リターンの新作こけし3種類が登場するまでのストーリーを紹介します。
~~~ キャッツこけからのインスパイア ~~~
キャッツこけしをよくよく見ていて気付いたのは、伝統こけしをリスペクトしながらオリジナルを追及して造ったところが随所にあるということです。この写真のキャッツこけしのモデルとなった猫の名前はマンカストラップです。
特徴をひとつひとつ見ていきましょう。
・胴体
薄墨の模様が体全体に施されています。それも一様に塗らずに濃淡をつけ変化をもたせることでミュージカル『キャッツ』の衣装を表現しているところが秀逸です。この薄墨模様は偶然性をもって描くことができるので何体も作らないと再現できないのだそうです。なので新作こけしでは木材の自然な模様を活かしてみることにしました。
・形
伝統こけしの鳴子こけしの形をモチーフにして首回りや胴体の形状を削り出していますが、特に裾の部分は過剰と思われるぐらいに広げていることでミュージカル『キャッツ』の躍動感が醸し出されています。この安定感は特徴として残したいと思いました。
・顔の表情
ミュージカル『キャッツ』の役者さんのメイクを忠実に再現しています。特に大きな耳やかつら部分は『キャッツ』のイメージそのままであり、観劇された方はよくお分かりかと思います。このリアリティさは保ちたいと考えました。
・彩色
マンカストラップがどの猫になるのか推測すると、ミュージカル『キャッツ』で演じられている役割や衣装からアメリカンショートヘアーではないかと思います。このこけしでは黒一色にして鳴子こけしの花柄模様を施すことで気品を持たせていると感じました。そして日本猫の中でその性格に合うのは同系色の猫だろうと結論づけたのです。このようにして最初の試作品はサバトラから始めることにしました。
~~~ Catsストーリー(原作T.S.エリオット他)からのインスパイア ~~~
Catsについてよく知りたいと思い次の3冊の本を読みました。「キャッツ ポッサムおじさんの猫とつきあう方法」 「キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科」 「猫たちの舞踏会(エリオットとミュージカルキャッツ)」
マンカストラップの役割や性格を詳しく書いているのはミュージカルCatsの解説をしている「猫たちの舞踏会」です。とても参考になりました。
そして、どの本も猫の性格や行動について興味深く描かれていますが、特に原作が子供向けに書かれていたことを知るにいたり、オリジナル新作こけしは子供の手にも馴染むサイズにして、いつでも遊んでもらえるようにしたいと思いました。
さらには、猫の性格は毛並みの種類によって違っていることを知るようになり、「サバトラ」以外の日本猫のこけしも作ろうと思い「チャトラ」と「キジトラ」にチャレンジすることにしたのです。「チャトラ」は甘えん坊さん、「キジトラ」はツンデレさん、そして、「サバトラ」は正義派を、それぞれの個性としました。
このオリジナル新作こけしはどこまで表現できているのか、その特徴や出来栄えについて引き続き活動報告をしていきたいと思っていますが、本当はぜひとも現物を見てもらいたいです。そしてどのように受け入れてもらえるか、お客様にお逢いして直接お話を聞かせて戴ける機会を設けますので、この後もお伝えしていければと考えております。