先日、9月5日でPIN-UPの火災から1年が経過しました。
ギャラリーの火災前、最後の展示となった故・勇崎哲史さんの写真展 ファクターノートが発売となりましたので、この場を借りてご報告させていただきます。
「蝉、生まれいずるころ。」は沖縄戦の遺構とその周辺内で羽化する蝉をとらえた作品で構成される写真展です。
その全貌が初公開となったのが2020年9月4日に始まったPIN-UPでの企画展示でした。しかし、開催初日を終えた夜(9月5日の早朝)にギャラリーが原因不明の火災被害に見舞われたことで、展示されていた作品は焼失。勇崎さん渾身の作品群は多くの方の目に触れる機会を一度は断たれてしまいました。写真展開始から間もない事故に、勇崎さん自身もショックを受けていたはずですが、鎮火後まもないギャラリーの現場検証にもかけつけ、オーナーの許田盛哉さんを励まし、気遣っていただきました。
写真展は、その後、関係者らの尽力で、プリントなどを再制作。沖縄愛楽園(名護市)での展示を行うことができました。
今後も作品を見る機会が確保されたことに、許田さんやクラウドファンディングチーム一同もひとまずは安堵しております。そして、再建後のPIN-UPでももう一度展示を、と願ってやみません。
かねてより病気療養中であった勇崎さんは今年7月1日に永眠されました。
勇崎さんの数々の功績や温かい人柄については、我々が語るにおよびません。
最後の作品群となった「蝉、生まれいずるころ。」をまとめたファクターブックを手に取っていただくことで、その思いや写真を通して表現しようとしたものを感じ取っていただければ幸いです。
新版増補MOOK版 蝉、生まれいずるころ。写真展 ファクター・ノート 勇崎 哲史
https://www.amazon.co.jp/dp/B0977GFZ68/ref=cm_sw_r_li_awdb_imm_33AF3YW349AWFE2GDGWM
許田さんよりコメント
勇崎哲史さんと関わった展覧会を通して、ミーティングの流れやプロジェクトの立て方、額の制作から展示方法など沢山の事を学びました。写真に対しての研究心、愛情がとても強く、僕に対しても親身になってくれた偉大な恩人です。
本来PIN-UPで展示を完遂するはずだった作品は展示会2日目に火災で燃えてしまいましたが、この作品集に記録されているので是非多くの人の目に触れて欲しいです。
ファクターノートの中にはPIN-UPで展示した際のレイアウトや、火災後の様子を伝える写真も収録されています。
場所選びに難航しており、ギャラリー再建への道のりはまだ半ばといったところですが、皆さまのご支援のおかげで、PIN-UP名義でのイベント開催などは続けさせていただいております。遅々とした歩みで恐縮ですが、ご理解の程、どうかよろしくお願いします。