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荒廃した奥地人工林を『低コストで管理できる森林』へ!

日本の林業は衰退に歯止めがかからず、里山奥地の人工林は管理がままならぬ事態へと陥っています。私たちは人工林に隣接する天然林から広葉樹の侵入を誘導し、放棄された奥地の人工林を効率よく天然林へと戻すことで、多面的機能が高く、「低コストで管理できる森づくり技術」の開発と普及を目指します。

現在の支援総額

1,560,000

173%

目標金額は900,000円

支援者数

145

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2020/10/20に募集を開始し、 145人の支援により 1,560,000円の資金を集め、 2020/11/30に募集を終了しました

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荒廃した奥地人工林を『低コストで管理できる森林』へ!

現在の支援総額

1,560,000

173%達成

終了

目標金額900,000

支援者数145

このプロジェクトは、2020/10/20に募集を開始し、 145人の支援により 1,560,000円の資金を集め、 2020/11/30に募集を終了しました

日本の林業は衰退に歯止めがかからず、里山奥地の人工林は管理がままならぬ事態へと陥っています。私たちは人工林に隣接する天然林から広葉樹の侵入を誘導し、放棄された奥地の人工林を効率よく天然林へと戻すことで、多面的機能が高く、「低コストで管理できる森づくり技術」の開発と普及を目指します。

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2022/12/31 19:17
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こんにちは!先日、西日本の大雪がニュースになっていましたが、古座川でも一部の地域で雪が積もりました。かなり大粒の雪が結構な勢いで降り続いていたので、北海道のような光景でした。

古座川の七川ダムより上流の地域は、町の中では標高が高く、気温も下がりやすい地域なので、雪が積もるとしたらダムより上流というイメージがありました。ところが今回は、ダムより下流域で積もったので珍しい光景を見ることができました。

定期報告 最終回

さてさて、今回の活動報告は定期報告としては、いよいよ最終回となります。 僕は年末で平井を離れ苫小牧に行くので、平井での生活を報告できるのも今回が最後になります。そこで、研究のまとめは年度末に行うことにして、今回は平井での生活を振り返ってみたいと思います。

平井と言っておきながら、最初から別の集落の写真です。都市部でサクラと言えば並木にされて群れているソメイヨシノですが、古座川では点在するようにヤマザクラやクマノザクラが分布しています。

サクラは、密集して生えていると、分かりやすい華やかさがありますが、ポツンと生えている様子も、幽玄な雰囲気を醸していて綺麗でした。

色もやや薄めのピンクですが、ほんのりとした色合いは、照葉樹の濃い緑に良く映えていました。

こちらは、近所にあった和歌山県最古の木造校舎です。つい最近解体されてしまいましたが、長年連れ添った校庭の桜だけは今も残っています。

茶摘み

ゴールデンウィークに入ると、茶摘みでした。平井では、庭の生垣にお茶が植えられているので、集落の方々は、その新芽をもぎ取ってお茶にしています。

一番茶を採った後は、本格的な生産地なら二番茶、三番茶と続きます。しかし、平井では一番茶だけで事足りるので、「贅沢やぁ~」と集落の方も仰っていました。

取ってきたお茶っ葉は、大きな鉄鍋で煎ります。このお婆ちゃん曰く、「鉄じゃなきゃ美味しくならんよ」とのことでした。そのため、一家に一台大きな鉄釜を買って、錆びないように大事に屋根の下で保管するのだそうです。

大きな釜にいっぱいの茶葉を入れて、ゆっくりと煎っていきます。かなり熱そうですが、手慣れた手つきで淡々と作業をするばあさん。この光景を知っていると、尚更お茶が美味しくなりそうです。

実際にできたお茶がこちら。非売品ですが、研究林に来れば飲めるかも?

田植え

お茶摘みが終わったら田植えが始まります。新潟平野の広大な田んぼのようなものはなく、小さな棚田が少ない平地に何枚かある程度です。

こんなに尾根の近いところで水田が広がっているのは、平野で育った身としては新鮮な光景です。

尾根に近いのに、田んぼに水を張れるだけの量の水をどこから引いているのか、そんな疑問が湧いてきます。

平井の場合は、裏手の山から水を引いているわけではなく、川の上流で標高の高いところから、なるべく平行に用水路を掘って水を引いています。原理的には玉川上水と一緒です。

