母里(もり)になったのである。
この出雲國風土記に、もっとも多く登場する神名は大穴持命であり、さらに「所造天下大神」という最大級の尊称がつく。
二位のスサノオノミコトが二十回以下なので、かなり突出した数字となっている。(別にスサノオノミコトは風土記成立の時代背景から未掲載との推論もある)
その大国主命の国譲り神話で、出雲國だけは渡さないという宣言の地であり、神話由来の古社なのだ。
話は変わるが、鳥取県日野郡江府町に下蚊屋荒神神楽保存会明神社がある。
鳥取県無形民俗文化財にも指定されている地域でもっとも古いと云われる神楽社中だが、その演目「国譲り」の中で、大国主命はこう歌う。
「出雲なる青垣山のふもとより神風吹けば涼しかるらん」
この出雲なる青垣山こそ、島根県安来市伯太町母里のこの青垣山だと考えられる。
神社の入り口には看板などは無く、探さないで訪れる人は皆無だろう。
先日10月3日には秋の例祭があり、翌日には母里氏子青年会が主催する子ども神社体験会で、青垣神社で神楽を舞わせていただいた。
大国主命由来の古社で、大国主命の神楽を舞わせていただき、集まった母里の子ども達や氏子のみなさんに大変喜んでいただくことができた。
ちなみに、今回のクラウドファンディングのリターン品のTシャツやパーカー、トートバックなどは、この青垣神社で開運祈念をしていただいてみなさんにお送りする。
神話時代の由緒ある神社だが、そういったところの多くが、知る人ぞ知るという感じになっている。
鳥取荒神神楽研究会では、そういった場所を地元のみなさんの同意のもとで紹介する活動をしていますので、どうか応援よろしくお願いします!