10月の晴れた日に日光市足尾へ行って参りました。
栃木県で一番大きい日光市は、日光東照宮などの世界文化遺産のほか、温泉や景観の観光資源があります。
ちょうど紅葉の始まりで、車の渋滞もありましたが、122号を南へ向かうと、車はスムーズに走り出しました。
庚申山碑交差点で122号を離れて右折します。
目的地のかじか荘は温泉宿泊施設で、蜂蜜の生産を手掛けています。
この山々一帯が足尾の銅山です。
10分ほど進むとかじか荘に到着しました。
ちょうど皇海山(すかいさん)の登山口になっています。
皇海山は百名山のひとつで、栃木県の大粒高級いちご「スカイベリー」の語源になった山です。登ったことはありませんが、山小屋1泊ルートの難易度の高い山です。
車を降りると、紅葉をすぐそばに感じられました。
標高が高く快晴なので、太陽光は強いですが、空気はひんやりと冷たいです。
ご縁は2018年2月、日光市の青年塾が市内で「一日商店」を企画したとき、私は飲食メニューの開発依頼を受けました。そのとき塾生から教わったのが足尾の蜂蜜です。
それからずっと使い続けていた足尾の蜂蜜。
すっかり昔の事でしたが、小野崎さんは一日商店の話題をしてくれました。
さて、かじか荘のかじかとは、銅が景気よくたくさん採れる場所のことです。
足尾銅山には明治時代ヨーロッパからの視察団が多く滞在したため、街に洋風文化が発達したのだそう。
足尾の奥深い産業遺産と歴史を、ぜひ尋ねてみてください。
かじか荘には内風呂と露天風呂があります。
一緒になったのは、埼玉や群馬のお客様でした。子供の頃から温泉目当てに通っている人、かじか荘に前泊して登山をした人、「登山者御用達」の施設だと教わりました。
お風呂上がりは館内のお食事処で、ちたけうどんをいただきました。
栃木県ではおなじみのちたけ。きのこ狩りをしていた祖父を思い出します。
とてもふかふかと分厚くて、最高のちたけです。
銅山で熟成したチーズは、これから正式に商品化するそうです。楽しみですね。
午後は蜂蜜産地の植樹地域へ向かいました。
私の目には、アメリカのケンタッキーの風景と重なって見えます。
バーボンウイスキーと競馬で有名なケンタッキーは、栃木と同じ北緯なこともあり、植物の形や景色の色付き方も似ています。
足尾のおおらかで開けた景観や、渓谷の工場の雰囲気も似ていました。
銅山跡と知らずに見れば、
煙突に「足尾ウヰスキー Ashio distillery」のペイントをイメージしてしまいます。
車で行ける最終地点には、日本最大級の足尾砂防堰堤がありました。
美しい滝のように流れています。
蜂蜜は採取シーズンではありませんが、植樹をしている山肌が遠くに見えました。
山の土は製銅の煙害で栄養をなくしてしまいましたが、アカシアは強く育ちやすいことから、アカシア蜂蜜が始まっていったそうです。
『NPO法人 足尾に緑を育てる会』が運営する植樹活動では、「心に木を植える」という清らかな思いと共に、毎年たくさんの人が足尾の山を緑へと還しています。
失うのは一瞬でも、再生には本当に時間がかかります。
世代を超えた何百年の計画がいま行われています。
足尾地域のレポートでした。