棚田の間には、石段の路地が張り巡らされており、箱庭のようになっています。そこに北大の青い屋根が遠くに見えると、何ともメルヘンチックでした。

田んぼにはアカハライモリやカエルが遊びに来ています。田んぼがあるからこその生態系が築かれており、人々の生活と周辺環境との長い間続いた相互作用を想起させます。

夏の平井

梅雨頃になると、ホタルが小川を乱舞します。ここほど大量にホタルが飛んでいるのは、ほかでは見たことありません。

乱舞という言葉も古座川のホタルを見て、やっとしっくりきました。

2022年の夏は、十数年ぶりに平井の夏祭りが開かれました。捻りが特徴の平井伝統の盆踊りも復活して、お囃子が山あいにこだましていました。来年も開催されたら、是非参加したいですね。

普段の夏はこんな感じ。雨でしっとりと濡れたい地面や、低い雲が熊野の深い山の雰囲気を作り出します。

お盆では、送り火として非常に高い竹の先に松明を付けて灯します。他の地域では見たことが無かったので、盛大な送り火には驚きました。

送り火の頃は、雨も多いので、一瞬止んだ隙を狙って立てていました。背景の雲がかかった山々も相まって、信仰の土地であることを再認識させられる雰囲気です。

翌日には、精霊流しがありました。河原で線香を焚いてから、ご先祖さまが帰るときのお弁当を流します。

平井の川は激流なので、お弁当もとんでもない勢いで流れていったのが衝撃的でした。

お盆もすぎると、秋になります。秋はオオサンショウウオの繁殖期で、河原をオオサンショウウオがペチペチ歩いていました。初めて見たオオサンショウウオ。ぷにぷにの手足がめちゃくちゃキュートでした。

稲刈

同じころ、夏前に植えた稲の刈り取りが始まります。ちょうど台風がたくさんやってくる時期なので、この作業も天気との勝負になります。

2022年に平井で一番広い田んぼに植えられた稲の品種は、早く育つ種だったようです。そのため、例年よりも色付きが早く、まだ暑いなか収穫が始まりました。

収穫は、田んぼの持ち主だけでなく、親族や近所の方々が手伝いに来てくれます。

区画が直線的でなく、田んぼの面積も小さいので、大型機械には不向きです。そのため、こうした方々の協力は欠かせません。普通に買った方が安いかもしれないけど、楽しいから続けているという家もあるようです。

柚子とり

稲刈が終われば、最後は柚子とりです。柚子の里を名乗る平井は、そこらじゅうに柚子が植わっており、秋も終わりになると黄色い実が目立ってきます。

収穫された柚子は、平井の集落内にある工場で絞られます。そのときに、柚子の香りが集落中に広がり、季節を感じさせる風物詩になっていました。

2022年は、僕も収穫に参加させて頂きました!柚子の木の下でおやつを食べる時間は、色々な集落のお話を聞くことができ、非常に楽しい時間でした。

特に印象的だったのは、上の写真の方が教えてくれた、サルの脳みその焼き方でした笑。なんでも、赤土で覆ってから鍋に入れてじっくりと焼くそうです。頭痛の薬に使っていたんだとか。

柚子の収穫が終われば、もう冬です。住むまで知りませんでしたが、本州最南端と言えど山間に位置する平井は、意外に雪が降ります。

特に2021年から2022年にかけての冬は、5回ぐらい積もったうえに、-6℃ぐらいまで下がった日もあったので、札幌とあまり変わりませんでした。雪の光景と、北大チックな庁舎はやっぱり似合いますね。

そんなこんなで年を越えると、ぼちぼち梅が咲いてきます。梅が咲けば、また新しい1年がやってきます。

このような1年が、この平井で年十年、何百年と繰り返されてきたのだなぁと思うと、その歴史の一部に参加することができてよかったと感じます。他の山村と同じように、平井もやはり深刻な高齢化に悩まされている地域です。今後20~30年で、日本中の似たような地域のほとんどが消滅してしまうことを考えると、ここで僕が見て感じたことは、50年後60年後には非常に貴重な体験談となることでしょう。そのときも、平井の地に人が住み続けていることを願いながら、定期活動報告を締めたいと思います。

なお、研究に関する報告書は年度末(3月ごろ)に発送いたします。そちらでも、平井の様子をまとめたものを作る予定ですので、どうぞ楽しみにお待ちください。

それでは、非常に長い間、活動報告を読んでいただき有難うございました!機会があれば、是非古座川町の平井に遊びに来てください!


2022年12月31日
北海道大学和歌山研究林

井口光

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