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いよいよクラウドファンディングの期間も折り返し地点が近づいてきました!ご支援して頂いた皆様に少しでも林業や山村に興味を持っていただけるよう、研究内容や平井での暮らしを少しずつ紹介出来ればと考えております。どうぞよろしくお願いします。
柚子と柚子湯はいつの季語?
日曜日に地元平井集落の特産品である柚子の収穫作業をお手伝いしてきました。柚子の栽培は山村振興の手段として時折耳にすることがあったため、是非一度体験してみたいと思っていたので良い機会でした。
ところで、柚子は冬の季語だとばかり思っていたのですが、秋の季語だったのですね。今日まで知りませんでした。柚子湯は冬に入るから、柚子も冬の季語だとばかり思っていましたが、柚子は秋、柚子湯は冬の季語だそうです。一つ勉強になりました。因みに柚子の花は夏だそうです。
柚子の収穫
早朝まで雨だったため、水滴が滴る柚子畑の中でのスタートです。1m60cmくらいのところに木の枝が広がっており、成人男性ならずっと屈んだ姿勢で作業しなければならない少し大変な作業環境です。まずは枝に着いた柚子の実を集める作業です。ですがこれが一筋縄ではいきませんでした。
柚子の木には3〜5cmくらいの立派な棘が無数に着いています。そのため、上の方の実を取ろうと、枝の中に手を伸ばすと棘が刺さって痛くてしょうがありません。しかし高枝バサミを使うとコントロールがままならず、上手く切れません。そんなこんなで四苦八苦してるうちに、地元の方はポンポン集めていきます。手際の良さは流石としか言いようがありませんでした。
集める作業が終わると、今度はヘタ部分を切り詰める作業です。ヘタについている枝が長いと加工機械の故障の原因となってしまうため、一個一個詰めていきます。このスピードも地元の方と僕とでは比較になりませんでした。
こうして加工前の準備が終わった柚子は集落内にある加工工場へ送られて、製品化されます。古座川町内には約70戸の柚子農家がおり、昨年は130トンの生産量があったそうです。2016年の国内総生産量が2万6千トンだったそうなので、だいたい国内総生産量の0.5%を生産していることになります。小さい数字ではありますが、こんな小さな集落から出荷されていることを考えると、かなり大きな値でしょう。
柚子の葉
ところで柚子の葉は上の写真のような形をしております。見覚えのある葉っぱと少し違いませんか?葉の付け根あたりにオマケみたいな葉っぱが付いてます。これは翼葉と呼ばれるもので、柑橘類の樹木に多くみられます(中には無いものもある)。なんでこんな形をしているのかはよく分かっていないそうです。
実は柚子に限らず、植物の葉の形態はよく分からない部分が未だに多く残されているロマン溢れる世界です。
面白いものをご紹介すると、まず上の写真の奇数羽状複葉があります。この写真の赤丸の中に写っている葉っぱは何枚だと思いますか?
1.2.3…と数えてしまった人が多いのではないでしょうか?しかし、実は2枚しかありません。このヤマウルシのように、複葉と呼ばれる葉を持つ植物は、一枚の葉っぱが複数に分裂した結果、小葉と呼ばれる小さな葉っぱがいくつも集まっているように見える形になったと考えられています。ちょうど分裂の過程のような樹木も存在します。
それがこちらのカクレミノ。この裂け目が葉脈に達したら、なんとなく複葉になりそうな気がしませんか?
なぜ複数のような形が形成されたのかについては、諸説ありますが、あまり栄養を使わずに葉っぱを広げることができるので、その分縦方向の成長が早くなるという利点があると言います。植物にとって縦方向の成長は、光を巡る競争への死活問題です。そのため、この点が有利というのは植物にとってかなり嬉しいことだと考えられます。
このように、なんでこんな形してるんだろ?と考えてみると、今まで何も面白くなかった森林の中を少し楽しく歩けるかもしれません。よかったら植物辞典片手に森を歩いてみては如何でしょうか?
次回は木曜日になります。間伐作業の確認を行う予定なので、写真付きで解説できればと思います!