総勢130人を超えるEarth Light Project。
メンバーインタビュー企画「130のストーリー」では、メンバーそれぞれの宇宙への情熱やプロジェクトにかける熱い想いをお届けします。
今回は、企画・広報担当を担当する東京大学医学部医学科4年の石橋拓真さんに取材しました!宇宙を志す医学生として、 Space Medicine Japan Youth Community や Homer Spaceflight Project など既に多くのプロジェクトを立ち上げたり手がけたりしている石橋さん。Earth Light Projectに参加するきっかけや、彼がこのプロジェクトにかける想いは何なのでしょうか?
きっかけは心の中のモヤモヤ
ーEarth Light Projectに参加したきっかけは何ですか?
ELPに本格的に関わり始めたのは2020年6月頃です。「ELPがクラファンをやるにあたって、チームを導くブレイン役として本格的に参加して欲しい」と代表の都築さんに声をかけられました。奇遇なことにその時、スペースXの有人宇宙船の打ち上げ成功とBlack Lives Matterのデモの写真を対比させているジャーナリストのツイートを見て、自分の中でモヤモヤを感じていたんです。
アメリカ人ジャーナリスト Josh Wolfe氏のツイート
ーそのモヤモヤとはどのような思いでしたか?
このツイートを見たときに、宇宙船の打ち上げやそのような技術の進歩に熱狂するけれども、Black Lives Matter運動などの変わりばえしない人類の分断に対しては沈黙してしまう人がいること、そして自分もそのような人であることに気がつきました。それから、「宇宙を使って世の中の問題に対して何かできないのか」と考えるようになりました。そんな時に、都築さんから誘われて、ELPに参加することを決意しました。
ー都築さんとはもともと知り合いだったんですか?
実は、彼と同じ宇宙開発フォーラム実行委員会という団体に所属しています。以前から度々相談を受けていたので、1年位前からプロジェクトのこと自体は知っていたんです。その当時から面白いプロジェクトだとは思いつつ、自分は遠くから見守っていようと思っていました。しかし、ELPの本質を都築さんに聞いたとき「宇宙を使って分断に対するアンチテーゼを出すことだ」と言われて、その一言がグサッと刺さりました。宇宙開発を志すひとりの人間として出来ることがあるし、宇宙を使うことでしか発することのできないメッセージがある。しかも、それを日本の若者がこのタイミングでやることに唯一無二の意味がある。そんなプロジェクトは今までなかったし、これからもないだろうと感じました。そこに自分が必要とされているなんて、そんなに有難いことはないだろうと感じています。
ー普段からモヤモヤと考え込むタイプなんですか?
そうですね。外から見たら今まで色々と活動してきたように見えるかも知れませんが、その多くは、内側にためていたモヤモヤを発露する機会に恵まれたときに、形として表れているだけなのだと思います。
ーEarth Light Projectでやってきたことは?
主なことの1つがELPのコンセプトのストーリー作りです。例えば、「なぜ炎なのか」という部分の文脈づくりは、人類学の本で読んだことから着想しました。人類って火を使い始める前までは、個人や家族など小規模な単位で食事をしていたんですよね。しかし火を使うようになってからはその大変さから大人数で協力せざるを得なくなり、コミュニティを形成するようになりました。このような流れは「壮大であるがゆえに人類が連帯せざるを得ない」という点で宇宙開発と繋がるものがある、というのをコピーライターの方との議論を通じて見出していきました。
消費する側より、生産する側でいたい
ーもし「こんなことをしたって結局変えられる相手はほんの一握りの人だけだ」と言われたら…?
もちろん、「スペースバルーンで炎を飛ばしたところで何になる?」というのはあります。大多数の人はELPを知らないまま終わっていくかもしれません。しかし、意味のないことなのかと聞かれたら答えはNOです。変えられる人はゼロではないからです。これは自分が取り組んでいる他の団体活動にも同じことが言えます。自分には消費する側ではなく生産する側でいたいというエゴがあります。人から何かを与えられているだけで人生を終わらせたくないという、平たく言ってしまえばただのワガママですね。でも、自分にできることの小ささは自覚しつつ、それでも何かを与える側でいたいんです。ELPでは、「何かが心に引っかかって行動に移すことができなかった人」の心に灯をともすような活動になればと思っています。
※宇宙開発フォーラム実行委員会