1.私にとって、初めてのオマーン
皆様のおかげで、この度オマーンでのアートフェスティバルに、ナイジェリアの染め作家ふたりがオマーンへ渡航でき、参加することができました。相当迷ったのですが、フェスティバル主催者が、今後日本を含むほかの国でも同じようなフェスを開催する企画をしていると聞き、その内容を知るため、また現地の状況を見るため自費を出して私もオマーンへ行ってきました!
私はこれまで40カ国以上旅をしてきましたが、国に入るときにこんなふうに自分の名前が書かれたカードを持って待っていただいたことは無かったな...、嬉しくて写真を一枚撮らせていただきました。この男性はフェスティバル主催会社の社員さんです。
2.オマーン第二の都市、サラーラへ
ナイジェリアからは私より先にひとり、写真手前にいるダミーが到着していて、奥のイェミィと私は同じ日に到着。ふたりは招待作家なのでホテルの料理は食べ放題。ただし、ナイジェリアは相当に辛い料理の国なので、二人とも辛さには満足していない様子でした、とほほ。
ホテルもレストランも綺麗で、そこは二人ともとても嬉しそうでした。到着してすぐに、二人から服をプレゼントされました(右の私が着ている緑色のトップスがそれです)。
実はこの主催者が企画するフェスティバルに、イェミィは3年前に参加したことがあります。このレストランで、3年前に一緒だったほかの国のアーティストたちと再会!彼は何度もいろんな人たちとハグをし、挨拶していました。その度に私は自分の名刺を差し出すも、ナイジェリアの二人は名刺など持ってきていなくて...。「あなたは彼らのマネージャー?」とほかのアーティストたちに聞かれ、答え方が難しかったですが、私もアーティストたちの仲間にすぐに入れてもらえました。
台湾、カンボジア、ウズベキスタン、イスラエル、セルビア、ナイジェリア、ガーナ。各国の個性豊かなアーティストたち。オマーンの、黒い布を被って顔を見せない女性たちや全身白い服の男性たちに混じって、彼らはより一層の個性を醸し出していました。
3.アートフェスティバルへの参加
持ってきた染布を展示して一枚パシャリ。
各国のブース
驚くことに、フェスティバルはなんと18時頃から始まるとのこと。オマーンは驚く程に暑く、人々は涼しくなる夕方から遊びます。平日は夕方まで仕事をし、18時頃に家族と共にこのフェスティバルへやってくる人たちが多く、それは夜の11時をまわっても人がたくさんいる状況でした。
私たちは夕方4時頃ホテルを出発し、会場へ行ってブースの準備をし、持ってきているそれぞれの作品や工芸品を売るといったスタイルで、基本的にその金額も自由にアーティストが決めることができ、また売上もその100%をアーティストが手に入れられるといった形でした。
前回のフェスティバルに参加したことのあるイェミィは、前回は首都のマスカットでのフェスティバルだったので今回のサラーラでは初めての参加、とのこと。私は彼らと4日間しか一緒にいれませんでしたが、売れ行きはなかなかに厳しいものでした...。イェミィが言うには、マスカットでは多くのヨーロッパ人たちが旅行に来ていて結構な高値で買ってくれたようでしたが、ここサラーラでは現地に住んでいるオマーン人しかほとんどおらず、彼らは宗教的に決まった服装をしているので、ナイジェリアから持ってきたTシャツやスカートなどの服がほとんど売れないといった状況だったのです。
ですが、彼らは大判の布も持ってきており、それはテーブルカバーやシーツなどのつもりで持ってきていたのですが、オマーンのようなムスリムの国の人たちは、食事の際テーブル等を使わず、床に大判の布を敷いて家族全員でまあるく座って食べるので、その時の布として興味を持つ主婦らしき女性がよく見に来て質問していました。また、子どもは服装がある程度自由なので、子どもが気に入った染めTシャツを、「買って~!」とお母さんにねだる様子もありました。
4.オマーンの人々
ムスリムの方々が大勢住んでいる国で言うと、これまでインド、パキスタン、ウズベキスタン、イラン、モロッコ、マリ、ブルキナファソ、エジプトに渡航したことがありますが、その中でもオマーンは街の建物ひとつとってみてもかなり統制されているように見えました。建物はほぼ全て白が基本で、女性は全員黒い布をまとい、男性はムスリムの帽子を被り白い服を着ています。
少しフェスイティバル全体も散歩しましたが、私たち以外には外国人を見かけませんでした。オマーンの方々もいろんなお店を出していて、香水と思われる小さな瓶に入った液体が山積みでした。
ちなみにオマーンの通貨はオマーンリヤル。物価は安くはなく、ホテルなどは日本と変わらない金額です。
5.最後に
今回のフェスティバルに参加したことで、現地ではなかなか売れなかったりとうまくいかないこともあり、やはりそんなうまい話は簡単にはやってこないと思わされましたが、あまり売れ行きが良くない日でも、ナイジェリアから来たふたりはマイペースに店番をし、お客が来ると熱心にナイジェリアの風土や文化、布の染め方などについて説明し、現地のアラビア語を彼らから教えてもらい、日に日にそれを使いこなしていました。
海外から招待作家として呼ばれているのに、国の事情や渡航費が出せないから参加できないという状況を手助けしたいと思い初めたクラウドファンディングでしたが、このオマーンでのフェスティバルだけが、今回の収穫ではなかったと振り返っています。このクラウドファンディングで、多くの方々に彼らの染めたものを写真で見てもらい、また欲しいと言ってくれる人が予想以上に集まりました。現時点で36人の方々に購入していただき、17万7000円が集まっていますが、実は直接購入してくださる方もいて、それを合わせると27万8000円が集まっています。彼らの今回の渡航費を差し引いたら半分位が残るので、それを来年初めに皆様にお渡しする布の報償費として彼らに渡しますが、今回の主催者が来年の1月にオマーンの首都マスカットで、またアートフェスティバルを開催するのでよかったら来て欲しいと言われました。行くかどうかは彼らの判断に任せますが、この残った金額を、その渡航費にも当てられます。(クラウドファンディングが終了し来年に皆様へ布をお送りする際に、集まった金額の使用用途、内訳を報告させていただきます)。
年末、私はナイジェリアへ行き、彼らに皆様の布を染めてもらってきます。今回皆様に買っていただいた布を、お渡しする時がとても楽しみです。また、今回のクラウドファンディングで、彼らの布の魅力を感じるのが私だけではないと知り、これからの日本での展開を私が考えることもできると確信しています。何か形にできることになれば、皆様に必ずお知らせさせていただきます。
購入していただいた皆様には、心からの感謝の気持ちしかありません。
今日でちょうどこのクラウドファンディングもあと一週間。最期の告知をしていきます。
皆様、最後までどうぞよろしくお願い致します。
井上多枝子
この旅のスケジュール
7/10 ダミーがナイジェリアからオマーンへ渡航 // 7/12 ダミーがひとりでブースを作り、販売 // 7/22 私が日本からオマーンへ渡航 // 7/24 イェミィと私がオマーン第二の都市サラーラへ到着 // 7/25 三人でブースを展示し直し、フェスティバルに参加 // 7/28 私がサラーラから日本へ帰国 // 8/5 先に来ていたダミーがナイジェリアへ帰国 // 8/10 イェミィがナイジェリアへ帰国