・「山の喜び」製造レポこのリキュールは、黒豆農家さんからいちじくの葉をいただいたことから始まりました。いちじくの葉は乾燥させてお茶に使われます。さらに「山の喜び」を意味するハーブのマジョラムを加えました。マジョラムはシソ科で、杉と同じウッディーな香りも持っています。炭酸を加えてハイボールとして飲むと、和風でさっぱり。食中酒に飲めることを期待した、ドライな仕上がりのお酒です。「山の喜び」alc.アルコール32度 甘さレベル ★☆☆辛口(ハーバルドライ)・「除夜の鐘」製造レポこれは「よもぎの葉を使ってみたい!」と始まったお酒です。色々試作しましたが、何と組み合わせてもよもぎの香りは強いです。同じくらい存在感の強い煎り黒豆を加えて、爽快感にはジュニパー(セイヨウネズの実)を加えました。和菓子のようでいて、どこか神聖な味わいを感じてみてください。「除夜の鐘」alc.アルコール27度 甘さレベル ★★★甘口(清らかな香り広がる)・「朝露」製造レポ県産日光楓の木を使用したウッドリキュールです。樽熟成のような余韻を狙っています。煎ったのは今年の3月のこと。煎りすぎるとただのコゲになりますが、少し色が変わる程度にホカホカさせると、バニリンの香りが出てきます。うんと長く熟成しました。栃木リキュールが木のお酒を作るきっかけになった、バーボンの味わいにより近い原酒ができます。原酒をバーボンベースと仮定すると、ベリーやオレンジなど、色々な組み合わせが想像できましたが、味わってみるととても繊細なので、日光梨を加えることにしました。どんな仕上がりかお楽しみに!朝露 alc.アルコール33度 甘さレベル★★☆中口(ウッディな)
山の喜び の付いた活動報告
10月の晴れた日に日光市足尾へ行って参りました。栃木県で一番大きい日光市は、日光東照宮などの世界文化遺産のほか、温泉や景観の観光資源があります。ちょうど紅葉の始まりで、車の渋滞もありましたが、122号を南へ向かうと、車はスムーズに走り出しました。庚申山碑交差点で122号を離れて右折します。目的地のかじか荘は温泉宿泊施設で、蜂蜜の生産を手掛けています。この山々一帯が足尾の銅山です。10分ほど進むとかじか荘に到着しました。ちょうど皇海山(すかいさん)の登山口になっています。皇海山は百名山のひとつで、栃木県の大粒高級いちご「スカイベリー」の語源になった山です。登ったことはありませんが、山小屋1泊ルートの難易度の高い山です。車を降りると、紅葉をすぐそばに感じられました。標高が高く快晴なので、太陽光は強いですが、空気はひんやりと冷たいです。ご縁は2018年2月、日光市の青年塾が市内で「一日商店」を企画したとき、私は飲食メニューの開発依頼を受けました。そのとき塾生から教わったのが足尾の蜂蜜です。それからずっと使い続けていた足尾の蜂蜜。すっかり昔の事でしたが、小野崎さんは一日商店の話題をしてくれました。さて、かじか荘のかじかとは、銅が景気よくたくさん採れる場所のことです。足尾銅山には明治時代ヨーロッパからの視察団が多く滞在したため、街に洋風文化が発達したのだそう。足尾の奥深い産業遺産と歴史を、ぜひ尋ねてみてください。かじか荘には内風呂と露天風呂があります。一緒になったのは、埼玉や群馬のお客様でした。子供の頃から温泉目当てに通っている人、かじか荘に前泊して登山をした人、「登山者御用達」の施設だと教わりました。お風呂上がりは館内のお食事処で、ちたけうどんをいただきました。栃木県ではおなじみのちたけ。きのこ狩りをしていた祖父を思い出します。とてもふかふかと分厚くて、最高のちたけです。銅山で熟成したチーズは、これから正式に商品化するそうです。楽しみですね。午後は蜂蜜産地の植樹地域へ向かいました。私の目には、アメリカのケンタッキーの風景と重なって見えます。バーボンウイスキーと競馬で有名なケンタッキーは、栃木と同じ北緯なこともあり、植物の形や景色の色付き方も似ています。足尾のおおらかで開けた景観や、渓谷の工場の雰囲気も似ていました。銅山跡と知らずに見れば、煙突に「足尾ウヰスキー Ashio distillery」のペイントをイメージしてしまいます。車で行ける最終地点には、日本最大級の足尾砂防堰堤がありました。美しい滝のように流れています。蜂蜜は採取シーズンではありませんが、植樹をしている山肌が遠くに見えました。山の土は製銅の煙害で栄養をなくしてしまいましたが、アカシアは強く育ちやすいことから、アカシア蜂蜜が始まっていったそうです。『NPO法人 足尾に緑を育てる会』が運営する植樹活動では、「心に木を植える」という清らかな思いと共に、毎年たくさんの人が足尾の山を緑へと還しています。失うのは一瞬でも、再生には本当に時間がかかります。世代を超えた何百年の計画がいま行われています。足尾地域のレポートでした。