ぬちぐすい(命の薬)「月桃」のありがたみを、地域で再確認したい

FAAVOをご覧の皆さん、はじめまして。『南城市民大学(※)3期生の月桃再発見プロジェクト』の言い出しっぺ大城千春です。神奈川県出身で2005年に沖縄へ移住、現在は緑豊かで青い海と広い空に囲まれた南城市に暮らし、大地と海と人をつなぐことをライフワークにいろいろな活動をしています。
その一つが南城市民大学です。南城市のことが大好きで、もっとよりよいまちにしたいと集まった仲間たちと一緒に、沖縄で身近にある月桃(げっとう)を活用して自然環境豊かな南城市のよさを生かしたまちづくりをしようと「月桃再発見プロジェクト」を進めています。
※「南城市民大学」は市が学生の募集をし、南城市のまちづくりに関心をもっている幅広い年代の人たちが集まる場で、2年間のプログラム。
南城市を「日本一、元気なまちにしたい。市民がいきいきしているまちにしたい」という目標を掲げ、1年目は講義やディスカッションを中心に、2年目は実際に南城市の魅力を生かしたり、課題を解決するプロジェクトを行っています。

ぬちぐすい、とは沖縄の言葉で、直訳すると「ぬち」は「命」、「ぐすい」とは「薬」という意味ですが、病院や薬局などで買う薬とは違います。「命の薬」とは、例えば母親の愛情であったり、美味しい料理、人の優しさなど…。心の中が暖かくなって癒されるような出来事をさす言葉です。
月桃は南城市のあちこちに咲いている香りのよいハーブです。昔はそれぞれの家庭で大いに利用されていた月桃は、沖縄では代表的な「ぬちぐすい(命の薬)」の植物ですが、あまりにも身近にあるため、そのありがたさ、役割に気づいていない部分も多くあります。代表的な使われ方としては以下が挙げられます。
●茎や葉で染め物→きれいなサーモンピンクの色に染まります。

●ムーチー(お餅)→防腐防虫効果があるため、昔から食材を包むのに使われてきました。

旧暦12月8日は月桃の葉で包んだムーチー(*)が作られます。
*ムーチー(餅、鬼餅)は、沖縄県で食される菓子の一種。「餅」の沖縄方言であり、月桃の葉で巻くことから「カーサ(葉)ムーチー」と呼ばれることもある。餅粉をこね、白糖や黒糖で味付けを行い、月桃の葉で巻き、蒸して作る。旧暦の12月8日(グレゴリオ暦では概ね1月)に、健康・長寿の祈願のため縁起物として食される。ムーチーを食べる旧暦の12月8日(新暦の1月下旬から2月上旬)は沖縄では最も寒い時期であり、この時期を沖縄方言でムーチービーサー(鬼餅寒)と呼んでいる。
●ルームスプレーや虫除けスプレー

よい香りと殺菌効果を生かし化粧品等にも活用されています
この素晴らしい月桃を、更に地域に根付かせるために、苗育成に必要な圃場整備を実施したいと考えています。その為の資金をFAAVOにて募らさせて頂きたいと思います!
※圃場整備(ほじょうせいび)とは、既成の水田や畑をより良い状態の農地に整備する一連の土地改良の事を言います。
月桃を植えることで生まれる、環境の循環
そしてさらに月桃には大きな大きなチカラがあります。
実は月桃はショウガ科で根をしっかり張るので、畑の土が川から海へと流れ込んで海の生物に影響を与えるのを防ぐことが可能なのです。
また南城市には南部の川の源流の多くがありますので、川岸の護岸にも有用と考えられます。コンクリートの護岸工事を行うのではなく、植物の力と共生しながら、昔ながらの知恵を生かして月桃を使う人が増えていく事で、下記のような循環を地域で生み出す事ができます。
月桃を暮らしの中で用いる→月桃を畑の回りに植える人が増える→土壌流失防止で環境保全
自分たちの目の前にあるものを生かしながら、地域に根ざしたエコサイクルが可能になると考えています。
しかしこの月桃を巡る循環型の地域保全は私たち市民大学生だけの力ではとてもなしえないことです。だけど始めなければ何も変わらない!ということで少しずつ活動をスタートしています。
染液にも、繊維にも、お茶にも、おやつにも使える月桃に魅力された!
月桃の様々な魅力を地域住民の皆様に伝えて行くため、「月桃再発見プロジェクト」活動を継続的に開催してきました。これまでの活動をご覧の皆様にお伝えする事で、少しでも月桃の魅力を伝えたい!そう思っています!
【高平兼司さん(沖縄玉水ネットワーク)を迎えて開催(2013.9.26)】

