2015/10/01 16:17
大山のふもとである伯耆は、特産物が無いと言われる。
ひとつのものが特産物と呼べるほどの量が無いのだ。
その代わりに「なんでもある」のがこの地だ。
これは山陰に拡大しても同じことが言える。
日本の国のはじまり、神話の時代に「豊葦原中津国(とよあしはらなかつくに)」と呼ばれたこの地域は、北方のコハクチョウと南方のブッポウソウが飛来し、島根半島にはサンゴ礁に熱帯魚が泳ぎ、夏には海ブドウが採れる。
山陰は、地球環境の中でも特異な、北方と南方の動植物が混在する多様性のある地域なのだ。
出雲國風土記に「一年中自然に市が立ち、遊び呆けて帰ることを忘れる場所」と記されるこの山陰は、一年中自然の恵みから食料を授かる場所である。
この動植物の多様性が、農耕が出現する前の狩猟採集の時代に人の定住を可能にし、神話の時代に国が興ったのだろう。
北方と南方の気候を持つ山陰は、日本のひな形とも言える。
日本最初の歴史書である古事記の伝承地もそこかしこにある。
そんな山陰に、日本のはじまり探しに来ませんか?