こんにちは!
本日は書道筆と熊野化粧筆のつながりについてお話をしたいと思います。
晃祐堂の創業は1978年、当初より書道筆の穂首製造を行ってきました。「穂首」とは筆で一番重要な毛先の部分のことを指します。この穂首製造で一番重要なのは、良い原材料を使用することです。僕たちが仕入れる原材料は天然の毛が多いのですが、これらの材料は仕入れの段階では良い毛と悪い毛が混ざっています。良い毛とは毛先が産毛のような柔らかな毛先があるもの、悪い毛とはその毛先が切れていたり擦れたりしているもののことです。
熊野筆の先は、良い毛だけを使用しているため、広げてもまとまりが良く回転もしやすいのです。これが悪い毛だけだと、ほうきのように先がまとまりにくいのです。この、良い毛だけを集めて作られた毛先の部分を、「命毛」と呼びます。
この「命毛」があるからこそ書道筆は書きやすいのですが、その技術を応用して作られたのが熊野化粧筆です。熊野化粧筆も良い毛だけを使用して作られているため、肌あたりが抜群で、ムラのないお化粧ができるのです。
ちなみに山羊毛1kgの中からどれくらいの良い毛が取れるかというと、約700gといわれています。つまり、30%は悪い毛として選別され、毛先の部分に使用することはありません。
手間暇がかかる作業ですが、お客様の手元に筆が届くのを楽しみに、今日も職人が良い毛を選別し続けています。