▼はじめにご挨拶
初めまして。宇都宮大学国際学部国際社会学科2年(休学中) 矢野いずみと、関西外国語大学を卒業いたしました阪上陽香と申します。私共はただいま、首都アンマンにあるヨルダン大学でアラビア語を習得しております。阪上はアンマンに暮らしながらシリア人難民の研究の為にアンマンから車で一時間ほど離れた、シリア国境に近い町「イルビド」に頻繁に通っております。一方で矢野は、大学がアンマンにあるにも関わらず、「イルビド」でイエメン人学生とともに暮らしております。イルビドはシリア国境近くの町で、シリア内戦以降は「学生と難民の町」などと呼ばれておりますが、各国と継続的な交換留学を行っており、彼らイエメン人もまた国費留学生としてヨルダンで勉学に励んでいます。
「忘れられた戦争」、「目立たない戦争」とも称されるイエメン内戦。最近、国際連合により、最も人道支援の必要な国と発表されました。この内戦による財政難により、世界中のイエメン人学生の奨学金が止まり、彼らが苦しい生活を余儀なくされています。学校を辞めざるを得なくなり、イエメンに帰ってしまった学生、大学に行くためのバス代が払えなくて学校に行けず、家で引きこもって勉強をする学生も少なくありません。そのため、イルビドでは、出席率が足りず、イエメン人の単位取得率は極めて低くなってきています。国費留学生であるということは、イエメンの将来を担う若者たちであるということです。しかしながら、現在内戦の影響により、既に6カ月間奨学金が延滞されている状況です。情勢不安の続くシリアやスーダン、ソマリアの学生でさえ政府からの奨学金を支給されていますが、イエメン人学生には支給されておりません。
そこで、日本とイエメンを学生間でつなぎ、イエメンのことを世界につなげ、将来は2国間の絆を確固たるものにするという目標の下、JAMALという学生団体を結成いたしました。
JAMAL Facebook ページ
https://web.facebook.com/JAMAL-581364242065380/
▼このプロジェクトで実現したいこと
ここでは、主にJAMALの初期費用を募りたいです。今後のJAMALの計画といたしましては
「ヨルダン」
・イエメン料理を日本人へ振る舞いながらのイエメンの紹介
・ラマダン(断食という意味で5月末より約1か月間)中の文化交流 断食明けのイフタールという食事会の開催
・イエメンのニュースを日本に向けて発信
「日本」
・アラブカフェの実施
・イエメン写真展
・アラビア語で挑戦!アラブ人学生とのトーキング
・アラブ歴史勉強会
・フェアトレード販売会で、イエメンのコーヒーやお茶、アクセサリーその他特産品を販売
▼プロジェクトをやろうと思った理由
私がヨルダンに来た当初(8か月前)はすでに奨学金が止まっておりました。私自身、イエメン人学生と住んでいる理由も、隣に住んでいたイエメン人たちが、お金がなく家賃が支払えなかったため、ヨルダン人家主と喧嘩をしていたからです。彼らにとっても、女性と住むことは苦渋の決断だったかもしれませんが今となっては家族のようなものです。
暮らしを共にすることで、「国家から見捨てられた。誰も自分たちのことを気にもとめない。」というようなイエメン人たちの声を毎日聞くようになりました。
2週間に1度大使館やヨルダン大学の前でデモをしても、アラブの新聞社に記事を掲載しても、誰も気にも留めてくれません。毎回毎回、大使館でデモをしても、「あと1週間後、あと3日後...で奨学金が入る」とその場しのぎのデマカセを言われて退散するしかありません。もちろん奨学金は来ません。「すべての人がそうではないのですが、それがアラブの文化の欠片なんだよ」と言われました。私も一緒に行動していく上でそれがなんとなくわかったような気がいたしました。
そうしていくうちに、時間だけが刻々と過ぎました。「イエメン人全体の成績が悪い。」1人がポツリと言いました。なぜかを聞くと、学校に行くバス代が払えないから、学校に行けず、単位を落としているとのこと。イエメン人は人から助けてもらうことに、恥を感じるから、死なないようにだけ生きて家に引きこもって勉強するほうがマシだとも言っていました。
そこで、なんとか彼らが彼ら自身で自立して学校へ行くためにお金を集める方法を必死に考えました。そこで彼らのアラブでも古き伝統や文化、素晴らしい料理を盾にビジネスをすることを思いつきました。彼らの文化を日本でビジネスに変えたい。その収入で彼らの学校へ行く費用を賄いたいと思いました。
イエメン人学生の、イエメン人学生による、イエメン人学生のためのプロジェクトです。
▼これまでの活動
ヨルダン
・世界中のイエメン人学生によるイエメン大使館前同日デモへ参加・取材(ヨルダン)
・youtubeにて彼らの訴えを紹介
