本日は、実際に島嶼部の医療に従事している看護師が、実例を用いて僻地医療について少しお話ししたいと思います。
私は(看護師 吉田)、ここ大崎下島に来て約7か月が経過しました。
綺麗な瀬戸内海や柑橘畑を毎日見れて、心が和む日々を送っています。
毎朝、鳥の声で目が覚め、ホットコーヒーを飲みながら雄大な自然を眺めるのが朝の日課でした。
島での生活が、1か月程経過したとき、住民の一人の方に話しかけられました。
「肩が痛いから、ちょっと見てくれんかね。」
そう言われて、肩の状態を確認しました。
肩関節周囲炎と言って、四十肩などと言われるような症状だと思いました。
その方の年齢は80歳くらいでシルバーカーという押し車を押して歩いていました。
私は肩関節周囲炎かなと思い、その方に「一度先生に診てもらって、痛み止めや湿布をもらうといいですよ。」と伝えました。
次に、言われた一言が私には衝撃で今でも鮮明に覚えています。
私は大崎下島に来る前は、千葉県の大学病院の集中治療室で勤務していました。
そのため、毎日何人も緊急入院が来る日々を送っており、病院が身近にあり受診できることを当たり前に感じていました。
しかし、その方が言われた「病院に行きたくても行けない」という一言は、私の胸に深く突き刺さりました。
後から、その方について知ったのは足が思うように動かなく、また老々介護であったため配偶者の方も通院に付き添うことは困難でした。
また、1番近隣の総合病院へは3つの島を渡るため、バスで1時間弱かかります。
ここ大崎下島では、本当に「病院に行きたくても行けない」という現状がありました。
それから、私は日本の僻地医療について調べました。
このような、「病院に行きたくても行けない」地域を無医地区や準無医地区と言います。
そして、無医地区や準無医地区は日本に1080地区、人口にすると23万5000人以上います。
これが日本の僻地医療の実際です。
私たちが拠点にしている広島県は島嶼部や中山間地域が多く、日本で2番目に多い無医地区数です。
ちなみに、1番は北海道です。
広島県が抱える僻地医療の課題はとても大きいと言えます。
自治体だけではどうにもならないところまで来ています。これは広島県に関わらず日本全国で起きています。
自治体にすべてを任せるのではなく、民間企業が協力して課題解決をしなくてはなりません。
だからこそ、私たちは活動しています。
私たちは訪問看護だけではなく、各人が課題解決に向け、様々なプロジェクトを動かしています。
このクラウドファンディングのプロジェクトもそのうちの1つです。
クラウドファンディングは資金調達の意味もありますが、同じ課題を持った地域への情報共有のツールとしても活用できます。
このプロジェクトをシェアしていただくと、同じ課題に取り組む方へ届くかもしれません。
是非、シェアのご協力をお願いいたします。