南城市には沖縄県南部を流れる川の源流があります。南城市南風原地区を流れる饒波川(のはがわ)もその一つ、那覇を流れる国場川の源流にあたります。この川では、大正・昭和初期は河川から水を引き、田んぼでの稲作、そして池を作り食用としてターイユ(コブナ)などを飼っていたようです。
その後1986年頃にはフナ、ゲンゴロウ、エビ、サワガニがよく観察され、多くのホタルも飛び回っていました。現在は、下水整備が遅れる中での人口増加、河川環境を考える意識が低下して、生活排水が流れ込んだことでの水質悪化の状況があります。
昔のように自然を感じることができ、治水能力を備えた川にしたい、という思いを実現する一歩として、川のことを知り、さらに月桃を植えることで川の環境を守る方法について学ぼうと、勉強会を開催しました。
また、別の日程で、市民の活動によって川の整備が進められている雄飛川、天願川への視察にも行きました。
【ハーブがつなぐコミュニティ〜ぬちぐすい月桃染めワークショップ】
なんじょう地域デザインセンターと協働で月桃染めのワークショップを開催しました。(2012.11.6)
◆STEP1:染液になるのは月桃の葉と茎。葉っぱをカットして染液づくりを準備

◆STEP2:大きな鍋で月桃を煮だし中

◆STEP3:媒染液と月桃染液を3回ずつ繰り返して浸し染め。

◆STEP4:きれいなピンク色の手ぬぐいが染め上がりました。

草木染めは毎回染まる色が違うので、色との出会いも一期一会

休憩のおやつは、月桃の葉で包んだムーチー(お餅)と月桃茶で月桃づくし。

おまけで、染料を取った後の月桃の茎でロープづくりも

染液にも、繊維にも、お茶にも、おやつにも使える月桃。改めて月桃の魅力を再発見したワークショップとなりました。私たちの身近な植物には、計り知れないパワーと私たちの暮らしを豊かにしてくれる活用法が秘められています。それを活かせるかどうかは私たち次第。
植物の活用法を知ることで、もっともっと私たちの暮らしも自然も豊かになっていく。月桃を通して、沖縄は宝島!と再発見させてもらいました。
月桃を楽しみながら活用する!そして・・・
このように楽しみながらその活用方法を知ってもらうことで、
月桃の可能性と有用性、昔ながらの活用の知恵を多くの人に理解してもらい、多くの農家さんや市民の皆さんとも一緒に、環境保全、生物多様性の維持などにつながる地域づくりを月桃を使ってすすめていきたいと思います!
そのためにまず
月桃の苗を育苗することから始めたいと思います!!
幸い既に二人の方からはウチの畑の空いてる場所も作ったらいいさー、とお声がけいただきました。
自分たちの畑で育苗をし、それをご理解いただいた方の畑に移植し、そこでの土流失を抑える効果を多くの人に見てもらえたらと思っています。そうやって自然に賛同者が増えていくのが沖縄の時間の流れかなと思っています。そのための第一歩への支援をFAAVOでお願いしたいと思います!!
スケジュールなど
◆1月 月桃活用ワークショップ「月桃の葉を使った料理を作ってみよう!」
◆2月 「公開市民講座」自然豊かな南城市を子どもたちに残そう!
~WWFしらほサンゴ村の月桃グリーンベルトの取り組みから学ぶ~
◆2月下旬 月桃の苗づくり
◆3~4月 ユンボなどで畑予定地の整地作業
◆5~6月 月桃の苗を畑のまわりに定植
集まった資金の用途
◆月桃の育苗をするための土壌整備(ユンボ代、シルバー人材作業代等)
◆月桃の苗をつくるための資材に活用させていただきます。
最後に
月桃はその香りも存在もすべてが癒しですべてが役にたってくれる、沖縄の人にとってなくてはならない植物です。今後もさまざまな形で月桃の使い方を提案し、豊かな自然環境を未来に引き継いでいきたいと考えています。あたたかいご支援お待ちしています。