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そうこうしているうちに、
インドの野生動物局(政府組織)が、ユキヒョウ情報を聞きつけ、この家へやってきました。
一向に街から離れようとしないユキヒョウを見かねて、
野生動物局の方は、このユキヒョウを別のところへ移すための作戦を実行。
食べかけの犬の死骸と、前の晩ユキヒョウに襲われた傷で死んでしまった家畜の牛を
おとりにして落とし穴をつくり、そこにユキヒョウが落ちたら麻酔をかけて、
眠っている間に遠くへ逃すという方法です。
その様子を崖の上からじっと見ているユキヒョウ。時々、あくびをしながら見ていました。
それからしばらく時間が経ち、日が暮れ始めると、
ひと気がなくなったのを確認したユキヒョウは、少しずつおとりに近づいて降りてきました。
ここからはユキヒョウと人の心理戦です。
慎重に慎重に様子を伺いながら降りてくるユキヒョウ。
眠たいのか、伸びをしたり、あくびをしたりしながらゆっくり降りてきます。
その可愛らしさに、ふと野生なことを忘れてしまいそうでした(笑)
どこまで近づいてくるのか、おとりにそのまま入るのか、
私たちは固唾を呑みながらレンズを構え、ユキヒョウの動きを見守り続けます。
そうは言っても、やはり野生。
私たちの気配を敏感に察知し異変を感じたユキヒョウは、これ以上近づいてきませんでした。
名残惜しそうに何度も振り返りながら、この場を離れていくユキヒョウ。
それからしばらく日が完全に落ちるまで、私たちは見張りつづけました。
でも、ユキヒョウは姿を見せることはありませんでした。
・・・・・・ところが、夜。
!!!!!!!!
夕食時に事件は起こりました。
部屋のすぐそばにある犬小屋から叫び声が。 パニックになる私たち。
ユキヒョウは、人間がつくった罠ではなく、生きている別の番犬を襲ったのです。
先頭を切って走って行った菊地氏は、たった2メートルの近さでユキヒョウに遭遇!
まだユキヒョウは犬小屋にいました。白く光った牙を見せて威嚇するユキヒョウ。
菊地氏がライトを照らした瞬間、逃げて行きました。
急いで犬を確認!
頭と腕に大きな傷を負っていましたが、幸い、命には至りませんでした・・・
その直後の犬の写真。
この出来事に、ただただ動揺する私たち。
正直、この展開は全く想像していませんでした。
犬小屋は、私たちがいた部屋のすぐ横にあり、人がそこを出入りしていたことから、
まさかここを狙うとは思ってもいなかったのです。
身の危険を犯してまでも、生きた獲物を狙いに来たユキヒョウ。
野生の恐ろしさを目の当たりにした瞬間でした。
つづく。