・Facebookページ「JAMAL」にてイエメンのニュース紹介
・在ヨルダン日本人へイエメン料理の振る舞い
日本
・イエメン紹介
・イエメンコーヒー試飲会
(イエメン人学生の大使館でのデモの様子)
▼資金の使い道
資金は、イエメン特産品仕入れやカフェ設立などの初期費用に充てさせていただきます。カフェなどで得た資金でイルビドにいるイエメン人学生のバス代を支援する予定です。まだ、小さい団体ですが、来年からさらに呼び込みを強め、多くの学生を巻き込んで中東イベントの開催など、多くの活動を計画していきたいと考えております。
また、この活動が軌道に乗ったときに、継続的にイエメン人学生とともにビジネスを進めていき、将来はイエメン本国への支援も視野に含んでおります。
また、この活動で得た収入配分は、イエメン学生基金というイルビドのイエメン人学生に運営されております団体とともに決定していきたいと考えております。この基金は言わば学生自身の保険のようなもので、彼らの奨学金が止まる以前に、彼らが月に約1000円ずつこの基金に収め、学生が緊急事態に陥りお金が必要となったとき、この基金からお金が出るというようなシステムです。
この基金からお金をいただくには、学生たちに選挙で選ばれた7人のイエメン学生代表者によって審査されるのですが、その審査も非常に厳しく、彼らの生活を確認した上で本当に緊急でない限りは、お金を出さないそうです。今は基金自体も全くお金がない状態らしいのですが、イエメン人もわたくし自身も信頼を置く団体であるので、そちらと連携することを決めました。
*なぜイルビドなのか
イルビドには、ヨルダン大学工科大学とヤルモーク大学というアラブでも有名な2つの大学があります。この2つの大学は、私、矢野いずみの高校の先輩である世界的有名な建築家・丹下健三が設計したという意外な関係性を持っているのですが、そこのイエメン人学生のほとんどがイエメンの国費留学生です。対して、首都アンマンのイエメン人学生は、奨学金ではなく私費留学できている人がほとんどで、家族がサウジアラビアに住んでいたり、イエメンで会社を経営しているという人も多く見受けられます。
*なぜバス代なのか
1食費について
私も足繁く通っている、イルビドの学生通りにあるヨルダン人が経営するイエメン料理屋さんが学生たちにツケとして、365日、無料で食事を提供してくれています。オーナーの息子も同じく大学生で、お金に苦しむイエメン人学生を放っておけないと、奨学金の遅延が始まった1年半前よりこの制度を導入したそうです。毎日約300人のイエメン人がこのレストランで食事をしています。しかし、2週間前にこのレストランが5日間の喪に服すために閉店となりました。アラブのしきたりなのですが、24時間、48時間何も食べれていない学生が続出いたしました。
2家賃について
彼らの状況を知ったヨルダン人オーナーが、家賃滞納を受け入れてくださっているのがほとんどです。しかし、中には毎月毎週のように取り立てに来るオーナーも少なくありません。私がイエメン人学生全ての暮らしを把握しているわけではありませんが、私の知っている限りでは、オーナーに追い出され、他のイエメン人のところへ助けを求め、3部屋の家に8人、9人で住んでいるという事実も多いです。
(イエメン学生基金のシンボルマーク)
▼最後に
「JAMAL」。これはアラビア語で「美しいもの」という意味です。イエメンを表現するのに最も適したワードだと多くのイエメン人に言われ、この名前をつけました。かつて文化・交易が栄え、幸福のアラビアと呼ばれアラブ人に心の故郷として慕われ続けるイエメン。今、その国の誇りである学生の夢が失われつつあります。彼らはイエメンの希望です。
総じて、イエメン人はアラブ人の中でも、つらい環境の中でも助け合って、助け合って、前向きに逞しく、強く、誇りをもって生きているように感じています。現在、卒業したものの、奨学金が来ないため飛行機のチケットが買えない生徒があふれています。戦争により、ヨルダンからイエメンまでの飛行機の片道チケットは日本ヨルダン間の往復チケットよりも高額です。その卒業した生徒が、不法滞在・就労するなどして彼らなりに最低限度、後輩を助け、守り抜いている状況です。
そんな直向きな彼らをただただ助けたい、そんな思いしかありません。
彼らとともに、より多くの人とたちに彼らの全てを知っていただきたいと考えておりおります。
どうぞ皆様の暖かい御心とともにご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
(左:イエメンの国旗と共に 右:イルビドの家でイエメン人たちと)
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